インダストリー4.0に関するブログシリーズの第2回では、お客様が解決したい一般的な業界のユースケースを取り上げ、Snowflakeプラットフォームをインダストリー 4.0向けに活用する方法を紹介します。  

前の投稿で説明したように、インダストリー4.0の主な原動力の1つが、膨大な量のデータを収集して分析し、より高度なアナリティクスのユースケースを活用し、迅速な意思決定を行う能力です。データドリブン型のインサイトを生み出すために、企業はITとOTの両方のデータの大規模な取り込みに対応するデータパイプラインを備えた基本的なクラウドプラットフォームを必要としています。さらに、このような製造データプラットフォームでは、クラウドで確立された正確なアセットモデルとプラント階層をAI/MLベースのアナリティクス機能と組み合わせることにより、IT/OTの集約を促進する必要もあります。

 製造業向けのSnowflakeデータクラウド

Snowflakeは、データパイプラインを備えたこの製造クラウドプラットフォームを確立して、ITとOTの両方のデータを取り込み、集約を促進する必要があることを理解しています。これをStreamlitやSnowParkなどの分析ツールと組み合わせることで、インダストリー4.0のユースケースを実行するために必要な分析機能をお客様やパートナーに提供します。

Snowflakeのビジョンは、ITとOTのデータを経済的かつスケーラブルな方法で取り込むためのオープンなパイプラインを確立し、すべてのパートナーとお客様の顧客がアプリケーションを構築する中心点をデータクラウド上に移すことです。

製造業向けデータクラウド上でPowered by Snowflakeアプリケーションを活用

データアナリティクスのユースケースは、次の4つのカテゴリーに大別されます(大量のマルチディメンショナルデータがあるため、この4つのカテゴリーすべてでAI/MLを活用してインサイトを導き出しています):

  • 記述的分析:製造施設で「何が」起こっているかについての詳細を提供するための分析ツール(例:OEEやサイクル時間などの製造KPIなど)
  • 診断分析:イベントが発生した「理由」を特定するのに役立つ分析ツール(例:機械の計画外のダウンタイムが発生した理由など)
  • 予測分析:異常を検出し、イベントが発生する前に予測するための分析ツール(例:異常を検出することにより、機器の故障や品質の低下を発生前に予測するなど)
  • 規範的分析:これらの分析は、データ、AIモデル、およびビジネスルールを組み合わせて意思決定者向けの推奨事項を生成し、あらゆる状況において組織がとるべき最善の行動方針を特定するのに役立ちます(例:メンテナンスのスケジュールを設定し、スペアパーツを注文する上での推奨事項を提供することにより、機器の故障を防止するなど)。

お客様やパートナーが製造業向けSnowflakeデータクラウド上で構築しているソリューションおよびアクセラレーターには、次のようなものがあります(これは完全なリストではありません)。

サイクル時間分析:サイクル時間とは、機械またはプロセスが1つの生産サイクルを完了するのにかかる時間を指します。サイクル時間を短縮すると、一定期間内により多くのユニットを生産できるため、製造プロセスの効率性と生産性が向上します。主に自動車産業やハイテク産業などの大量生産環境において、お客様は、製造アセットを効果的に活用して軽微な停止を分析してその削減を目指し、サイクル時間の改善につなげていこうとしています。

インダストリー4.0設定でサイクル時価を分析し最適化するには、いくつかの方法があります。たとえば、機械からのデータを他のデータセットと組み合わせて使用すると、生産プロセスのボトルネックや非効率性を特定できます。AIおよび機械学習(ML)アルゴリズムは、このデータを分析し、プロセスの改善を提案できます。さらに、サイクル時間をほぼリアルタイムで監視することにより、全体的な性能の最適化を目指してリアルタイムで調整することもできます。LTI、Wipro、Dataikuなどのパートナーが提供する記述的分析から予測分析に至るまでのソリューションは、サイクル時間の指標を理解し、それらを最適化するのに役立ちます。 

歩留まり: これは、生産プロセスで使用される原材料の総量に対して、生産に成功した製品の割合を指します。たとえば、ある工場で、500単位の原材料から100単位の完成品が生産される場合、歩留まりは20%となります。歩留まりは、生産の全体的なコストに影響を与える可能性があるため、製造における効率性の重要な尺度です。 

