
カスタマーストーリー
DX経営のデータ基盤にSnowflakeを採用幅広いDX人材育成プログラムを通して全社データドリブン文化の醸成を目指す
住友ゴム工業株式会社は、DX経営のデータ基盤にSnowflakeを採用。製造DXにおける課題を、Snowflakeの導入とDX人材育成プログラムを通して解決。IoTデバイスが生成する膨大なデータをはじめ、データ蓄積と整理をめぐる数々のボトルネックを解消し、分析の効率化に成功した軌跡と次ステージの展望とは。
KEY RESULTS:
96%
BIツール処理時間を削減


業種
Manufacturing所在地
兵庫県神戸市IoTデータ管理の壁を突破:データドリブンで製造DXを加速する
製造DXに早くから取り組んできた住友ゴム工業にとって、IoTデバイスが生成する膨大なデータの蓄積・管理は、長らく大きな課題だった。また、データに基づいた意思決定を全社レベルで実現するには、データ分析のレスポンス向上が不可欠だった。オンプレミスのSQLサーバーによるサイロ化されたデータ管理から、社内外の膨大なデータをSnowflakeに一元的に蓄積する環境に移行することで、データ利活用をよりスムーズに実現した。現在、住友ゴム工業はDX人材育成を通し、真のデータドリブン文化の醸成に取り組んでいる。
Story Highlights
- DX経営における膨大なデータのスムーズな蓄積・管理
- 従業員教育によるデータドリブン文化醸成の取り組み
- データによる新ビジネスの構築
製造DXのボトルネックになったデータ準備のプロセス
住友ゴム工業は、1888年に世界初の自転車用空気入りタイヤを実用化したダンロップ社の流れを汲み、1909年設立の国内初の近代的ゴム工場を起点に、タイヤ事業を軸足に最先端ゴム技術による価値創造に取り組んできた。2025年1月には、ダンロップブランドの世界展開を一社で担うことになり、グローバル戦略に大きな注目が集まっている。
DXへの取り組みをいち早く開始したことも同社の特徴の一つだ。一連の取り組みを担ってきたデジタル企画部 兼 経営企画部 兼 製造IoT推進室 データ&アナリティクス推進グループ 課長の金子 秀一氏はこう説明する。
「私たちは、さまざまなレベルの意思決定におけるデータ活用こそがDXの一丁目一番地であると考えています。さらに言えば、あらゆるビジネスの現場でデータドリブンな意思決定が行われることを目標にDXを推進しています。その第一段階として2017、2018年頃から取り組みを開始したのが、BIツールによるデータ可視化とマインドセットの醸成でした」
次のステップと位置付けたのは、製造現場のIoTデバイスをはじめとする膨大なデータを一元的に管理し、活用できる環境の構築だった。そこで問題になったのがサイロ化と増え続けるデータ処理の課題だった。
「タイヤ製造プロセスは複雑で、IoTデバイスが生成するデータ量も膨大なものになっています。以前はオンプレミスのSQLサーバーでデータを管理していたため、誰もがあらゆるデータにアクセスできる状況からはほど遠いのが実情でした。また、コンピューティングリソースの制約から期待するレスポンスが出ず、データ蓄積・整理のボトルネックがデータ利活用を阻害する状況が続いていました」
データ基盤としてSnowflakeを採用し、 DX人財育成でデータドリブン文化を醸成
サイロ化とスケーラビリティという二つの課題を解決するには、膨大なデータをデータレイクのように蓄積でき、誰もがスムーズにアクセスできるデータ基盤が不可欠だと判断した同社は、2021年にリサーチを開始した。その中で出会ったのがSnowflakeだった。
「ボトルネック解消という観点で最も重視したのは、データ格納と処理実行のスピード感でした。ダミーデータをもとに3、4カ月かけて行ったPoCにおいて、課題解決への十分な手応えが得られたことがSnowflakeを選択した第一の理由です。『データの民主化』をはじめとするSnowflakeのビジョンと我々が目指している方向性が合致していたことも理由の一つでした」
ユーザビリティも選定にあたって重視したポイントの一つだ。
「現場レベルのデータ活用という観点では、やはり操作感や使用感が大きな意味を持ちます。PoCは複数プロダクトで行いましたが、操作感は自分自身で実際に操作しながら評価しました。Snowflakeはとても使いやすいツールだと感じました」
Snowflakeの導入は、DX推進を主要ミッションとする金子氏のチームと情報システム部門、外部SIerによる協業チームで行われた。
