生成AIの活用事例:Cortex AIを使用して時間を節約し、顧客体験をパーソナライズ

企業は皆、何年にもわたって、AIを活用できるのは自社で開発できるリソースを持つ巨大企業だけであるという一般的な考えを抱いてきました。しかし、テクノロジーの進化に伴い、あらゆる規模の組織が、生成AIはただの憧れではなく、利用して適用できるものであることに気づき始めています。
Snowflakeの使いやすい、統合されたAIとデータのプラットフォームにより、企業は生産性を低下させる手作業、ボトルネック、エラーを起こしやすい作業を排除し、生成AIを使用して新たなインサイトや収益源を実現しています。しかし、実践はどうでしょうか。
このブログシリーズでは、私たちのお客様が実稼働環境で現在使用している、革新的な生成AIソリューションを集めてご紹介しています。彼らのストーリーは、SnowflakeとCortex AIによってどのようにして生成AIの目標に手が届くようになり、同時にビジネス価値も加速したかを示すものです。
Firework:消費者とのパーソナルなつながりを提供するAIバーチャルショッピングアシスタントを開発
ビデオコマース企業であるFireworkは、オンラインショッピング体験に人間的なつながりを加えるために、従来とは異なるソース、つまり、AIを採用しました。購入可能な動画やライブストリームのリーダー企業としてすでに定評を得ている同社は、売り場スタッフが買い物客の画面やモバイルデバイスに1対1で対応する、パーソナライズされた接客方法を求めていました。
しかし、このような高度なアシストショッピング体験の構築には、多くの課題が伴いました。中でも重要なのが、顧客からの質問に対して質の高い回答を生成することです。FireworkのシニアエンジニアリングマネージャーであるShawn Feng氏は、「AIアプリケーションの品質は、ナレッジベース内の高品質のデータに大きく依存していることをすぐに理解しました」と話します。Fireworkは、SnowparkとCortex AIを使用して、何千もの匿名の顧客の会話の集約、クリーニング、分類を行い、消費者の関心や問題点を把握することから始めました。これが、最終的にCortexのLLMアプリケーションを強化するデータファウンデーションの基盤となりました。
「CortexとSnowparkは、他社製品と比較して、間違いなく使いやすさにおいて際立っていました」と、Feng氏は言います。このパイプラインの生データの処理を、PySparkとDatabricksからSnowparkに移行したことで、FireworkはバーチャルアシスタントのエンドツーエンドプロセスをSnowflake内に完全に封じ込め、時間と費用の両面でより効率的でシンプルなものとしました。
結果として、Fireworkは、現在AVA(AI Video Assistant)と呼ばれる、消費者の購買ジャーニーを通して顧客の言葉を聞き、考えて話しかけるAI生成アバターを開発できるようになりました。AVAは、返品ポリシーに関する質問に答えることができます。何千もの商品レビューを数秒で調べて要約することも、先月購入したパンツにぴったりの色のセーターについて、パーソナライズされたレコメンデーションを提示することもできます。
Harkins Builders:AI駆動のアプリでプロジェクトレポートの作成時間を100時間以上短縮
商業建築の世界には、引き渡し資料と呼ばれる、プロジェクトの事前準備段階と実際の建築段階を橋渡しする重要な文書があります。この報告書は、建設チームが着工するために必要な重要な情報をすべて提供する文書です。プロジェクトの詳細、規模、特徴、使用する建設材料、プロジェクトの範囲、予算見積もりなど、すべてが含まれています。
年間約100件のプロジェクトを遂行する、建設管理業と総合建設業の企業であるHarkins Buildersでは、引き受け資料の作成は非常に面倒で時間のかかる作業でした。プロジェクトの見積もり担当者は、Snowflake、またはHarkins Buildersの顧客関係管理システムであるDynamics 365から関連情報をすべて収集し、手作業でレポートを作成する必要がありました。最終的に、各レポートの作成には少なくとも1時間かかっていました。また、プロジェクトに複数の見積もり担当者がいて、それぞれの知識のギャップに対処しなければならない場合は、さらに時間がかかりました。
