
カスタマーストーリー
100年続く菓子メーカーのDXを若手が推進。データサイロを打ち破り全社データ統合基盤を構築。Snowflakeが導くデータドリブン経営の助走
創業100年のブルボンのSnowflake事例。若手がデータサイロを打破し 基盤を構築。月30時間の工数削減 やAI需要予測で経営を加速。内製化でデータと対話する文化を醸成するDXの軌跡。
30時間マーケティング部門1人/月のデータ取得プロセス時間削減


業種
Retail & Consumer Goods所在地
新潟県柏崎市Snowflakeで加速する全社データ統合と、AI活用による次世代の需要予測
老舗菓子メーカーである株式会社ブルボンは、1924年創業で昨年創立100周年を迎えた。同社は、経験則に依存した販売・生産戦略からの脱却と、データに基づく意思決定の迅速化を目指し、2023年2月にデータ分析基盤構築プロジェクトを始動した。基幹データや販売データが各システムに散在し、Excelによる手動集計・分析に膨大な工数がかかる等の課題解決のため、若手メンバーが中心となり、操作性、処理速度、柔軟な料金体系を評価しSnowflakeをデータ分析基盤として採用。現在は全社統合データベース化を進め、AI活用による需要予測・異常検知を見据えたデータドリブン経営の助走を開始している。
このストーリーのハイライト
- Snowsightの直感的なUIが、データ活用の内製化を加速
- データ統合により全社の業務効率が向上
- Snowflake内でAI/ML開発を完結
創業100年の老舗が直面したデータサイロ化と属人的な意志決定からの脱却
新潟県柏崎市に本社を構える株式会社ブルボンは、1923年(大正12年)の関東大震災後の地方への菓子供給ストップという窮状をきっかけとして1924年に創業した、歴史ある菓子メーカーである。同社はルマンドやアルフォートなどのビスケットをはじめ、チョコレート、米菓、飲料など幅広いカテゴリーの商品を製造販売し、2025年3月期には売上高1134億円を達成している。同社は新たな成長戦略の実現に向けて、2021年10月にデータドリブン経営を経営基盤とする方針を決定し、順次進めていた中で2023年2月にSnowflakeを採用した。
プロジェクト開始前、同社はデータの散在(サイロ化)と非効率なデータ集計プロセスという大きな課題に直面していた。当時の様子をデジタル推進部 システム開発課の小林 駿氏は次のように語る。
「基幹データや業務データが各システムに分散し、各部門の分析は個別のExcelフォーマットに大きく依存していました。多種多様な販売データは取得後、集計・加工に担当者が膨大な工数をかけてExcelを駆使しており、データ分析のプロセスが極めて非効率な状況でした。また、データ量が膨大であるため、古い過去データは保存されていないという問題もありました」
また、菓子流通の商流の中でデータが分断されていたことも大きな壁だった。メーカーである同社が確実に把握できるのは問屋までの「出荷データ」のみであり、問屋から先の小売店への「店出しデータ」や「倉出しデータ」の連携が十分に進んでいなかった。さらに、販売予測も長年の経験則に依存した属人的な判断が中心となっていた。このことから、客観的で根拠のある意思決定を行うためにも、データ分析基盤の構築が急務であった。
そこで、この非効率な現状を打破し、①データに基づく迅速な意思決定環境の構築、②AIを活用した異常検知や将来予測、③データ活用の定着化を実現するため、若手社員3名を中心としたDXプロジェクトが始動した。
「我々の会社はデータと向き合い、データと会話しようというメッセージがトップマネジメント層からも発信されています。データそのものに価値があるわけではなく、人間がデータと会話して何かインサイトを得られる、そういった形にやっていかなければいけません。そのためのプラットフォームとしてSnowflakeがあると考えています」
小林 駿 氏
UI/UX、処理速度、柔軟性を評価し若手主導で内製化可能なデータ基盤としてSnowflakeを採用
データ分析基盤の構築に向け、小林氏をはじめとする若手メンバーがDWHの選定に当たった。当時、一部の販売データは他社のDWHに格納されていたが、入社して間もない若手メンバーは操作面に不安を抱えており、ベンダーからの紹介をきっかけにSnowflakeに注目しPoCを実施した。
Snowflakeを採用した決定打は、その圧倒的な使いやすさと柔軟性、そして将来的な拡張性だった。特に、初心者向けのセミナーが多く、Snowsightと呼ばれるUIが分かりやすかったことは、若手中心で内製化を進めるチームにとって大きな魅力だったという。
「入社して間もない私にとって操作面で不安がありましたが、SnowsightのUIは分かりやすく、第一印象で使いやすいと感じました。また、データの処理速度の速さに加え、ウェアハウスやロールの切り替えが容易である点も、運用の効率化に繋がると判断しました。例えば、夜間に行う定期的な日次データ処理は最も小さいXSサイズで実行し、日中にBIツールでデータを表示する際はサイズを上げて処理を速く行うなど、リソースを臨機応変に変更できるため、無駄のない料金体系を実現できるからです」(小林氏)
