
カスタマーストーリー
セキュアなデータ活用とAIで加速 多岐にわたる事業のデータを統合し ロイヤルカスタマー醸成を目指す西武グループの挑戦
西武グループはSnowflakeを中核にグループ統合基盤「SGMP」を構築し 、ダイナミックデータマスキングによる安全なデータ活用と 、Cortex AIやStreamlitによるデータ活用の民主化を推進しています。ロイヤルカスタマー醸成に向け 、多角的な事業シナジーを加速させる挑戦の事例です。
11社グループ主要会社を含む11社にデータ活用環境を提供
3日データカタログをStreamlitでわずか3〜4日で自作し専用ツールの高コストを解消


業種
陸運業所在地
東京都Cortex AIとセキュアなデータ活用が加速させる、西武グループの事業シナジー創出
鉄道、ホテル・レジャー、不動産、ライオンズなど多角的な事業を持つ西武グループは、グループシナジー創出と「でかける人を、ほほえむ人へ。」の実現に向け、Snowflakeを中核とするグループ統合基盤「SGMP(西武グループマーケティングプラットフォーム)」を構築した。セキュリティを担保するダイナミックデータマスキング、外部データ連携、そしてCortex AI/Streamlitによる革新的な機能活用により、グループ顧客の創造、すなわちロイヤルカスタマーの醸成を加速させている。
このストーリーのハイライト
- グループ共通会員(西武プリンスクラブ:SPC)情報を中心とした多岐にわたる事業データの統合
- ダイナミックデータマスキングによるセキュアなグループ横断データ利用
- Cortex AI/Streamlitを活用したデータ活用の高度化と民主化
グループ顧客の創造を目指し、事業横断のデータ統合とセキュリティを追求
西武グループは、鉄道、ホテル・レジャー(プリンスホテル、八景島シーパラダイスなど)、不動産事業、そして埼玉西武ライオンズといった多岐にわたる約90社、連結従業者数約2万人強からなる企業集団である。同グループの長期戦略は、これらの事業が持つグループシナジーを最大限に追求し、グループビジョン「でかける人を、ほほえむ人へ。」の実現、すなわちロイヤルカスタマーを醸成することを使命としている。特に近年は不動産事業に力を入れ、周辺の都市交通、ホテル・レジャー事業を連携させることで、沿線や地域の土地の価値向上を狙っている。この長期戦略の達成に向け、各事業に分散するデータを集約し、共通的に利用できる統合データ基盤の構築が必須となった。
この基盤構築にはいくつかの大きな課題が伴っていた。第一に、グループ共通の会員基盤である西武プリンスクラブ(SPC)の会員情報を中心に各事業会社のデータを集約・統合する際、連携元によってデータ品質や、同音異義語、日付入力形式の不統一といった入力形式にばらつきが生じたことである。第二に、個人情報や機密情報など会社間を超えて情報を取り扱うため、厳格なセキュリティを担保しつつ、利用者のニーズに応じた適切なアクセス制御を行う必要があった。さらに、現場のデータ活用を促すために導入した高コストなデータカタログツールの利用率が想定より上がらず、ランニングコストと利用実態の乖離が課題となっていた。利用者からは、「ログインが面倒くさい」「メニューが多すぎて分かりにくい」といった不満が上がっていた。

