注:本記事は(2022年2月22日)に公開された(Unlocking New Revenue Models in the Data Cloud)を翻訳して公開したものです。

現在のアプリケーションはデータ上で実行されます。顧客がアプリケーションに求める価値は、その機能性だけでなくデータそのものにもあります。当たり前かもしれませんが、データがなければアプリケーションが顧客にもたらす価値はゼロに等しいと言えます。

これらのアプリケーションに格納されているデータは、ときには、アプリケーションが提供する以上の価値をもたらしてくれます。そこで次のような疑問が生まれます。「顧客は、アプリケーションデータが提供する以上の価値を得ることができるでしょうか?」

アプリケーションの使用で得られる以外にも、データは多くの収益の機会を与えてくれます。データセットの収益化、提供物の差別化、新たな価格モデルの導入、収益性を向上させる追加のデータサービスの提供などの実現が可能です。

この種の機会は、アプリケーションやデータを活用した収益性を向上するだけでなく、顧客維持を推進し、ひいては財務上の継続的成功をもたらす、より豊かなユーザーエクスペリエンスの提供につながります。

新たな収益機会の模索

アプリケーションデータを最大限活用するにはさまざまな方法がありますが、重要なのは、顧客に価値をもたらすのは何かを考え、その価値を収益化する方法に焦点を当てることです。そのためのアプローチ方法を2つご紹介します。

1. 外部との共有によるデータ活用の拡大

2. データ機能を活用した提供物の差別化および価格モデルの更新

データシェアリング

多くのSaaSアプリケーションを展開している企業は、それらのデータを一元管理されたデータプラットフォームに移動するプロセスを構築するために、膨大な時間、金額、リソースを費やしています。企業がこれだけの労力を費やすのは、個々にデータを分析するよりも統合されたデータを分析した方がより高い価値を得ることができるからです。しかし、それだけの労力が本当に必要なのでしょうか。

Snowflakeを使用すれば、追加の統合やETL作業を必要とすることなく直接プロバイダーとコンシューマー間でデータを使用することができるようになります。データはアプリケーション内で更新されるため、エンドコンシューマーは即時にそれを見て分析を行うことができます。ビジネスの観点から言えば、このデータの共有については2つの考え方ができます。

  • 収益源:アプリケーションプロバイダーとしては、追加のデータサービスとしてアプリケーションデータについて請求できます。アプリケーションデータの使用や、そのデータを顧客の内部データと統合することにより、顧客はより高度なデータ分析および強力なインサイトによるメリットを享受できるようになります。
  • カスタマーエクスペリエンス:顧客との直接的なデータシェアリングは、顧客維持や顧客満足における戦略と見ることができます。なにより、データシェアリングにはそれほどのコストがかかりません。アプリケーションデータを共有することにより、アプリケーションプロバイダーとしての差別化を図ることができます。

さらに、現行の顧客とのデータシェアリングを制限する理由もありません。アプリケーションデータは独自のものであり、他の組織にとっても価値がある場合があります。例えば、アプリケーションワークロードの過程で得られた情報がさまざまな業界における消費者行動のインサイトを提供する場合もあります。匿名化されたデータをSnowflakeデータマーケットプレイスで販売すれば、コストをかけずに新たな収益源を得ることができます。

データセットの共有や販売以外にも、新たな収益源としてデータサービスを提供することができます。データのエンリッチ化やデータクリーンルームといった付加価値のある製品やサービスの発売を検討してみてください。新たな顧客や新たな人材(データサイエンティストなど)への新たな機会が開けます。

データオプション

次に、データそのものについて考えてみましょう。頻度やストレージ、粒度といったファクターを使用することで、自社の提供物の差別化を図り、顧客階層を確立し、新たな価格戦略を導入し、収益を拡大することができます。

  • 頻度:データの取り込みは、ニアリアルタイムから毎時、日次、月次などさまざまなスケジュールで行われます。データの分析もさまざまな速度で行われます。アプリケーションプロバイダーは、データの取り込み速度とデータの分析を、異なる価格階層と結び付けることができます。例えばデータの取り込みが低めの頻度(毎晩など)の顧客はフリーミアム(無料)やスタンダードレベルとし、ニアリアルタイムの分析の恩恵を受けたい顧客にはより高い価格帯の最上位の階層を設定します。
  • ストレージ:より多くのヒストリカルデータをリアルタイムデータと統合することで、提供するアナリティクスがより強力なものとなります。これに関わるストレージコストも、顧客に割り当てることのできるもう1つのファクターです。フリーミアムやスタンダードレベルの顧客はデータを6か月間保存することでメリットが得られるかもしれません。また、すべてのヒストリカルデータの保存を求める顧客には、より多く請求することができます。このようなコストは、サブスクリプションサービスのコストに織り込んだり、顧客階層の構築に使用したりすることができます。
  • 粒度:顧客は、機能を拡張し自社でより深い分析をするために、生データの取り扱いを希望する場合があります。この点も、階層モデルや使用量ベースの価格設定における新たな機会を創出します。例えば、フリーミアム顧客には集合データを提供し、よりハイレベルな顧客には粒度の高いデータへのアクセスを提供するといったことが可能です。収益を確保するために、使用量ベースの価格設定を導入することで、実際に使用されたコンピューティングパワーの分だけを顧客に請求することができます。

Snowflakeによる、データが内包する潜在的収益性の強化

データの収益化は、自社が保有するすべてのデータを一元化することから始まります。データのサイロ化、バックエンドのプラットフォームによる制限、データの保存や使用に伴うコストなどによって、制約を受けるわけにはいきません。つまり、データを有効に利用するには最新のデータアーキテクチャが必要だと言えます。

