SNOWFLAKE SUMMIT 26 | 6月1日(月) - 4日(木) サンフランシスコ開催

エンタープライズデータの未来を体感

カスタマーストーリー

誰もが同じデータに基づき、判断するための基盤をパイプライン構築を内製化する仕組みと共に実現。一層のデータ利活用に向け、社内文化醸成に取り組む

アイシン高丘はSnowflakeを活用した基盤「HOKORA」を構築し 、2カ月で約400のパイプライン内製化を実現しました。オンプレミスの制約を解消して迅速な意思決定を可能にし 、dbtや人材教育を通じデータ文化を醸成。今後はAIエージェントによる業務省力化も見据えています。

4002カ月間で約400のパイプラインを内製

manufacturing workers wearing hard hats and vests

自動車業界「百年に一度の大変革期」に挑む、アイシン高丘のDX戦略

自動車業界が百年に一度と言われる大変革期を迎える中、勝ち残りのカギとして注目されるのがデータに基づく迅速な経営判断である。これまでオンプレミスでデータを運用してきたアイシン高丘にとり、データへのアクセスの制約はデータ利活用促進において大きな課題になっていた。同社が新たに構築したデータプラットフォームは、誰もが安心してデータにアクセスできることと共に、パイプライン構築の内製化により即座にデータが取り込める体制を実現。同社が取り組むデータドリブン文化の醸成に大きな役割を果たすことが期待されている。

このストーリーのハイライト

 

  • データプラットフォームによる全社データの一元化
  • パイプライン内製化によるスムーズな分析ニーズ対応
  • 独自教育プログラムによる文化醸成の推進

誰もがデータに基づき判断できる環境構築が急務の課題

 EVの普及や環境規制の強化、さらには国際的な競争激化もあり、自動車業界は今、百年に一度の大変革期に直面している。こうした中、国内主要自動車メーカーに鋳鉄部品等を提供するアイシン高丘が選んだのは、DX推進による勝ち残りだった。経営企画部 ITマネジメントG システム開発Tの佐藤 佳司氏はこう振り返る。

 「当社は以前からノーコードアプリ開発ツールの活用などを通して、業務の効率化・省力化を推進してきましたが、その一方で、業界全体が大変革期を迎えようとする中、ただ効率化を追求するだけで勝ち残れるのかという疑問を常に感じてきました。2024年春に各部門長によるDX推進に向けた議論を開始した背景には、こうした認識がありました。一連の議論を通して浮かび上がったのは、大きく三つの課題でした。一つは高度化する顧客要望に柔軟に対応できる環境の構築です。製品ライフサイクル全体のカーボンフットプリント管理への対応はその一例です。次は人が本来取り組むべき仕事に集中して取り組むための業務そのものの見直しです。そして最後はIT関連の革新的な技術の積極的な活用です。それらの実現には、オンプレミスで運用する従来のデータベースを統合する新たな仕組みが必要です。私たちがデータ統合の基盤としてのデータクラウド開発に取り組むことになった背景にはこうした事情がありました」

「Snowflake Cortex AIを使った自然言語でデータにアクセスできる環境の整備、Snowflake Intelligenceによるデータ探索やモデル生成の効率化、Microsoft FabricのCopilotやCopilot Studioによるユーザーの質問に自動的にレポートが生成される仕組みなどを通し、誰もが自然にデータと会話し、意思決定につなげられる世界を実現したいと考えています」

佐藤 佳司 氏
アイシン高丘株式会社 経営企画部 ITマネジメントG システム開発T

経験したことがない取り組み推進に向け、伴走という観点でパートナーを選択

 「HOKORA(祠)」と名付けられたクラウドによるデータ統合の取り組みにおいて、同社は大きく二つのゴールを設定している。

 「一つはオンプレミス環境で管理してきた多様なデータを統合することで、これまでのように本番システムへの影響などを心配することなく安心してデータを利活用できる環境の実現です。そしてもう一つが、当社なりのデータドリブン文化醸成です。その実現に向け、我々は三つの重要課題を抽出しました。まずは誰もが安心してデータにアクセスできる環境の実現です。次が多様なデータの抽出や分析が自分たち自身で行える環境の実現です。最後がデータ人材の育成や文化醸成という課題でした。なお『HOKORA』という名称には、大切なものを祠に納めるようにデータという宝を一つひとつ丁寧に磨き上げ、統合することで、最終的な意思決定につなげていきたいという想いが込められています」(佐藤氏)

 データプラットフォーム「HOKORA」は大きく、アイシングループやアイシン高丘がオンプレミスで運用してきたデータのAWSへのアップロード、Snowflakeによる分析に即した形へのデータ変換、そしてMicrosoft Fabricによるデータ可視化という三つの要素で成り立っている。

 「先行してSnowflakeを採用していたグループ会社の担当者から、特に開発者にとり使いやすいデータ基盤として紹介されたことがSnowflake採用のきっかけでした。私たちはこれまで主にOracle SQLでツール開発を行ってきたこともあり、Snowflakeとの相性は懸念材料の一つでしたが、試してみるととても使いやすいデータ基盤であることを実感できました」(佐藤氏)

