カスタマーストーリー
企業活動に関わるあらゆるデータを一元化する新たなデータ分析基盤をSnowflakeで構築 データドリブンな経営の実現を目指す
個人の経験や勘に頼らないデータドリブン経営を目指す日清食品グループが、その第一歩として取り組んだ統合分析基盤の構築にSnowflakeを選んだ理由とは。
KEY RESULTS:
70%
2時間の作業を30分に短縮
3割
運用コストを3割削減
業種
Retail & Consumer Goods所在地
東京都新宿区データドリブン経営を目指す日清食品グループの挑戦
「Digitize Your Arms ~デジタルを武装せよ~」というスローガンのもと、 DXを推進する日清食品グループが中期的な目標の一つとして掲げるのが、 個人の経験や勘に頼らないデータドリブン経営の実現だ。第一歩として求められたのが、社内外に散在するデータの統合だった。グループ60社の基 幹システムや各種業務システム、さらには自社ECサイトなど社外システム上のデータを統合する新たなデータ分析基盤は、すでに取引先企業が持つID-POSデータによる潜在顧客抽出やAIを活用したレポート生成などの成果につながっている。
Story Highlights
- データ統合による分析の効率化
- 機械学習による潜在顧客抽出
- 生成AIによるレポート作成の自動化
"破壊の遺伝子"が導く新たな挑戦で強く求められたデータ一元化
インスタントラーメンの発明者として知られる安藤 百福氏から続く日 清食品創業家の存在を、ある経済誌は「破壊の遺伝子」と呼んだ。世代を 超え、慣例や常識を破壊し、組織をリードし続けてきたことがその理由である。3代目にあたる日清食品ホールディングス株式会社 代表取締役副社長 COO 兼 日清食品株式会社 代表取締役社長の安藤 徳隆氏が掲げる
「Digitize Your Arms ~デジタルを武装せよ~」という刺激的なスローガ ンのもと、急速に進むDXもその一つと言えるのかもしれない。 日清食品ホールディングの傘下には、日清食品、明星食品、日清食品チ ルド、日清食品冷凍、日清シスコ、日清ヨーク、湖池屋、ぼんちなどの国内 事業会社と海外法人を合わせ60社の企業が連なる。現在同社は、「グロー バルITガバナンス」「現場主導のデジタル活用」「先進ネットワーク/モバ イルデバイスの活用」など5つの重点項目を設定し、グループ全体のデジタル化を推進している。その一つが「“データドリブン経営”に寄与する基盤整備」で、日清食品グループは2025年までにデータドリブン企業としてのスタートラインに立つことを目標として掲げている。
個人の勘や経験に頼ることがないデータドリブン経営には、仮説構築と 結果検証のサイクルをこれまで以上に高速化する必要がある。その一歩として取り組んだのが、グループ内外に散在する多様なデータが一カ所に集まる統合分析基盤の構築だった。グループ全社のデジタル化推進を統括する日清食品ホールディングス株式会社 執行役員 CIO(グループ情報責 任者)の成田 敏博氏はその理由をこう説明する。
「経営判断に用いる高精度なデータ分析を行う場合、必要なデータは基 幹系システムや各種業務系システム、さらには自社ECサイトなどの社外システムなど、社内外に散在する多種多様なデータを必要とします。当社グループの場合、データ分析に先だち、こうしたデータを一つひとつ担当者が拾い出す必要がありました。システムに応じて複数の閲覧ツールを併用 し、データ突合をローカルで行わざるを得ないことも課題の一つでした。 これではデータの利活用は進みません。データドリブン経営まで視野に入 れ、データ利活用を推進するには、あらゆるデータが一カ所に集まり、必要に応じて即座に参照できる環境を整備する必要があると判断しました」
Snowflake+BIツールであらゆるデータを自由に活用できる環境を構築
第一歩として、システムや事業部門ごとにそれぞれ異なっていたコードとマスタの標準化を推進。並行して複数のデータ分析基盤を比較検討し、同社はSnowflakeのサービスを選定した。その理由を成田氏はこう説明する。
「Snowflakeを選んだ理由は大きく二つあります。一つは他社製品にはない先進的な機能です。特にデータの利用目的に応じてコンピューティングリソースが柔軟に調整でき、オーバーヘッ ドが生じにくい点を高く評価しました。またデータ復旧の容易 さや柔軟な利用権限の設定により、様々なメンバーとデータを安全・安心に共有できることも評価したポイントでした。もう一 つは、Snowflakeが掲げる『データの真の価値を探索・共有し、 解き放つことが可能なデータクラウドを動かす』という利活用ビジョンに一ユーザーとして共感できた点です。全社共通デー タ基盤の整備・展開についてもSnowflakeのサービスの中で十分な成果が得られると判断しました。なお全社統合データベー スには、データ分析の初動迅速化という観点から、今は使われていなくても今後使われる可能性があるデータはすべて集約するという観点で整備を進めています」