「当時、私を含め社内にはSnowflakeの知見を持つスタッフはいなかった為、外部チームとの協業を選択しました。導入にあたっては技術面よりむしろ、ビジネスサイドにデータ基盤という考え方自体を理解してもらうことが大変でした。BIツールによる見える化の意義は明快ですが、その先にあるデータ基盤になると、その意義を理解してもらうのは決して簡単ではありませんでした」
こうした中、データ基盤構築と並行して同社が取り組んだのがDX人材の育成である。二つの階層から構成されるDX人材育成プログラムの基層部分を担うのが、3500名のスタッフ系全社員を対象としたDXリテラシー教育で、ここではDXを進める上で必要な知識やマインドセット、事例などを学習する。上位階層を担うのが「ビジネストランスレータ」「データサイエンティスト」「データエンジニア」育成を目的としたプログラムになり、各部門からの希望者が受講できるようにしている。現在、各プログラムの発展研修を検討しており、データエンジニア育成プログラムの中には、Snowflake利用を前提としたより実践的なトレーニングをSnowflakeの協力により組み込もうとしている。
さらにデータドリブンな組織に向け、コミュニティ活動によるカルチャー醸成に力を入れることも注目したいポイントだ。その一例が金子氏のチームが主催する全社コミュニティイベント「Digital Innovation Day」である。社外からゲストを招いたり、社内の活用事例を紹介したりするこのイベントの狙いは明快だ、と金子氏は言う。
「このイベントには多くの従業員や社長以下の経営層に参加してもらうよう働きかけてますが、狙いは社内のつながり=コミュニティを作ることです。当社の場合、タイヤ事業のほか、スポーツ事業や産業品事業を展開していますが、部門をまたいだ横のつながりはDX機運醸成に大きな役割を果たすと考えています」

「タイヤ製造プロセスは複雑で、IoTデバイスが生成するデー タ量も膨大なものになっています。以前はオンプレミスのSQL サーバーでデータを管理していたため、誰もがあらゆるデータにアクセスできる状況からはほど遠いのが実情でした。また、コンピューティングリソースの制約から期待するレスポンスが出ず、データ蓄積・整理のボトルネックがデータ利活用を阻害する状況が続いていました」
金子 秀一氏
大幅なレスポンス向上が各部門の業務効率化に貢献
業務システムやIoTデバイスの生成データなどをSnowflakeに蓄積し、 Tableauなどの以前から利用してきたBIツールで分析する環境に移行した効果としてまず挙げられるのは、データ分析に要する時間の大幅な短縮化である。
「以前の環境では、大容量のデータを分析する際には数分の待ち時間が常に発生していましたが、Snowflakeに移行後は待ち時間が96%削減できました。レスポンスの向上にはユーザーからも驚きの声が上がっています。また以前はデータ量が大きすぎるため、分析自体が行えないという問題もたびたび生じていました。例えば本来なら数年分の推移を分析したいのに、データが重すぎるため1年単位で分析するほかない、といった状況でした。Snowflakeの採用は、こうした課題解消にも大きな役割を果たしています」
レスポンス速度向上により、大きな果実を得た例が設計開発部門である。
「タイヤ設計では、過去の設計データに加え、さまざまなタイヤ性能測定データが大きな役割を担います。検討する際には膨大なデータを分析することになりますが、レスポンスの問題もあり、データを十分に活用できていない状況でした。Snowflake採用によるレスポンス向上により、設計部門の業務品質向上に寄与出来てきています」
本社と現場の垣根をなくし、真のデータドリブン文化醸成を目指す
Snowflakeによる新たなデータ基盤の活用を通して住友ゴムが目指すのは、全社データドリブン意思決定の実現である。
「当社では本社と現場、各部門の間で様々なやり取りが発生し、それが手作業のプロセスであるがために多くの時間を要する、意思決定が遅くなるという課題があります。全社でのデータドリブン意思決定という取り組みはまだ緒についたばかりですが、私たちの取り組みは最終的には、こうした調整プロセスを自動化することにもつながると考えています」
事業のグローバル化が進む中、グローバルなデータ利活用促進も今後の課題の一つだ。
「当社は海外に多くの製造・販売拠点を運用していますが、その全体最適をデータ活用により図ることも今後の課題の一つです。国境を跨いだデータ利用にはさまざまな制約が課されることが一般的ですが、グローバルなデータ連携を進めるにあたり、各国の法規制やセキュリティに関するさまざまな知見を持つSnowflakeのサポートが大きな役割を果たすことを期待しています」
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