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カスタマーストーリー

データドリブンプラットフォームをSnowflakeで構築 生成AIによるSQL自動生成と関連データの自動収集で 全社的なデータ利活用を促進

セゾンテクノロジーが、Snowflakeを活用して生成AIによるSQL自動生成とデータ収集の効率化を実現。データ分析の工数削減と全社的なデータ活用の推進成功の秘訣とは。

KEY RESULTS:

700名超

全社員にアクセス権限を配付

smiling man
saison logo
業種
Financial Services
所在地
東京都港区

Snowflakeで実現するデータ統合と生成AI活用の新たな挑戦

分散するデータをシステムや業種、国・地域を跨ぎ連携する、日本発のiPaaS 「HULFT Square」で知られるセゾンテクノロジー。同社がデータドリブン経営において直面したのは、生データ収集から経営判断までのタイムラグの問題だった。全社員がデータに直接アクセスできる環境が不可欠と考えた同社は、社内のあらゆるデータを統合するデータドリブンプラットフォームをSnowflakeで構築。2024年6月には生成AIによるSQL自動生成機能を実装している。さらにメタ情報に基づいてAIがデータを自動収集する新機能によって、セゾンテクノロジーのデータ利活用は、新たなステージに入ろうとしている。

Story Highlights
  • 社内のデータを一元化。ガバナンスを効かせた管理を実現
  • データ収集~分析ツールを整備し、スキル向上を支援
  • データ活用と個別データ理解・収集の壁をAIで乗り越える

データドリブン経営の壁になった 動的にデータを捉えられない環境

 セゾンテクノロジー(2024年4月セゾン情報システムズから改称)は、国内外で広く使われるデータ連携製品「HULFT(ハルフト)」シリーズで知られるIT企業。旧セゾングループの情報処理サービス企業として1970年に設立され、金融や流通業界の基幹システムを長く支えてきた同社が、お客様に真に役立つサービスを追求する中で生まれたのが、ファイル連携ツールであるHULFTだった。営業本部 パートナー営業統括部 パートナー営業部 担当部長の池田 陽介氏はこう説明する。

 「誕生以来、約30年にわたりお客様に育てていただいたHULFTは、国内ではデータ連携のデファクトスタンダードとして定着し、今日では世界46カ国、1万2000社以上でご利用いただいています。こうした状況を受け、2023年にはオンプレミス、クラウド、SaaSなどの環境に分散して管理されるデータの統合を支援するiPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)であるHULFT Squareの提供を開始し、大きな支持をいただいています」

 「世界中のデータをつなぎ、誰もがデータを活用できる社会を作る」というミッションを掲げる同社がデータドリブン経営を推進する中で直面したのが、データ収集と経営判断の間のタイムラグの存在だった。経営戦略本部 IT企画室の佐々木 勝氏は言う。

「当社の経営会議はデータに基づくファクトを最重視しています。以前はデータ収集や分析を情シス部門が行っていましたが、この方法では会議資料のデータにタイムラグが生じることが避けられません。会議中に別データの検証が必要になった際には、情シス部門に再依頼することになるため、掲げる理想と現実のギャップは開く一方でした」

 データへのアクセスに情シス部門を経由する必要がある環境は、それに加え、経営層の指示があってはじめてビジネスユーザーがデータ分析を行うことにもつながっていたという。こうした状況を受け、同社が選んだのは、社内のあらゆるデータを統合し、全社員がアクセスできるデータドリブンプラットフォーム(通称、DDP)の構築だった。

SnowflakeのRBACで強固なアクセス制御を実現

セゾンテクノロジーのDDPの考え方には、大きく以下の二つの特徴がある。一つは、人事情報まで含め、社内のあらゆる情報を統合する点だ。もう一つが、分析プラットフォームだけでなく、データ検索~ビジュアライズに至る一連のツールをチュートリアルまで含めて提供する点である。

 データ探索、ダウンロードは同社のメタデータ探索ツールHULFT DataCatalog、処理自動化はETLツールHULFT Square、ビジュアライズに関してはTableauを採用。DDPの中核となるデータ基盤には、主要な製品を比較検討した上でSnowflakeを採用した。その理由を佐々木氏はこう説明する。

「第一のポイントはフルマネージド型サービスを提供する点でした。DWH製品には、データの構造や処理の最適化に関する高度な知識がその運用に必要とされることが少なくありませんが、Snowflakeは極端な言い方をすれば、ボタンを押しただけで運用を開始することが可能です。情シス部門は、既存システムの保守だけで手いっぱいであることが一般的です。オーバーヘッドの必要なく、運用を開始できる点は極めて魅力的でした。またDDPという新たな取り組みを開始する上で、スモールスタート可能な課金体系も大きな魅力でした」

 あらゆるデータの統合と全社員へのアクセス権配付の両立には、強固なアクセス制御が不可欠である。その実現において佐々木氏が注目したのが、Snowflakeが提供するロールベースのアクセス制御(RBAC)の活用だった。