2023年3月から始まったSnowflakeのPoCを経て、2023年5月には本格運用を開始。2023年7月頃までに既存DWHから完全移行し、未格納販売データの統合とマスタの整備を行ったうえで、まずは販売データに特化したスモールスタートで開始した。
全社データ統合基盤へと進化し業務工数を大幅削減。セキュアなAI開発環境を実現
統合した販売データをBIツールで可視化し営業部門へ共有したところ、社内からの反響は非常に大きく、他のデータも統合できないかという追加の依頼が急増した。これをきっかけに、Snowflakeは販売データ専用の基盤から、ブルボン全体のデータ統合基盤へと急速に進化していく。
全社データ統合基盤化に伴い、将来的な拡張性と保守性を重視したアーキテクチャの再構成が図られた。データ種類の増大によるパイプライン全体の複雑化を避けるため、共通処理のテンプレート化や、ゼロコピークローン、ダイナミックテーブルといったSnowflakeの機能を活用した開発環境の構築が行われた。
さらに、予測精度向上と深い分析のため、市場データ、気象データ、SNSや放送で使用されるワードなどのWEBデータといった2nd/3rdパーティデータの拡充を実施。特に気象データは季節品の販売予測における相関分析に利用され、テレビ放送ワードのデータは機械学習モデルへの入力やネガポジ判定に活用されている。
社内データについては、SAP連携データも活用し、従来手動でExcel集計していた生産出荷在庫(PSI)レポートをBIダッシュボード上で自動再現する仕組みを構築。これにより業務部門の効率化に大きく貢献した。小林氏と同部署でSnowlfakeの運用を担当する渡邉 辰弥氏は、これらのデータ統合基盤の定着化推進の取り組みについて、次のように語る。
「データ活用の定着化に向けた取り組みとして、マーケティング部門に対してSnowflakeのデータベース閲覧アカウントを発行し、SQLの勉強会を実施することで、Snowsightから直接扱ってもらうように促しました。この結果、データの抽出や編集作業の効率が格段に上がったと高評価を得ており、マーケティング部門では一人当たり月約30時間のデータ取得工数が削減できています。さらに現在は、SQL作成のヒントを生成AIから得るようになり、IT部門によるサポート工数も減少しています」
組織的なデータ活用推進とAI活用による異常検知で未来を予測する
ブルボンが今後目指すのは、Snowflakeを全社統合データベースへと成長させ、組織的にデータ活用を推進すること、そして属人化と経験則に依存した販売・生産戦略からの脱却である。
「統合データベース実現のため、現在一部の部門に限定公開しているSnowflakeのデータを全社員に共有しデータの恩恵を受けられるようにします。そしてセルフBIを推進し、全社員がデータの価値を知り、迅速な意思決定を行える環境の整備を推し進めます。また、社員のITスキル向上を目的とした勉強会も継続開催しており、将来的には、データ利用者がデータを探す手間を省くため、今後はデータカタログを整備する予定です」(渡邉氏)
AIの本格活用も重点施策の一つである。機械学習を用いた需要予測はSnowflake上の環境で内製開発が進められており、突発的な需要変動を捉える異常検知の精度向上に取り組み、欠品リスクの最小化を目指している。
また、SnowflakeのCortex Analystを用いた対話型でのデータ抽出の検証も積極的に進めている。これは自然言語によるデータ集計・分析を可能にするもので、将来的にCortex Agentsの活用も検討することで、プログラミング知識がなくても自然言語でデータに問い合わせ、分析結果を得られる「誰でも分析できる基盤」を目指している。これらの開発や運用を、ベンダーに丸投げするのではなく内製で取り組む理由を、渡邉氏は次のように語る。
「内製による開発や運用はゴールまでの道のりが長く、寄り道をしているようなイメージに捉えられ、時間と費用が無駄だと考える人もいるかもしれません。しかし、それぞれのポイントや寄り道を通して、社員自身が新たな発見を得られ、社員自身の成長につながります。そのため、内製力を磨くことが重要だと考えています」(渡邉氏)
また、トップマネジメント層においても、データ活用の重要性を示す意識が醸成しているという。
「我々の会社はデータと向き合い、データと会話しようというメッセージがトップマネジメント層からも発信されています。データそのものに価値があるわけではなく、人間がデータと会話して何かインサイトを得られる、そういった形にやっていかなければいけません。そのためのプラットフォームとしてSnowflakeがあると考えています」(小林氏)
ブルボンは、データと対話できる文化を醸成し、持続可能な成長と発展を図るため、Snowflakeを活用したデータドリブン経営の推進を加速させている。


