Data for Breakfast Tokyo | 3月17日(火)開催

データとエージェント型 AI を活用してビジネスインパクトを創出するには?

カスタマーストーリー

AIと経済学で実現する価格戦略の革新。クーポン原資最大70%削減ソリューション『価格エージェント』をNative App Frameworkでセキュアかつスケーラブルに展開

データ分析工数も約30%削減した、価格戦略DXの先進的なケーススタディです。サイバーエージェントは、AIと経済学を融合した「価格エージェント」を提供。Snowflakeでセキュアな分析基盤を構築し、売上維持とクーポン原資最大70%削減を両立。データ分析工数も約30%削減した、価格戦略DXの先進事例です。

70%AI×経済学に基づきクーポン原資を最大70%削減

30%データ分析連携の間接業務工数を約30%削減

japanese cyberagent employee
cyberagent logo
業種
Advertising, Media & Entertainment
所在地
東京都渋谷区

AI×経済学で「誰に」「いくら」を最適化する「価格エージェント」

インターネットを軸に多角的な事業を展開する株式会社サイバーエージェントは、AIと経済学を融合させたソリューション「価格エージェント」の提供を開始した。購買データを解析し「誰に」「いくら」値引きすべきかを予測することで、企業における値引き原資の効率化とROIの大幅な向上を実現し、売上を維持しつつクーポン原資を最大70%削減する実績を挙げている。このソリューションの利用顧客へ、セキュアかつスケーラブルな展開基盤としてSnowflake Native App Frameworkを採用。Readerアカウントによる安全な分析結果共有と、Re-Sellerアカウントによるさらなる拡張性を可能にし、価格戦略のDXを強力に推進する。

このストーリーのハイライト
  • AI×経済学に基づきクーポン原資を最大70%削減
  • Native App Frameworkで分析ロジックを汎用化し個別実装を解消
  • Reader/Re-Sellerアカウントでセキュアな展開と拡張性を両立

高騰する原資と一律販促企画による非効率性の顕在化

 インターネット広告事業を軸に成長を続ける株式会社サイバーエージェントは、メディア&IP、ゲーム、AI、DXといった多角的な事業を展開している。同社がAI事業本部で推進するリテールメディアや小売DXの領域において、喫緊の課題となっていたのが、クーポンやポイントなどの「値引き原資の効率化」であった。原材料費や人件費の高騰、円安といったコスト圧力がかかる現代において、販促費の効率化は多くの企業にとって避けて通れない共通の経営課題といえる。

 従来、販促施策は、過去の経験則に基づき全顧客に対して一律の値引きが行われていたが、購買意欲の高い顧客に対しても一律の値引きが行われるなど、施策効果の最大化や最適化が困難である点が課題となっていた。背景には、顧客の多様化や商品ラインナップの複雑化により、従来の経験則に基づいた値付けは難しくなっていたという実情がある。特に小売業界では、アプリユーザーに対して多種多様なクーポンを全員に配る運用が見られ、企業が期待するアップセルやクロスセルが発生しないという課題も発生していた。

 この課題に対し、サイバーエージェントはAI技術と経済学分析手法を組み合わせた科学的なアプローチで価格を最適化するソリューション「価格エージェント」の開発・提供を開始した。同社は2016年よりAI技術の研究開発組織「AI Lab」内に経済学研究チームを設立し、インターネット広告オークションにおける入札金額の最適化などで知見を蓄積してきた。この知見と技術を応用し、AI×経済学で購買データを解析し、「誰に」「いくら」値引きすべきかを精緻に予測する。このアプローチは、値引きによる「行動変容」をユーザー単位で捉える。具体的には、クーポンがある世界とない世界での購買行動の差分(クーポンの効果)を予測する、因果推論の応用技術に基づいている。

 しかし、この高度な分析ロジックを顧客企業に展開するにあたり、新たな課題が浮上した。価格エージェント事業責任者の藤田 光明氏は、その課題について説明する。

 「顧客データは機密性が高く、クライアントは完全に隔離された環境で分析して欲しいというセキュリティニーズを持っています。一方、我々は、個別実装を避け共通の基盤でアプリケーションをスケールさせたいという相反するニーズを抱えていました。クライアントごとに個別の環境をホスティングすることは運用コストが高く、ロジックの共有リスクも伴うため、セキュリティとスケーラビリティの両立が求められていたのです」

「我々が提供したいのは分析ロジックであり、最もシンプルにその価値をお客様に提供できるのがSnowflakeだったことが、選定の最大の要因です。元々リテールメディア戦略において、顧客データと分析ロジックをセキュアにシェアリングする仕組みが重要視されており、データクリーンルームなどで培われたSnowflakeの分析基盤技術への信頼があったからです」

春日 瑛 氏
株式会社サイバーエージェント AI事業本部 Data Science Center Staff Engineer

「分析ロジックの価値」をシンプルに提供するNative App Frameworkの戦略的活用

 価格エージェントがこの課題解決のために着目し、戦略的に採用したのがSnowflakeの機能群、特にNative App FrameworkとReaderアカウントであった。