 プロジェクトの推進には、パートナー選びも重要なポイントだった。

 「課題を整理し、ゴールを設定しただけでは前には進みません。最初のハードルになったのは、誰と一緒に走るかという観点でした。私たちがまず求めたのは、単なる技術支援ではなく、一緒に悩み、一緒に考え、前に進める伴走型パートナーでした。もちろんSnowflakeやAWSといった新しい技術を理解して最適解をスピーディに提案する能力も重視しています。さらに基盤構築後のデータ利活用促進に向けた仕組みづくりまで共に歩めるような関係が築けることも大きなポイントでした。すべての条件を満たす、理想のパートナーがクラスメソッドさんでした」(佐藤氏)

データプラットフォーム「HOKORA(祠)」は、データ統合に加えパイプライン内製化も実現

 同社のデータプラットフォーム構築においてまず注目したいのは、パイプライン構築の内製化が当初から要件に含まれていた点だ。理由を佐藤氏はこう説明する。

 「経験のない取り組みを始めるにあたり、私たちは小さく始めて、手応えを掴みながら確実にデータ基盤を整備したいと考えました。しかし随時パイプラインを外注することは、コストと時間の両面でムダが多くなることが避けられません。そこで第一回の打ち合わせから、将来的なパイプライン内製化を前提にシステムを構築したいということをお伝えしています」

 将来的なパイプライン内製化という要件を受けたクラスメソッドが提案したのは、立ち上げからの内製化の実現だった。クラスメソッドの三鴨 勇太氏はその意図をこう説明する。

 「当初、見本となるパイプラインについては当社側でつくって欲しいと依頼されましたが、外注を前提とした運用は高コスト化が避けられません。そこで最初から内製化をスタートすべきでは、という提案をさせていただきました。当社側でAWSへのデータ取り込みにおける処理フローのテンプレートを用意し、それに基づいてパイプラインを構築いただくというのがその基本的な考え方になります。その結果、2カ月足らずの間に約400テーブル分のパイプラインを内製するなど、私たちが当初想定していた以上の成果に驚かされたことを覚えています」

 取り込み後のデータを分析しやすい形に変換するため、データ変換自動化ツールであるdbtを採用したことも注目したい点の一つだ。

 「今回採用したSnowflakeの分析基盤では、蓄積層、統合層、マート層の3レイヤーを通し、生データを統合、加工し、分析しやすい形に仕上げていきます。dbtの場合、SQLのSelect文で定義できるため、これまでSQLでオンプレミスのデータ基盤を運用してきたアイシン高丘様にも扱いやすいと判断し、採用を提案しています」(三鴨氏)

 さらにインフラ面では、「誰が構築しても、同じルールとセキュリティで動く」状態を保障するIaC(Infrastructure as Code)の徹底化が図られている。

 文化醸成に向けた「データ活用ラボ」の取り組みにも注目したい。各部門から選抜されたメンバーへのスキルアップ教育を行うプログラムの特徴は、現場の課題に対応した具体的テーマを用意することで、より実践的な学習を推進する点にある。

 「当社の場合、経営判断に必要なデータの準備はこれまで経理部門が担当してきましたが、そのBIツールによる自動化はテーマの一例です。現在ラボでは、14テーマが並行して動き、まさに業務に即したスキルアップが図られている状況です」(佐藤氏)

 データクラウド基盤「HOKORA(祠)」の本格運用がスタートしたのは、2024年10月のプロジェクト開始のわずか1年後の2025年10月。内製化を前提とする新データ基盤は、データ活用ラボの取り組みと合わせ、同社のデータドリブン文化醸成に今後大きな役割を果たすことが期待されている。

業務特化型AIエージェントで業務省力化を実現したい

 短期的な展望として同社が挙げるのは、グローバル拠点も含め、誰もが同じデータに基づき判断が行える環境の整備である。さらに設備データやIoTデータの準リアルタイム連携も今後の課題の一つ。その先に見据えるのがAIによるデータ利活用である。

 「具体的には、Snowflake Cortex AIを使った自然言語でデータにアクセスできる環境の整備、Snowflake Intelligenceによるデータ探索やモデル生成の効率化、Microsoft FabricのCopilotやCopilot Studioによるユーザーの質問に自動的にレポートが生成される仕組みなどを通し、誰もが自然にデータと会話し、意思決定につなげられる世界を実現したいと考えています」(佐藤氏)

 データクラウド構築と併せて同社が現在推進中のグローバルマスタ整備に伴う効果も期待する点の一つだ。

 「特に注目しているのが、原価管理精度の向上です。またカーボンフットプリントの観点に基づく製品ごとのCO2可視化への貢献も期待しています」(佐藤氏)

 さらにその先に想定しているのが、RAG整備を前提にした業務特化型のAIエージェントの開発である。

 「過去実績に基づくAI需要予測による、協力会社への発注量コントロールはその一例です。自動車業界では、協力会社との信頼関係の醸成という観点からも安定的な発注が求められ、これまで購買担当者がそこに大きな労力を割かざるを得ないのが実情です。私たちは、社員の意識改革と共に、こうした課題を一つひとつ確実に潰していくことで確実な勝ち残りを図っていきたいと考えています」(佐藤氏)

Where Data Does More

  • 30日間の無料トライアル
  • クレジットカード不要
  • いつでもキャンセル