製造における歩留まりに影響を与え得る要因としては、原材料の品質、生産プロセスの効率、品質管理手段の有効性が挙げられます。歩留まりの改善には、生産プロセスのボトルネックや非効率性を特定してそれに対処することが含まれます。これが品質の改善につながる場合もあります。これは、データおよびAIドリブンのインサイトを実装してRCAを加速させ、これらのボトルネックと品質の問題を削減したり排除したりすることで歩留まり全体を改善することによって達成できます。当社のパートナーであるDataikuのソリューションは、製造業向けデータクラウドとSnowflakeの分析ツールをご活用いただいているお客様に、精度の高いビジネス成果を示しています。

OEE:総合設備効率(OEE)は、製造プロセスまたは生産ラインの効率を測定するために使用される指標です。これは、生産プロセスがどれだけ効果的に利用されているかを示す尺度であり、可用性、性能、品質などの要素を考慮しています。可用性とは、計画的および計画外のダウンタイムを考慮した上で生産ラインが生産に利用できる時間の割合を指します。性能は、サイクルの遅延や機械の速度などの要因を考慮して、設計された能力と比較した生産ラインの動作速度を評価するものです。品質は、生産された製品の総数と比較して、生産された良品の割合を示すものです。

OEEは、生産プロセスの可用性、性能、品質を掛け合わせて計算されます。たとえば、生産ラインの可用性が90%、性能が95%、品質が99%の場合、そのOEEは次のように計算されます:OEE = 90% * 95% * 99% = 84.55%。このOEEの計算には、機械と、品質/メンテナンスシステムなどのITシステムの両方からのデータが必要となります。LTIなどのパートナーは、OEEインサイトとRCAツールを提供してOEEの低下を把握し、それを個々の構成要素に関連付けて問題をより効果的に理解するためのソリューションを提供しています。 

予測的メンテナンス:これは、データと分析を使用して機器や機械が故障する可能性がある時期やメンテナンスが必要になる時期を予測し、事前にメンテナンスをスケジュールするというメンテナンス戦略です。これは、問題点や障害が発生した場合にのみメンテナンスを実施する事後メンテナンスや、設備の現状に関わらず決められたスケジュールでメンテナンスを実施する予防的メンテナンスとは対照的です。

インダストリー4.0の文脈では、機器や機械の性能と状態に関するデータを収集するセンサーやIoTテクノロジーを使用して、予測的メンテナンスを有効化できます。このデータは、MLアルゴリズムなどの予測分析手法を使用して分析できます。MLアルゴリズムででは、メンテナンスが必要になる可能性が高い時期を示すパターンや傾向を特定できます。事前にメンテナンスをスケジュールすることで、予定外のダウンタイムのリスクを最小限に抑え、生産プロセスの全体的な信頼性と効率を向上させることができます。WiproやLTIなどのパートナーは、SnowflakeのAI/ML機能とSnowparkを活用して、予測的メンテナンスアプリケーションを構築しています。 

品質:インダストリー4.0テクノロジーを使用して製造の品質を向上させる方法もいくつかあります。最も一般的なアプローチの1つは、コンピュータービジョンベースの品質管理を採用して品質管理プロセスを自動化することです。このアプローチでは、人間が目視検査を行う代わりに、欠陥を検出するようトレーニングされたAIモデルを活用して目視検査を行うCVシステムが採用されています。これにより、このプロセスの検査精度とスループットが大幅に向上します。Snowflakeは、このユースケースを実践できるよう、Snowflakeデータクラウド上にソリューションを構築しているWiproやDataikuなどのパートナーと協力しています。  

エネルギーの最適化:お客様からの関心が高いもう1つの重要なユースケースは、製造施設でのエネルギー消費の最適化です。エネルギーの最大の消費者は生産を実行する機械であり、HVACシステムと空気圧縮装置がそれに続きます。お客様は、製造施設のピーク負荷特性を理解し、製造中のライン、機械、シフト、オペレーター、および製品に関するエネルギーデータをコンテキスト化することにより、ピーク負荷を軽減する必要があります。さらに、お客様は、セットポイントベースで機能するサーモスタットを使って空調システムを制御する代わりに、AI/MLアルゴリズムを活用して生産施設の冷暖房を行うことで、全体のエネルギー消費を最適化することも求めています。Snowflakeは、Opto 22などのパートナーと協力しています。Opto 22は、電力計や機械から忠実度の高いエネルギーデータを取得できるエネルギーセンサーを提供しており、その後、SnowparkとStreamlitを活用して、このデータを視覚化、コンテキスト化、および最適化に使用することができるようになっています。

次の産業革命の準備はできていますか?

製造業によるインダストリー 4.0の新時代への対応においてSnowflakeデータクラウドが、どのように役立つかについては、製造業向けSnowflakeをご覧ください。