「お昼休みに学ぶ」SNOWFLAKE入門シリーズ | 3月31日(火) - 4月2日(木)開催

今からでも遅くない!これから始める業務改善・DXのためのデータ活用

カスタマーストーリー

IoTデータ活用に不可欠だったリアルタイム分析環境をSnowflakeで実現した「SORACOM Query」 待ち望んでいたAIとIoTを結びつけ未来を加速

IoTプラットフォームのソラコムは 、Snowflakeの導入によりリアルタイム分析基盤「SORACOM Query」を実現しました。データ鮮度を数秒に短縮し 、運用コストの50%削減に成功。生成AIとIoTを融合させ、「リアルワールドAIプラットフォーム」を目指す同社の革新的な取り組みを詳解します。

1カ月基本機能の開発期間を半年以上から約1カ月に短縮

5秒データ鮮度が最大1日遅れから数秒に短縮

telecom equipment

ソラコムが描く「リアルワールドAIプラットフォーム」の実現に向けたデータ基盤の進化

株式会社ソラコムは、世界213の国と地域、509の通信キャリアと連携し、デバイスを接続するグローバルIoTプラットフォームを提供する企業だ。日々、膨大なデータが集積する中、従来のデータ分析基盤では、リアルタイム性やデータ容量の制限、複雑な集計処理の難しさが大きな課題となっていた。この課題を解決するため、同社はSnowflakeを採用。Snowpipe Streamingによるニアリアルタイム連携と、マルチテナント対応を可能とするデータ基盤を構築し、生成AIを用いて回線管理データやIoTデータを分析する新たなサービス「SORACOM Query」を短期間でリリースした。同社はAI活用も視野に入れ、IoTとAIを融合させた「リアルワールドAIプラットフォーム」の実現を目指し、次世代のIoTデータ活用を推進している。

このストーリーのハイライト
  • Snowpipe Streamingでデータ鮮度を数秒に短縮
  • マルチテナント対応をSecure Viewで実現し開発期間を大幅圧縮
  • 非構造化データ解析と生成AI活用で未来のIoTを実現

IoTデータの爆発的増加と従来の分析基盤が抱えた課題

 株式会社ソラコムは、世界213の国と地域、509の通信キャリアと連携し、IoTデバイスを接続するグローバルIoTプラットフォームを提供している。通信サービスを核としながら、デバイスとクラウドをシームレスに繋ぐプラットフォームを提供しており、日々、お客様のデバイスデータやSIMのステータス情報など、膨大なIoTデータを収集している。

 同社は初期からクラウド上に通信コアを構築し、メインデータベースとしてAmazon DynamoDBをフルマネージドのデータベースサービスとして採用してきた。このメインデータベースは、アイテム単位の応答速度がミリ秒単位と高速であり、IoTデバイスのデータ管理やユーザーセッション保持に適しているという利点があった。しかし、データ活用の進展に伴い、既存のデータベースの制約が課題として浮上した。具体的には、多数のレコードを横断する複雑な集計クエリや、平均値を求めるような高度な分析には不向きであった。また、テーブル設計においてアクセスパターンを事前に考慮する必要があり、インデックスを増やしすぎるとコストやパフォーマンスに直接影響が出るため、設計の柔軟性に乏しいという難点もあった。

 これまでソラコムは、DynamoDBの課題を補完するため、Elasticsearch Serviceを使い直近2週間程度のデータ検索に利用したり、Amazon S3に退避させた2週間以上のデータをAthenaでクエリしたり、あるいは経営層向けのBIバックエンドとしてRedshiftを利用するなど、複数のサービスを組み合わせてデータ分析に取り組んできた。しかし、これらの組み合わせの場合、コストやパフォーマンスの観点からデータ保持期間が2週間程度に制限され、またバッチロードはデータ鮮度が最大で1日遅れとなってしまうという課題が残っていた。特に、迅速な障害対応やデバイスのリアルタイムな状況把握が求められるIoTの現場において、データ連携時の遅延は深刻なボトルネックとなっていたのだ。

 同社のCTO of Japanの松井 基勝氏は、こうした課題を踏まえ、理想的なIoT向けDWHの要件を定めた。具体的には、GPSトラッカーや温度センサー、カメラ画像など多様なデバイスデータを扱えること、ニアリアルタイムのデータストリーミング、データ量やファイルサイズを意識しないスケーラビリティ、そしてマルチテナント対応といった機能である。これら全ての要件を単一のシステム上で快適に処理できるデータウェアハウスを強く求めていた。

「複雑な手順でセットアップするようなことはなく、サインアップ後には環境へアクセスできるのがすごく良かったです。また、SnowsightのUIは非常に分かりやすく、使い出しが非常にスムーズだった点も大きなポイントです」

松井 基勝 氏
株式会社ソラコム CTO of Japan

データレイクとDWHをSnowflakeで組み合わせる解決策

 ソラコムは、DynamoDBで確実にデータを受け止めるデータレイク的な役割を維持しつつ、その隣に強力なデータウェアハウスを組み合わせるというハイブリッドな解決策を模索した。松井氏がグループ会社であるKDDIとの協業を通じてSnowflakeに触れる機会を得た際、その革新性を実感し、自身のサービスへの導入を決意したという。

 「Snowflakeを選定した最大のポイントは、その技術的な適合性、特にスケーラビリティと柔軟性、そして高いユーザビリティにありました。コンピューティングとストレージの分離により、IoTデバイスが生成する膨大なデータ量や、突発的な同時アクセスを気にせず利用できる点が魅力的でした」

 また、Snowflakeは、専門的な知識がなくともすぐに使い始められる導入の容易さも大きな決め手となった。松井氏は、複雑な設定手順を踏むことなくサインアップ直後からDWHを構築できる点や、Snowsightの分かりやすさを評価している。

