注:本記事は(2021年7月17日)に公開された(Stop/Start. How Can Data Solve the Oil and Gas Carbon Headache?)を翻訳して公開したものです。

約11年前、メキシコ湾に接するルイジアナ沖にあったBP社管理下のマコンド坑井において、稼働していた移動式海洋掘削リグに危険域までメタンがたまり、強烈な爆発を引き起こしました。その後発生した石油掘削施設「ディープウォーターホライズン」からの石油流出は、史上最悪の規模となりました1。この事故を受け、石油/ガス企業に対する政府の精査、規制、圧力は非常に厳しくなり、業務のあらゆる分野の安全基準が見直されました。

あれから10年、業界は今、異なる種類の圧力に直面しています。それは事故ほどの劇的なインパクトはないものの、社会や環境に対する責任についての企業の取り組み方を根本から作り変えるものとなりそうです。その圧力とは、気候変動です。

業界には難題が突きつけられています。この業界の中核事業は、天然資源の採掘にあります。それは当然、カーボンフットプリントの視点から見て擁護しがたいものです。一方、私たちの社会は依然として、自分たちが悪者としている成果物そのものに大きく依存しています。それでは、石油/ガス企業はいかに、事業としての収益性の維持と、環境保護に関して高まる期待との間でバランスを取っているのでしょうか。おそらくその答えの1つは、データにあります。

文化的な大変化

気候変動は、必ずしも新しい問題ではありません。科学者たちは、inadvertent climate modification(意図せぬ気候改造)と称されるようになる前の1980年代から、地球温暖化気候変動という言葉を使っていました。そして、ごく最近のことですが、特に有名な2016年のパリ合意のように、この問題に対して世界的に連携がとられるようになってきました。このような画期的な出来事を背景に、各国政府やEUといった経済圏は、一連の目標の法制化を試みています。最近ではEUの欧州グリーンディールといった意欲的なイニシアチブが発足しています。

この枠組みの一部として、欧州委員会は、2030年までに温室効果ガスの削減目標をを1990年レベル比で55%減にまで厳格化するという、さらに積極的な一連の目標を提案しました。以前の主な目標値は次のとおりでした。

これに対して、データはどう貢献できるでしょうか。たとえばShell社といった企業は既に再生可能エネルギー関連のプロジェクトの意欲的な拡大案を掲げ2、膨大なデータセットの集計に支えられた研究開発を進めています。現在サイロ化され、分散化されている大量のデータから意味のあるインサイトを得る能力は、これらのプロジェクトを可能な限り効率的に前進させる上での鍵となるでしょう。

一方、データはより微妙な形で役に立つこともあります。EUの目標の3つ目の柱であるエネルギー効率の向上は、企業が業務のあらゆる領域を全体論的な視点で捉え、ごく細かいレベルで効率性改善か所を特定できた場合のみ、達成可能となります。石油/ガス大手のような世界規模の企業は、コンピュートの面でもストレージの面でも、データを大量に活用しています。こうした情報を、より効率的かつシステマティックな手法で処理することで、規模の経済性を極めて大きくすることができます。

ストップ/スタート技術

海洋マッピングといったプロジェクトでは、想像を絶するほど大量のデータセットが生成されます3。それらに価値を持たせるには、すべてを複数のアクセスポイントに保管し、利用できるようにしなければなりません。従来のオンプレミス型のデータストレージシステムの場合、必要な最大ストレージを見積もってから、必要な数量のサーバーを購入し、保全します。これらのサーバーはすべて(利用の有無にかかわらず)、待機中でも電力を消費するため、無駄が生じると同時に、カーボンフットプリントの計算にも算入されます。

クラウドストレージは、必要なデータ量に応じて規模を調整できるため、前述のような問題の一部が解消されます。しかし、クラウドストレージはすべて等しいわけではなく、ほとんどのプロバイダーはオンプレミスにより近いアプローチ、つまり必要な時には追加のストレージを手動で「購入」することを必要とします。これは人の手による多くの介入が必要なことを意味し、厳密に必要とされる量よりも多くのストレージを事前に購入しておこうという誘惑にかられます。

より良い方法

では答えは何でしょうか。理想的な世界であれば、クラウドデータウェアハウスは、ごく小規模からほぼ無限大まで、どのような量のデータでも対応できるよう、瞬時かつ簡単に拡大・縮小できます。電力使用は実際に必要なストレージ分だけですみ、無駄が最小化されます。コンピュートリソースもまた適宜規模を調整でき、必要な時は電力をオンに、不要な時にはオフにできます。

こうしたアプローチを、研究開発からロジスティクス、管理、分析、ビジネスインテリジェンスまで、業務のあらゆるレベルにわたって大規模に適用できれば、エネルギーを大幅に節約できます。

消費するエネルギーの量が減れば、カーボンフットプリントが低減されます。そのようなプラットフォームが存在しさえすれば。…それが、実は存在します。詳しくはこちらをクリックしてご確認ください。


  1. https://bit.ly/3wEDxg3
  2. https://go.shell.com/3zra8rw
  3. https://go.shell.com/3xmYITQ