しかし、Harkinsは、Snowflake内に強固な統合データファウンデーションを構築していたため、アナリティクスチームは引き渡し資料の作成プロセスを大幅に自動化する方法を見つけました。2か月以内に、データおよびソフトウェアのエンジニアであるBen Pecson氏は、Cortex AI駆動のプロセスを通じてHarkinsの見積もりをガイドするアプリケーションを開発しました。これにより、引き渡し資料にかかる時間が1時間以上から5~10分に短縮されました。このアプリは、Snowflake内にすでに存在するデータを取得していくつかのプロンプトを作成します。このプロンプトから(まさにビルディングブロックのように)選んでいくことで、完全な引き渡し文書を作成できるのです。「見積もり担当者は、雑草の間からではなく鳥瞰的な視点で、引き渡し資料を検討できるようになりました」と、Pecson氏は言います。「これは時間の節約につながります。Harkinsでの時間は大変貴重です」
Pecson氏によると、このアプリは、見積もりチームからだけでなく、同じく引き渡し資料を使用するマーケティングチームからも圧倒的な高評価を得ているとのことです。彼は、同じアーキテクチャとコードベースをHarkinsの他のプロセスにも適用し、ビジネスの効率性をさらに高めたいと考えています。
Drata:数分で顧客をオンボーディング
データプライバシーとセキュリティプラクティスの重要性と複雑さが増しているなかで、世界中の企業が、セキュリティ態勢の強化、ベンダーの継続的な監視、監査準備の徹底のために、Drataのような信頼できる管理プラットフォームにますます目を向けています。この分野で最も成長著しいプラットフォームであるDrataは、四半期ごとに数百社の新規顧客を獲得しており、成長に合わせてオンボーディングプロセスを最適化する必要に迫られています。
データプラットフォームチームは、Cortex AIを使用して、既存のDrataの制御と顧客のカスタム制御との間で最も適切なマッチングの推奨を提示する生成AIソリューションを作成し、プラットフォームのセットアップを合理化しました。この新しいプロセスにより、コンプライアンスマネージャーや導入マネージャーに必要なアクションが、数週間から数分に短縮されます。Drataのデータ担当副社長であるLior Solomon氏は、「顧客のオンボーディング満足度だけでなく、どれだけの数の顧客をオンボーディングできるかという点で、ビジネスにとっても大きな意味を持っています」と述べています。
Drataのデータチームは、チャットプラットフォームを通じて受け取った顧客フィードバックの感情分析など、顧客フィードバックの処理にもCortexを使用しています。これにより、製品の顧客体験に関するインサイトをプロアクティブに収集できるようになっています。「Snowflakeはイテレーションのスピードアップに役立ちます」と、ソロモン氏は言います。「仮説を立てて迅速にテストできるのは、すべてのデータを1か所に集約しているからです」
すべての人に生成AIの未来を
こうした活用事例は、さまざまな業界の組織が生成AIアプリを実稼働環境に移行して素晴らしい可能性を拓いているという、ほんの一部の例です。さらにあわせて、Snowflakeの組み込みのセキュリティとガバナンスを活用することで、AIをワークフローにセキュアに取り込むことはかつてないほど容易になっています。Document AI、Cortex Search、Snowflake Copilot、Cortex Analyst(パブリックプレビュー中)のいずれを使用する場合でも、Snowflakeの統合されたAIとデータのプラットフォームが、エンタープライズ級の生成AIアプリケーションの構築を支えます。
BayerやSiemens Energyなど、その他の企業が生成AIをどのように使用して収益を増やし、生産性を高め、顧客により良いサービスを提供しているかについては、SnowflakeのカスタマーサクセスについてのeBook、「Secrets of Gen AI Success」をぜひダウンロードしてください。