 「複雑な手順でセットアップするようなことはなく、サインアップ後には環境へアクセスできるのがすごく良かったです。また、SnowsightのUIは非常に分かりやすく、使い出しが非常にスムーズだった点も大きなポイントです」(松井氏)

 データの取り込みに関しては、DynamoDB Streams、Amazon Data Firehoseを経由し、Snowpipe Streamingを利用してSnowflakeのテーブルにデータを直送するパイプラインを構築。この仕組みにより、イベント発生からわずか5秒から10秒というニアリアルタイムでデータをクエリできる状態を実現した。なお、このデータパイプラインは、実装開始から約1週間という短期間で実現できている。

 さらに、プラットフォームの根幹となるマルチテナント対応では、セキュリティとデータ分離を最優先した。ソラコムは、Snowflakeのセキュアビュー機能を利用し、どのようなSQLクエリが実行されたとしても、顧客のデータが他の顧客に参照されないよう、データ分離を確実に行っている。

開発期間の劇的短縮とユーザーのオペレーション改善への貢献

 Snowflakeを中核に据えた新しい分析基盤は「SORACOM Query」として2025年7月に正式リリースされた。

 このサービス開発において、Snowflakeの存在はスピードに決定的な影響を与えた。松井氏によると、2023年に同様のシステム開発を試みた際には、複雑な設計となるため、サービスとして提供できる品質にするのに時間がかかり、プロジェクトは停止していたが、今回Snowflakeで再挑戦したところ、データの取り込み、クエリ実行、ユーザー分離アクセスAPIといったコア機能の開発は、エンジニア数名が約1カ月という短期間で完了させることができた。また、性能面ではSnowpipe Streamingの恩恵により、最大1日遅れだったデータ鮮度が数秒程度まで短縮された。このリアルタイム性の向上は、特に多数の回線を保有する顧客のオペレーションに大きな改善をもたらした。

 「以前は、顧客から障害の問い合わせがあった際、ソラコムのサポートチームがリアクティブに複数の回線やメトリックを調査し、影響範囲を特定・報告する必要がありました。しかし、SORACOM Queryでは、顧客自身がクエリを数分程度で実行することで、何十万回線の中でも影響を受けた回線数を瞬時に把握できるようになっています。今までのように障害調査の問い合わせをせずとも、お客様自身で把握できてしまうというのがかなりの改善だと思っています」(松井氏)

 また、Snowflakeの活用により、運用コストにもメリットが生まれた。以前、他社ソリューションを試用した際のコストと比較し、現在、扱うデータの種類と総量が増加しているにもかかわらず、運用コストは約半額程度に抑えられている。

 マルチテナント環境のセキュリティ課題を解決する一方で、無制限なクエリによるコスト急増を防ぐためにも工夫が施された。同社は、ユーザーが大規模なテーブルに対して全件検索を実行した場合に備え、セキュアビューの中に、暗黙的にタイムスタンプでデータ範囲を直近1日に絞り込むフィルターを仕込み、クエリパフォーマンスを一定の時間内に保てるようにコントロールしている。さらに、Snowpipe Streamingでは更新や削除を伴うデータに対応するため、同じテーブルを最終更新時刻でセルフジョインするビューを作成し、常に最新のレコードのみを返すことで、クエリパフォーマンスに影響を与えることなくデータ整合性を保っている。

AIとIoTの融合で実現するリアルワールドAIプラットフォーム

 ソラコムは、Snowflakeの活用により得られたデータ基盤を皮切りに、IoTをさらに一歩推し進めた「リアルワールドAIプラットフォーム」の実現を目指している。これは、IoT技術やSnowflakeのようなデータクラウドの特長を活用し、物理的なリアルな世界とデジタルの世界を結びつけることをミッションとしている。

 今後の大きなチャレンジの一つは、非構造化データ、特にカメラ画像や動画といったデータをセンサーの一つとして捉え、生成AIを活用して解析することだ。例えば、カメラ画像からAIが商品棚の充填率をJSON形式の時系列データに変換し、Snowflakeに格納する。このデータに基づき、在庫切れの予測や補充指令を自動化することで、リアルな世界の出来事をデジタルな世界に繋げ、価値を生み出すことができる。松井氏は、IoTの進化にはAIが不可欠だったと語る。

 「IoTを実現しようと思った時に、以前は“ここが難しい”と思っていたパートが、生成AIの登場によって一気にピースが揃ったのです。これにより、これまで手を出せなかった領域にアプリケーションがどんどん広がっていっています」

 ソラコムは、Snowflakeが提供するAI機能の進化にも注目しており、Snowflake内部でLLMを直接呼び出せる機能を活用すれば、さらにシンプルに高度なデータ解析を顧客に提供できるようになると期待を寄せている。同社は、Snowflakeが持つデータ基盤の柔軟性を活かし、リアルとデータの世界を繋げ、共鳴し合う世界を創造していくことをミッションとしている。

 最後に松井氏は、AIとIoTが切り離されて考えられがちである現状を指摘しつつ、今後の展望を示す。

 「私たちが目指しているのは、リアルなフィジカルの世界とデジタルの世界を繋ぐことです。AIを使えば簡単に実現できると確信しています。これを使って世界をどんどん良くしていきたいと考えています」

 ソラコムはSnowflakeを重要なパートナーと位置づけ、AI機能のさらなる進化にも期待を寄せている。IoTとAIを融合させ、モノや人が繋がってそれぞれの価値が増幅し合い想像を超える未来が次々と生まれていく「Making Things Happen」の実現に向け、挑戦を続けていく。

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