Snowflakeデータクラウドは、ほぼ無制限の拡張性、リアルタイムな伸縮性、高い同時実行性を備えたマルチクラスター型共有データアーキテクチャで構築されています。あらゆるデータ(構造化、半構造化、非構造化)について、リアルタイムに近いアクセスや使用が可能な、中央集約的なデータソースを提供します。

Snowflakeにより、新たな収益機会の活用、アプリケーションや製品提供の時間短縮、異なる価格設定モデルによるメリットが得られるようになります。次にその方法をご紹介します。

Snowflakeセキュアデータシェアリング

新たな収益機会の創出において、最大のゲームチェンジャーとなるのがSnowflakeのセキュアデータシェアリングです。この独特な機能により、組織は、元々保存されている場所から制御、管理された方法でデータを共有することができます。クエリ実行可能なライブデータはクラウドやリージョンを超えて共有することができます。

このような機能により、ジョイントカスタマーへの提供物を拡大する以上の機会を得ることができます。また、既にSnowflakeを使用している新たな顧客に販売したり、Snowflakeを使用していない顧客へ製品を提供することも可能です。これらを実現するモデルは以下の通りです。 

  • ダイレクトシェア:顧客が既にSlowflakeユーザーの場合、簡単に「ダイレクトシェア」することができ、アプリケーションデータと自社の内部データセットを統合してアナリティクス精度を高めることができます。顧客側でインジェストパイプラインを構築する必要がないため、資金や開発リソースを節約でき、リアルタイムな更新が可能です。
  • 双方向ダイレクトシェア:ダイレクトシェアでは、顧客のデータを貴社と共有することで、アプリケーション機能追加の機会が発掘できます。さらに、顧客が共有する個々のまたは集合データを分析することで、新たな製品機会に関するインサイトも提供されます。
  • 読み取り専用シェア:Snowflakeユーザーではない顧客には読み取り専用のアクセスを提供することで、顧客は好きなツールを使用してアプリケーションデータを分析することができます。考え方としては、アプリケーションを競合させるのではなく、顧客自身によるニーズに合致した詳細なアナリティクスを可能にすることで、アプリケーションを補完することを目的としています。
  • Snowflakeデータマーケットプレイス:セキュアデータシェアリングは、安全で管理されたデータの売買が可能なSnowflakeデータマーケットプレイスを強化するツールです。アプリケーションプロバイダーとしては、次の2つの方法でマーケットプレイスからメリットを得ることができます。

1. 新たなデータソース:サードパーティデータへのアクセスにより、新たな製品の構築や既存製品の強化が可能となります。データの取得、サーバーのサイジング、新たなデータのアプリケーションへの取り込み方法の決定に何か月も費やすよりも、データ取得プロセス全体を合理化することができます。購入前にデータを検索して試すことができます。データは、エンジニアリング作業の手間をかけることなくデータプラットフォームに表示されます。市場投入の観点から言うと、データ取得がこれほど容易であることは、新製品や機能の構築、さらにアナリティクスの促進に向けた外部データの活用において大きなメリットと言えます。

2. データの販売:匿名化データの販売により新たな収益ストリームを構築できます。これは、ほとんどコストをかけずに新たな収益源を生む機会であり、アプリケーションの新たな顧客を呼び込む可能性もあります。

使用量ベースの価格設定

市場は、ベンダーと顧客の双方に多大なメリットをもたらす使用量ベースの価格設定へと動いており、Snowflakeはその中でもリーディングカンパニーとして認識されています。(使用量ベースの価格設定およびビジネスに与えるメリットについては、当社の重要検討事項についてのブログおよびCFOが使用量ベースモデルを推奨する理由)をご覧ください。

アプリケーションの価格設定モデルを変更するには、十分な計画や戦略が必要ですが、一方で、新たな収益ストリームではより簡単に使用量ベースの価格設定を導入することができます。Snowflakeのデータシェアリング機能を利用することで、パートナーはより容易にこれを実現できます。

例えば、顧客とデータを共有する際、クエリごとに請求するオプション(Snowflakeにおけるクエリ単価を設定)を選択すれば、Snowflakeがトラッキング&請求のすべてを行うことになります(新たな顧客獲得に向けた「購入前のトライアル」オプションもあります)。リーダーアカウント戦略に基づき、Snowflakeは自動的に、各リーダーアカウントの使用をトラッキングし、データをすぐに利用できる状態にします。そのため、個々のクライアントの実際の使用については、毎月、Snowflakeの価格設定戦略を模倣して請求すればよいということになります。

新たな可能性を開く

アプリケーションプロバイダーにとって、今は心躍る時期だと言えます。探索すべき製品の方向性が増し、活用できる財務レバレッジも増えています。しかし、すべてはデータに始まりデータに終わります。常にデータにアクセス可能であることを徹底するとともに、データ統合などが阻害要因となるようなことがあってはいけません。

これは、成長を支え収益を確保する価格設定モデルが可能な、クラウドデータプラットフォーム上のアプリケーションを構築を意味しています。データを円滑かつ容易に共有できることから、顧客の維持にもつながります。さらに、アプリケーションやデータが顧客にもたらす価値について、新たな視点で検討し、新たな収益の創出に向けて活用することでもあります。

顧客はますます多くのデータを生成し使用するため、その需要に対応する必要があります。Snowflakeを使用することで、データが開放するあらゆる可能性を探索できると同時に、ビジネスの保護、カスタマーエクスペリエンスの改善、財政的見通しを強化することもできます。