注:本記事は(2021年12月16日)に公開された(How The Trade Desk Uses the Data Cloud to Thrive in the Dynamic AdTech World)を翻訳して公開したものです。

国際的な広告テクノロジーリーダーであるThe Trade Deskは、リアルタイムかつインテリジェントなデータインサイトの使用が重要な、常に革新し続ける業界で事業を行っています。The Trade Deskのプロダクト&エンジニアリング担当エグゼクティブバイスプレジデントであるBill Michels氏は、最新エピソードRise of the Data Cloud(データクラウドの台頭)で広告テクノロジー(アドテック)市場の需要、身元識別の新形式の重要性、クラウドコンピューティングのメリットについて語ってくれました。

2009年創設のThe Trade Deskは、独立した最大のデマンドサイドプラットフォーム(DSP)です。同社のセルフサービスソフトウェアは、デスクトップ、モバイル、オーディオ、コネクテッドTV、OOH広告といった、インベントリにまたがるオープンインターネット上での、世界中の広告代理店やブランドによるデジタルメディア購入におけるデータドリブンな判断をサポートしています。

Michels氏は次のように語っています。「当社の事業規模をざっくりいうなら、The Trade Deskは毎秒約1300万の広告機会を視野に入れ、数十万の広告機会を購入しています。毎週製品を出荷し、常にクライアントとの関係から学んでいます。」

アドテックでは膨大な量のデータが売買されており、その中にはリアルタイムデータやバッチモード情報が含まれています。つまり、The Trade Deskは、常に変化し、進化し続けるハイブリッドインフラストラクチャー戦略を採用せざるを得なかったということになります。

Michels氏は次のように続けています。「当社は、オンプレミスの顧客と地理的に近くにいながらグローバルな展開を実行できるという点で、クラウド化にさらに力を入れています。The Trade Deskではクラウドにより製品の市場投入を大幅に迅速化することができたほか、新たな手法を試す機会にも恵まれています。」

The Trade DeskはSnowflakeのパートナーであり、数年にわたってデータクラウドも使用しています。主なユースケースとしては、購入した広告の結果(データクラウド内でのユーザーレベルのエクスポージャーを含む)を保存し、その後、Snowflake顧客でもある大規模な代理店クライアントやブランドがデータクラウド内の情報について分析を行い、購入やユーザーエンゲージメントに対するコンバージョンを見積もるといった使い方が挙げられます。

Michels氏は次のように続けています。「当社は、データを移動したり、プライバシーを中心とした情報や直接個人を特定できるユーザー情報の送信を依頼することなく、クライアントによる素晴らしいインサイトの作成や広告支出の効果の把握を実現しています。」

2021年7月、オープンソースで業界全体にわたる身元識別ソリューションであるUnified ID 2.0(UID 2.0)のサポートがデータマーケットプレイスに追加されました。本ソリューションは、The Trade Deskにより初期開発された、ハッシュされ暗号化されたメールアドレスから構築しています。Michels氏はUID 2.0 について「安全で相互運用的なID」と称しており、これを利用すると、ファーストパーティおよびサードパーティのデータを、個人の特定が可能な情報(PII)を移動したり送信したりする必要なく、安全かつプライバシー重視のやり方で結合できます。

UID 2.0は、ブラウザプロバイダーがサードパーティのCookieを軽視する中、広告会社、パブリッシャー、サードパーティのデータ会社に、顧客のトラッキングやターゲティングに対する新たな方法を提供しています。Michels氏はThe Trade DeskとSnowflakeの提携関係は、特にデータシェアリングの領域において、時間と共に拡大、成長を続けると期待しています。

Michels氏はまた、身元識別が投資において極めて重要な領域になるとも予測しています。オンライン訪問者に関する理解を深めるための代替的方法として、および二者間における異なるタイプの価値の交換として、ますます多くのパブリッシャーが、サイトへのアクセス時に訪問者にログインを求めるようになるだろうということです。ただし、すべてのオンラインエクスペリエンスがログインに適しているわけではなく、素早い検索の実行やサポートスコアの読み取りを希望するユーザーにはログインは適さないとも指摘しています。

Michels氏は同時に、データ処理やデータアナリティクスのより多くのエレメントが、消費者の携帯電話やブラウザ、テレビといったクライアント側で行われるようになる、とも予測しています。彼は次のように語っています。「データはクライアント側にあるため消費者は安全です。一方で広告業者はスマートデータを活用することにより、支出に対し素晴らしいリターンをあげることが可能です。」

Rise of the Data Cloud(データクラウドの台頭)は数々の受領歴を誇る作家兼ジャーナリストのSteve Hamm氏がホストを務めるポッドキャストです。各エピソードでは、Hamm氏がデータリーダーと対談し、ビジネスの成長やイノベーションの促進、業界の変革に向けたデータの管理、共有、分析のために、どのようにクラウドを活用しているかについて聞き出しています。他のエピソードもお聞きになりたい方は、こちらからどうぞ。