さらに同社はBIツールで、あらゆる業務システムのデータを一元的に集 約すると共に、あらゆるデータに単一ツールでアクセスする環境を実現している。 分析基盤の構築とグループ全体のデータ利活用促進を支援する役割を 担う、日清食品ホールディングス株式会社 情報企画部 データサイエンス室の山縣 一慶氏はSnowflakeの印象をこう語る。 「導入においてまず感じたのはシステム開発、データ分析、データ閲覧など、多様な役割やニーズに応じた権限設定が柔軟に行える点でした。すでに話に出たコンピューティングリソースのスケーラビリティの柔軟性や、 Snowflake Marketplaceやデータシェアリング機能により、気象や地理な どに関する外部データと自社データの掛け合わせがスムーズに行える 点も高く評価しています」
営業部門と協力し、 機械学習による一歩先のID-POS分析を実現
Snowflakeによる統合分析基盤は2024年度上期中に完成する予定だ が、その効果はすでに現れ始めている。データサイエンス室とトレードマー ケティングチームの連携による、顧客企業が持つID-POSデータを活用した 潜在顧客分析はその一例である。日清食品株式会社 ビジネスソリューション本部 ビジネスストラテジー部 トレードマーケティングチームの国本 裕也 氏はその狙いをこう説明する。「小売現場におけるID-POSデータの活用ニーズは日増しに高まってい ます。当社にもID-POSに基づく販売施策立案を打診いただく得意先様は、 以前から少なくなかったのですが、以前の環境だと高度で有効なデータ分析を行うことが難しいのが実情でした。新たなデータ分析基盤の運用が開始されたことを受け、今回はID-POSデータから購入確度が高い潜在顧客を抽出し、販促や売場作りの具体的施策を得意先様に提案、実行し成果も得られました。これからも得意先様に対し、データに基づく課題解決を推進していきたいです」 統合分析基盤はそのほか、生産供給量の可視化や資材情報統合データベー ス、グローバル経営ダッシュボードの構築などにもすでに活かされている。
「中長期的な生産供給量の可視化は成長戦略の立案において重要な役割を果たしますが、これまでは担当者が生産や調達に関 する多様なデータをERPやサプライチェーン関連のシステムから一つひとつ拾い出してシミュレーションを行っていました。 そのため、データ集計に2時間ほど掛かっていましたが、それが 30分程度で行えるようになったことは統合分析基盤構築の大きな成果の一つです。分析に先立って行われるモデル開発速度も 大幅に向上しています」(成田氏)
また運用コストについても、柔軟なコンピューティングリソースを利用することにより、効率的な管理と運用コストの削減が実現できていると成田氏は言う。
従業員教育を強化し、データ利活用を加速
統合分析基盤の構築と並行して同社が取り組むのが、大規模言語モ デル(LLM)をはじめとする生成AIの活用である。
「当社の生成AIを起点としたプロダクトの開発はChat-GPT 最新バージョンをベースに、Snowflake上のSnowparkと呼ばれる開発環境を利用しています。活用の一例として挙げら れるのは、AIによる分析レポート自動作成で、これまでデー タアナリストが張り付きで行ってきたインサイト発掘を自動 化することは、省力化だけでなく、データ利活用の広がりという観点でも大きな意味を持つと考えています。現時点ではハルシネーションの発生頻度や度合いを見極めている段階で すが、今後予想されるLLMの飛躍的進化が実現した際に即座にビジネスに反映するための基盤は確実に整えておきたいと考えています。これまで製造業としてERPがコアなシステム となっていましたが、それをもとにデータをどう活用してい くのか、データクラウドとの掛け合わせが重要になっています。ERP以上に重要性の高いデータ分析基盤に充分なコストをかけるべきだと思っています」(成田氏)
今後は名寄せなどのデータクリーニングの自動化や、SNS上のテキス ト情報を対象にしたデータマイニングにも生成AIを活用していく考えだ。 「ビジネスの現場と対話して強く感じているのは、データ分析ニーズ の多様さです。我々は、2年以上にわたって分析ニーズの洗い出しを行ってきましたが、各部署がこれまでExcelやAccessで行ってきたような分 析ニーズにはまだまだ応えきれていません。グループ内のデータ利用実態を調査し、潜在ニーズを洗い出す取り組みは今後も続けていく必要があると考えています。それと並行して推進しているのが、データ分析に関するリテラシーの向上です。具体的には、2026年3月までにBI ツールのモデル開発者を現在の70名から300名に増強し、90本/月のレポート数を500本/月に増やすという目標を掲げ、現在は教育プログ ラムの拡充に取り組んでいるところです。現時点ではBIツールを使う部署は限られて いますが 、全社的に展開できれば 、2025年までにデータドリブン企業としてのスタートラインに立つという目標実現に確実に近づくと考えています」(成田氏)
「当社の生成AIを起点としたプロダクトの開発はChat-GPT 最新バージョンをベースに、Snowflake上のSnowparkと呼 ばれる開発環境を利用しています。活用の一例として挙げられるのは、AIによる分析レポート自動作成で、これまでデー タアナリストが張り付きで行ってきたインサイト発掘を自動 化することは、省力化だけでなく、データ利活用の広がりという観点でも大きな意味を持つと考えています。」
成田 敏博氏
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