「迅速な検証を可能にする環境として、Snowflakeはシンプルにかつ簡単に利用ができるのが非常によいところであり、最大の優位性であると思っています」
清水 甲太郎 氏
Snowflakeを中核とするSGMP構築とダイナミックマスキングによる制御
西武グループは、これらの課題解決のため、2021年度よりSnowflakeを中核に据えた「西武グループマーケティングプラットフォーム(SGMP)」の構築を開始した。SGMPはSPC会員情報を含む各事業会社のデータを集約し、Snowflake上にデータレイク(データストア層)の機能も持たせた三層構造でデータを管理している。この設計思想により、データの加工にかかる設計の作り込みを最低限に抑え、運用をシンプル化することが可能となった。株式会社西武ホールディングス 情報システム部 課長の山本 桂輔氏は、当時のSnowflakeの特徴について、その利便性を評価する。
「データウェアハウスの設計上も、あまり作り込みをせずに、最低限の加工だけで運用できます。今考えると、とてもよい特徴だったと思っています」
セキュリティの課題に対しては、Snowflakeのダイナミックデータマスキング機能を全面的に採用した。これにより、データソースを一つに保ちながらも、利用者の所属や役職に応じて、個人情報や機密情報に対する参照権限を動的に制御する仕組みを実現した。株式会社西武ホールディングス 経営企画本部 DX・マーケティング戦略部 課長補佐 兼 情報システム部の清水 甲太郎氏は、「特に、売上の件数などマーケティングに活用できる情報をグループ横断でデータ分析可能にするため、個人を特定できない状態の仮名加工情報の利用を安全に制御する上で、このマスキング機能は極めて有用です」と高く評価している。
また、連携データにおける品質のばらつきには、SGMPへの取り込み後に最低限の品質とセキュリティを担保するためのデータマネジメントルールを策定し、適用している。品質チェックと異常通知には、Snowflakeのタスク機能とメール通知機能を利用し、データマネジメント活動を事務局側で迅速に完結できる体制を整えた。
Streamlit、Marketplace、AI機能でデータ活用の裾野を拡大
Snowflakeの柔軟な機能群の活用は、データ活用の裾野を大きく広げた。社内データだけでは不足する分析ニーズに対応するため、Marketplaceを通じて外部データ連携を強化している。約200億レコード規模の人流データや天気データ、国土数値データなどをSecure Data SharingによりETL開発なしで取得できるようになったため、開発コストやリードタイムを大幅に削減し、プリンスホテル周辺の賑わいの可視化や競合他社施設との比較分析といった高度な分析に活用している。
さらに、利用率が課題だったデータカタログについては、Streamlit in Snowflakeを使い、要望に特化したデータカタログをわずか3〜4日で自前で開発・全社運用を開始した。これにより、高コストな専用ツールのライセンス費用が不要となり、Snowflakeのアカウントがあれば誰でも利用可能な環境を実現した。
また、AI機能の活用も本格化しており、問い合わせやクレームのテキストデータに対し、Cortex AIのSENTIMENT関数を用いて感情スコアを算出する顧客の声分析アプリを約30分で構築するなど、迅速な機能検証を進めている。
「迅速な検証を可能にする環境として、Snowflakeはシンプルにかつ簡単に利用ができるのが非常によいところであり、最大の優位性であると思っています」(清水氏)
この基盤は、グループ全体のデータ活用を促進し、SPC会員基盤に関与するグループ主要会社を含む11社が現在SGMPを利用し、ロイヤルカスタマー醸成に向けた活動をデータの側面から支えている。

30分
Cortex AI関数を活用し顧客の感情分析アプリを約30分で構築
AIによるデータ民主化を推進しデータ資産の活用を止めない
西武グループは、「データは資産、活用の歩みを止めない」という方針のもと、今後もデータ活用をさらに進化させていく計画である。
特に注力するのが、Streamlitで自作したデータカタログにCortex Analystの機能を組み込み、日本語の自然言語による指示でSQLを自動生成したり、分析結果を返したりする機能の検証である。これにより、SQLに不慣れなユーザーでもデータ活用を容易にすることを狙っている。山本氏は、このデータの民主化に向けた意欲について、以下のように語る。
「できるだけユーザー側のリテラシーにとらわれずに使ってもらい、必要なデータをアウトプットするような形にしていきたいです。長期戦略としてのロイヤルカスタマー醸成を目指す取り組みには、グループ全体でのデータの民主化をさらに進める必要があると考えています」
データのバリエーション拡大も継続し、今後は購買データや国勢調査、住民基本情報といった公共データを取り込み、沿線や地域の動きを捉えた分析を強化する。さらに、商業施設へのビーコン設置や3次元空間データとの連携を通じ、より詳細な施設利用状況を分析し、グループ施設の併用率向上やリピーター育成のための施策へと繋げることを検討している。西武グループは、Snowflakeの持つ先進的なAI機能や柔軟なデータ連携機能を最大限に活用することで、グループシナジーを生み出すロイヤルカスタマーの醸成を加速していく。


