お客様との対話の中で、ある明確なジレンマが浮き彫りになっています。企業はAIに積極的な投資を行っていますが、同時にその経済性についてもより厳格になっています。従業員がAIを使用していることや、トークンの消費量が増加していることを示すだけでは、もはや十分ではありません。利用状況はインプットにすぎません。重要なのは、企業がその見返りとして何を得るかです。
企業は次のように問いかける必要があります。ビジネスのスピードは向上しているか。コストは削減されているか。より優れた製品やカスタマーエクスペリエンスを創出できているか。最終的に、AIは測定可能なビジネス価値に変換されなければなりません。
私はこれをインテリジェンスの効率化と呼んでいます。つまり、企業がコンピュート、モデル、データ、コンテキストをいかに効果的にビジネスのインパクトへと変換できるかということです。収益の増加。コストの削減。実行の迅速化。この効率化を達成するには、モデルの柔軟性が必要です。これには、目的に最適なモデルを自由に使用できることと、コスト、スピード、パフォーマンスに基づいて各タスクを適切なモデルに割り当てるインテリジェントなルーティングを活用できることの両方が含まれます。業界は過去数年間、個々のモデルの機能最適化に費やしてきました。現在、企業は成果を上げるために、それらのモデルを取り巻くシステムを最適化する必要があります。
この変化は、新興のオープンモデルの台頭がAIのコスト構造を変えつつある中で起きています。多くのワークロード、特にシンプルで明確に定義されたタスクにおいて、主要なオープンモデルは、フロンティアモデルのわずかなコストで強力なパフォーマンスを提供します。オープンモデルの継続的な改善に伴い、モデルの選択肢が増えることで、エコシステム全体で競争が激化し、イノベーションが加速し、コストが低下するはずです。
ここに、企業にとっての大きな可能性が秘められていると私は考えています。タスクあたりのコストが低下するにつれて、AIを適用する意義のある基準も低下します。かつては自動化にコストがかかりすぎたワークフローも経済的に実行可能になり、組織はビジネスのより幅広い領域で自由に実験と反復を行い、最終的にAIを展開できるようになります。
しかし、モデルによってコスト、品質、レイテンシーの曲線上の位置は異なり、その位置は常に変化しています。今日あるタスクに最適なモデルが、半年後も最適であるとは限りません。だからこそ、インテリジェンスの効率化には、企業が柔軟なモデルのポートフォリオを採用することが必要だと私は考えています。
お客様との対話の中で、私はすでにこの変化を目の当たりにしています。課題は、「どのモデルを標準化し、どこに適用すべきか」から、「すべてのタスクに対して最適なモデルを継続的に選択するにはどうすればよいか」へと移行しています。
Snowflakeは、Anthropic、Google、Mistral AI、OpenAI、SpaceXAIの主要なオープンモデルおよびプロプライエタリモデルを統合する中立的なエンタープライズプラットフォームを構築しました。さらにSnowflakeは、GLM-5.3 とDeepSeek-V4-Flash 0731のサポートにより、その選択肢を拡大していく予定です。
この自由と柔軟性は、私たちが考えるエージェンティックエンタープライズの基盤となるものです。モデルが進化し続ける中、企業は自社のデータとコンテキストの全範囲にわたって、そのイノベーションの恩恵を受けられるべきです。
これこそが、ビルダー向けのSnowflake CoCoと、ビジネスユーザー向けのSnowflake CoWorkを通じて私たちが提供しているものです。CoCoとCoWorkはすべてのデータにわたってシームレスに機能し、単一の対話型インターフェイスでさまざまなモデル、エージェント、ワークフロー、システムを活用できるようにします。モデルはシステムの重要な一部ですが、ユーザーが常に管理しなければならないものであってはなりません。
これは、私が考える企業の次の課題、つまりAIをいかに効果的にオーケストレーションするかという点につながります。そのため本日、お客様が目の前のタスクに適切なモデルを活用できるよう支援する、Cortex AI Gatewayの動的モデルルーティングを発表します。これによりお客様は、承認するモデルと重視するトレードオフを定義できるようになります。そこからCortex AI Gatewayは、実際のコストやパフォーマンスのデータとともに、それらのポリシーに照らし合わせて各タスクを評価し、ユースケースごとに最適なモデルを選択します。
システムはまた、その結果から学習します。あるモデルがタスクを完了した後、別のモデルがその結果の品質を評価することで、継続的なフィードバックループが形成され、将来のルーティングの決定が改善されます。モデルが向上し、状況が変化するにつれて、システムもそれに適応し、品質、コスト、レイテンシーを継続的に改善できます。
当社の初期のベンチマークでは、このアプローチにより、単一のモデルのみに依存する場合よりも、一定の品質レベルにおいて優れた経済性を実現できることが示されています。また、この機能はCoCoおよびCoWorkに直接統合されているため、新しいモデルや機能が登場しても、お客様は既存のエージェントやワークフロー内で価格とパフォーマンスの最適化を活用できます。
本日の発表は、創業当初からSnowflakeを導いてきた哲学を反映したものです。テクノロジーの大きな変化は、複雑さを生み出します。私たちの使命は、お客様に代わってその複雑さを吸収することです。私たちはデータインフラストラクチャにおいてそれを実現し、現在はAIにおいても同様の取り組みを行っています。Snowflakeがバックグラウンドでモデルの選択、ルーティング、最適化の複雑さを管理することで、企業はタスクに最適なインテリジェンスを自由に使用できるようになります。このようにして、私たちはお客様が真のインテリジェンスの効率化を実現できるよう支援しています。

