調査:生成AIのアーリーアダプターは41%のROIを達成

生成AIはブームではありません。現在、企業に対して目に見える価値を創出しています。世界中の組織が生成AIソリューションの導入を進めるなかで、注目すべき成果と重要な課題の両方が見つかってきています。ここで重要なのは、生成AIが実際にどれくらいの価値を生み出しているか、そして各企業が最適な生成AI戦略をどのように考案できるかという点です。
生成AIが現実世界に与える影響を把握するため、私たちは世界中の3,300社以上の組織を調査し、生成AIの導入が進んでいる1,900社のアーリーアダプターを特定しました。そして、私たちの新たなレポートである「The Radical ROI of Gen AI」に詳述されているその結果から、驚くべき証拠が明らかになりました。アーリーアダプターの92%が、プラスのリターンを報告しているのです。ROIを定量化した回答者の多くは、平均41%のリターンを得ています。この数字は、データインフラストラクチャ(アーリーアダプターの81%)、LLM(78%)、サポートソフトウェア(83%)、人材(76%)への投資拡大につながっています。
これはグローバル平均です。このレポートでは、8つのグローバル地域と6つの主要業界について主要なハイライトを提供しています。ここでは、グローバルな数値を見ていきます。地域別のインサイトや垂直インサイトについては、レポート全文をご覧ください。
コードから顧客ケアまで
生成AIは企業全体で素晴らしい成果をもたらしており、75%を超えるアーリーアダプターが「画期的な」または「多大な」インパクトを継続的に報告しています。技術分野では、このテクノロジーはチームの作業方法に革命をもたらしています。開発チームの54%がコード品質とバグ検出の改善のために、IT運用チームの70%がインフラストラクチャの最適化とコスト分析のために、生成AIを活用しています。セキュリティチームもほぼ同様に、65%がセキュリティ態勢の改善とインシデント応答時間の短縮に焦点を置いて使用しています。
このテクノロジーは、顧客対応の部門においても同じく変革をもたらします。セールスチームにおける採用率は38%と比較的低いままですが、生成AIを使用しているチームでは、収益の増大と予測の精度が大幅に向上したと報告されています。マーケティングチーム(採用率44%)はパーソナライズされたコンテンツ生成によりエンゲージメント率を高めており、顧客サービス部門(採用率56%)はAIを活用したチャットボットとナレッジ管理によって満足度が向上したと回答しています。
従来はテクノロジーをあまり重視しない部門でさえ、大きな成果を上げています。人事チームは、生成AIを使用して採用からパフォーマンス管理まであらゆる業務を合理化しており、60%が採用の質が改善したと回答しています。また調達においては、特にアナリティクスや契約管理において76%のユーザーが、生成AIは画期的なインパクトまたは多大なインパクトを与えていると回答しています。製造業務では、需要予測とメンテナンスのスケジューリングが改善され、ユーザーの79%が大きなメリットを得ています。

国別の結果は各国の組織からの回答に基づいています。詳細については調査手法をご覧ください。
このように、さまざまな部門で一貫して良好な結果が得られています。つまり、この調査結果が示しているのは企業における生成AIの可能性のほんの一部にすぎないと言えます。
実装の実態
調査対象となったほとんどの組織(69%)は、最優先の生成AIイニシアチブを進めていますが、多くの組織は難しい戦略的選択を迫られています。さらに18%は、顧客向けのプロジェクトから最も大きなインパクトが生まれると考えていますが、インフラストラクチャの制限、セキュリティ上の懸念、正確性の問題により、従業員向けのイニシアチブに注力しています。また13%の回答者は、従業員アプリケーションに大きな可能性が存在しているにもかかわらず、顧客向けのプロジェクトを優先させています。これは、予測可能なリターンの多い、すぐに展開可能なソリューションが特定されている場合によく見られます。
非構造化データの課題は特に差し迫ったものです。非構造化データは、エンタープライズ情報の80~90%を占めていますが、LLMアプリケーションで利用できる状態にしているアーリーアダプターはわずか11%に留まっています。組織は、時間のかかるデータ管理(55%)、品質の問題(52%)、データの機密性についての懸念(50%)に苦慮しています。私たちが話を聞いたCDOは皆、この1年で構造化データの管理から非構造化データの情報を扱う未開拓の領域へと移行したと語っていました。生成AIのパワーは、非構造化データの貯蔵庫の扉を開け放ちましたが、組織はその大量のデータで溺れていると感じることもあります。
組織は、確かな実践と確立された成功を通じて生成AIをより適切に実装し、その基礎となっている膨大な量のデータをうまく扱えるようになっていくと期待されますが、テクノロジーはさらに進化し、洗練されていきます。ほとんどの組織は、商用とオープンソースのどちらに対してもマルチモデル戦略を推進しています。アーリーアダプターの93%は、今後1年間で少なくとも2つのLLMを展開することを計画しており、59%は3つ以上の展開を計画しています。
モデルのカスタマイズは標準的な手法になっています。アーリーアダプターの96%は、LLMのトレーニング、チューニング、拡張を行っています。これには、専有データによるファインチューニング(80%)、コンテキスト認識と精度を高めるための検索拡張生成(RAG)の実装(71%)が含まれます。このような取り組みでは、多くの場合、マルチテラバイトのデータセットを処理する必要があり、実装がさらに複雑になります。
結論として、ROIの数値と、テクノロジーへの継続的な投資拡大へのほぼ普遍的なコミットメントがともに示すように、生成AIのメリットによって課題は矮小化されているといえます。
データは基本必須事項
最初に行われるPoCによって生成AIの可能性は実証できますが、本番環境へのスケーリングには堅牢なデータインフラストラクチャが必要です。アーリーアダプターはこの点を明確に認識しています。すなわち、81%が、今後1年間でクラウドベースのデータウェアハウスへの投資を増やす計画があり、支出は平均24%増加すると予測しています。
セキュリティは組織の優先事項リストのトップ(84%が「重要」または「極めて重要」と評価)となっており、高度なAI機能や統合されたアナリティクス機能と同程度に強く求められています。しかし成功を収めるためには、技術的なインフラストラクチャだけでなく、パフォーマンスを追跡して最適化するための、適切に設計されたユースケースと包括的な測定システムが必要となります。
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最初の一歩を踏み出したばかり
生成AIが世界をどのように変えるのか、テクノロジー企業、アダプター、社会全体が目指すべき指針やアプローチはどのようなものかについては、まだ議論の余地があります。しかし、企業において生成AIがすでに大きな存在感を示しているのは明らかです。
しかも、AIネイティブの体験はまだ現れていないのです。私たちはこれまで、すでに行っていることをより速く、より良く、より安価にするために生成AIを使用してきました。しかしまもなく、これまで考えもつかなかったような機能を備えたAIが消費者分野で登場するでしょう。モバイル時代と比較してよく言われているのは、スマートフォンアプリの第一波では、Uberのようなものは想定されていなかったということです。
企業が生成AIによって驚異的なリターンを得ている方法についての詳細は、Snowflakeのレポート「The Radical ROI of Gen AI」の全文をダウンロードしてください。