 価格エージェントのコアとなる価値は、同社が独自に開発したAIと経済学を融合した分析ロジックにある。このロジックの価値を、いかにスケーラブルかつセキュアに顧客へ届けるかが焦点となった。AI事業本部 Data Science Center Staff Engineerの春日 瑛氏は、Snowflakeを選定した最大の理由についてこう語る。

 「我々が提供したいのは分析ロジックであり、最もシンプルにその価値をお客様に提供できるのがSnowflakeだったことが、選定の最大の要因です。元々リテールメディア戦略において、顧客データと分析ロジックをセキュアにシェアリングする仕組みが重要視されており、データクリーンルームなどで培われたSnowflakeの分析基盤技術への信頼があったからです」

 Native App Frameworkの採用により、価格エージェントはコードやクエリ、Streamlitアプリケーションといった自社の分析ロジックやUIをパッケージ化し、汎用的なアプリケーションとして提供することが可能になった。これにより、お客様のPOSデータやユーザーマスタといった秘匿性の高いデータと、価格エージェント側の分析ロジックを、完全に別のアカウント上で分離・運用することが可能となり個人情報の安全性を担保しつつスケーラビリティを持たせる道筋ができたのである。

 特にセキュリティとスケーラビリティの両立を実現したのがReaderアカウントの活用である。Readerアカウントは、Snowflakeのアカウントを保有していない顧客に対しても、機能が限定された閲覧専用のアカウントとして発行可能である。これにより、クライアントは提供された分析ロジックやUIを内包したパッケージをインストールし、Readerアカウント内で、自社が持つデータをセキュアに分析できる。また、このパッケージにはStreamlit in Snowflakeを用いて開発したダッシュボードまでを含めているため、分析結果の可視化と意思決定のプロセスを一気通貫で提供できるようになった。

売上を維持し原資を最大70%削減。意思決定を加速させたダッシュボード運用

 Snowflakeを基盤とした「価格エージェント」の導入は、ドラッグストアやアパレルメーカー、EC事業者など幅広い業界で先行導入が進み、短期間で目覚ましい成果を上げている。最も大きな成果は、売上を維持したまま、クーポン原資を最大70%削減した実績である。

 ある小売企業での事例では、全ユーザーに配布していた多くのカテゴリークーポンに対し、AIモデルを適用しクーポン効果を分析した。その結果、クーポンによる売上効果があったのは一部のユーザーのみであり、ほとんどのユーザーには効果がなかった。価格エージェントは、真に効果のあるユーザーのみにクーポンを配信することで、売上を維持しつつ、値引き原資を70%も削減することに成功した。削減された原資は、新商品開発やポイントプログラム拡充など、ユーザー体験向上施策に再投資され、持続的なROIの向上に貢献する。

 また、Native App FrameworkとStreamlit in Snowflakeを活用して提供されるダッシュボードは、顧客の意思決定を大きく支援した。Streamlitの画面上で、顧客側がターゲット層やクーポン額、予算といったパラメーターを設定し、その結果をAIモデルでシミュレーションすることが可能となった。これにより、最適な施策設定に関する議論が顧客と価格エージェントとの間で可能になった。

 春日氏は、Streamlitによるダッシュボードを通じた顧客とのコミュニケーションの改善を指摘する。

 「意思疎通がスムーズになり、お客様のビジネスユースケースに合わせて適切に我々の分析結果を提示できています。この一連の仕組みは、顧客側におけるデータ分析のリードタイムを短縮し、データ分析結果の共有に関わる間接的な業務工数を大幅に削減する効果ももたらしています。感覚値では、それらの間接的な業務工数を約30%削減する効果が得られました」

Re-sellerアカウントの移行で柔軟性を高め、AI機能とエコシステムで次世代戦略へ

 価格エージェント事業は、EC事業者や小売・アパレルでの実績を基に、飲食などクーポンを発行する幅広い業界への拡大を目指す。また、店舗別の価格変更など、より広範な価格戦略の最適化にもスコープを拡大していく考えだ。

 さらに、Snowflake基盤においては、Readerアカウントによる閲覧機能に加え、さらなる拡張性・柔軟性を追求するため、Re-Sellerアカウントへの移行を検討している。現在のReaderアカウントでは顧客側での再学習や更新に制約があるが、Re-Sellerアカウントを用いることで、顧客側がパラメーターを入力してモデルを再学習させたり、定期更新、通知連携といった高度な機能を、シームレスに顧客環境内で完結させることが可能になる。

 藤田氏は、Re-Sellerアカウントへの移行の意義を、顧客の価値に焦点を当てて語る。

 「このSnowflakeエコシステム上であれば、分析に必要な商品マスターやPOSデータに加え、動画配信SDKのログなど、異なるプロダクトで収集されたデータも容易に連携できます。今後もサイバーエージェントは、Snowflakeの進化するAI機能の活用にも注目し、価格エージェントを皮切りに、データドリブンな価格戦略を通じて日本の産業全体の活性化に貢献していきます」

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