 「データ利活用の促進においては、ユーザーが権限を意識することなくデータにアクセスできることが重要です。RBACによるアクセス制御は、ロールを階層化し、全社員に一つ以上のロールを配付した上でそれを職種別などの上位ロールとつなげるというのが基本的な考え方になります。 DDPの場合、HULFT Squareなどのツールを経由した際のアクセス制御に関する検証が必要でしたが、Snowflakeが提供する有償チュートリアルを活用して検証を行うことで、親和性の高さが確認できました」

 情シス部門の管理業務の省力化という観点では、Active DirectoryとSnowflakeのID・権限の同期にも注目したい。社員の異動や組織改編が頻繁に行われる同社にとって、同期による処理の自動化は対応スピードの向上にも大きく貢献しているという。同社ではHULFT Squareでこの処理を実現し、ユーザー向けのテンプレートとしても公開している。

3 people working on data

「一つは業務に忙殺されてツールやSQLの学習時間が確保できないことに代表されるデータ活用スキルの壁です。もう一つがデータ理解に関する壁というべき課題で、ここにはデータを見つけることや、個別データの信頼性を把握することの難しさが含まれます。これらのハードルを乗り越えるため、私たちが注目したのが生成AIの利用でした」

佐々木 勝氏
株式会社セゾンテクノロジー 経営戦略本部 IT企画室

生成AIによる利用支援機能で一層のデータ利活用を推進

 DDP構想が立ち上がったのは2020年11月のことだ。翌年4月にSnowflake採用を決定し、DDP構築がスタート。2022年4月にファーストバージョンがリリースされた。だが、1年後に実施された利用状況の検証結果は、当初の想定を下回るものだったという。利用者数の伸び悩みもさることながら、そのメリットを考えると当然利用すると思われた部署で想定ほど利用されていなかった点に特に驚かされたと佐々木氏は振り返る。こうした状況を受け、同社はユーザーヒアリングを実施。その結果見えてきたのが、大きく二つの壁だった。佐々木氏は言う。

「一つは業務に忙殺されてツールやSQLの学習時間が確保できないことに代表されるデータ活用スキルの壁です。もう一つがデータ理解に関する壁というべき課題で、ここにはデータを見つけることや、個別データの信頼性を把握することの難しさが含まれます。これらのハードルを乗り越えるため、私たちが注目したのが生成AIの利用でした」

その第一歩として行ったのが、生成AIによるSQL自動生成機能の実装だった。ユーザーの質問を受け、生成AIが生成したSQLを実行し、分析結果もAIを経由してフィードバックするというのがその基本的な仕組みである。ChatDDPと名付けられた新機能が実装されたのは2024年6月のこと。さらに同社は、利用目的に応じてAIが関連データを抽出する「DDP Catalog」を第二の矢として構築中だ。一連の取り組みの狙いを佐々木氏はこう説明する。

 「一つの問いに一つの答えが返ってくるChatDDPは、例えば、残業時間の可視化など、特定の目的でデータ分析を行ってきたユーザーには有効なツールですが、データ利活用の促進という本来の目的を考えると効果は制約的にならざるを得ません。それに対し、メタ情報に基づき、AIが分析目的に関連するデータを自動収集するDDP Catalogはデータ利活用の真の起爆剤になると考えています」

 AIによるデータ自動収集機能の開発と並行して、同社はメタデータの見直しも行っている。

 「これまでメタ情報は管理者の視点から付与されてきましたが、それではビジネス部門のニーズへの貢献は期待できません。例えば、データの信頼性を把握する上では参照数が大きな意味を持ちますが、メタ情報にこうした情報を含めるという発想はこれまでありませんでした。この反省からメタ情報管理テーブルを新たに設け、ダウンロード数やビジネス用語に関連する情報をそこで管理し、DDP Catalogに反映される仕組みを開発中です。課題解決に必要なデータをAIが自動収集する仕組みは、プロジェクトの課題抽出やアイデアの壁打ちに大きな役割を果たすと共に、当社の課題であったリアルタイムデータに基づくデータドリブン経営の実現にも貢献すると考えています」

企業の垣根を越えたデータ利活用にSnowflakeを活用したい

 セゾンテクノロジーにおいて、DDP活用が進む部門の一つがマーケティング部門だ。マーケティング部 ソリューショーンマーケティング課の蔵 朋樹氏はこう語る。

 「イベントに参加予約されたお客様の情報収集がすぐに行えるなど、スピード感が生まれたことが第一の成果だと考えています。その際、情シス部門とのやり取りが一度で終わらず、何度もラリーを繰り返していたことを考えると、省力化という観点でもその意義は大きいはずです。マーケティング部門は、Web実装、コンテンツ開発、プロモーションの大きく3チームが一つの施策のもと動いていますが、それぞれ評価指標が異なることもあり、施策ごとの分析をしにくいのが実情です。今後はこうした課題解決にもDDPを活用していきたいと考えています」

 DDPによるデータ利活用促進と共に同社が見据えるのが、企業の垣根を越えたデータ利活用の促進である。佐々木氏は言う。

「自社内で事業を完結させるのは今後ますます難しくなると私は感じています。他社との協業でビジネスを成功させようとする場合、必ず出てくるのがデータ利活用に関する課題です。そういう意味で、Snowflakeのデータシェアリングやデータクリーンルームの活用も積極的に進めていきたいと考えています」

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