注:本記事は(2021年11月18日)に公開された(How Pacific Life Uses the Data Cloud to Enable Data-Driven Decision-Making)を翻訳して公開したものです。

データドリブンな意思決定は、金融サービス機関であるPacific Life Insurance Companyが現在推し進めているデジタルトランスフォーメーションの指針となっています。Pacific Lifeのバイスプレジデント兼最高技術責任者であるJohn Damalas氏はRise of the Data Cloudの最新エピソードに出演し、これらのトピックについて話したほか、データやアナリティクスにおける今後のトレンドについての見解も語ってくれました。

Pacific Lifeは153年にわたり、生命保険商品、年金、投資信託といった幅広いポートフォリオを通じ、何百万という個人や家庭の保険や金融ニーズに対応してきました。同社は、個人や企業、年金制度にさまざまな投資商品やサービスを提供しており、米国最大規模の企業のうち、100社を超える企業が同社のクライアントとして名を連ねています。Pacific Lifeはフォーチュン500企業の1つですが、社員数は約4,000人で、Damalas氏は「固い絆で結ばれた家庭的なコミュニティ」だと称しています。

Damalas氏の職務は、従来の最高技術責任者としてのエンタープライズアーキテクチャやテクノロジー戦略の責務と、Pacific Lifeのワークストリーム全般においてデジタルトランスフォーメーションを調整し組織全体のデジタル成熟度を向上させる「結合組織」としての部署の役割を合わせたものとなります。Damalas氏は、Pacific Lifeのエンタープライズデータプログラムのリーダーを務めており、このプログラムには同社のデータガバナンス運用モデルの開発も含まれています。

Pacific Life社のリタイヤメントソリューション(退職に向けた資産運用)事業は、数年前にSnowflakeとの提携を始めました。同部署のデータサイエンスチームおよびアドバンストアナリティクスチームは、組織内のさまざまな部署にサイロ化されたデータの対応に追われ、膨大な時間を費やしていました。チームが作業中のクエリやモデルの中には、これらに関連してパフォーマンスの問題を引き起こしているものがあり、その対策に頭を悩ませていました。データクラウドへ移行することで、これまで実行に90分もかかっていた非常に複雑なクエリを数秒で処理できるまでに高速化されました。

これを受けて、生命保険を含む他の部署もデータクラウドの採用を決めました。Pacific Lifeは、Snowflakeプラットフォームを一元管理するための企業向けシェアードサービスフレームワークの導入を進めて最中で、これにより部署ごとのリソースからほとんどの管理業務を取り除くことができるようになりました。Damalas氏は、「オブジェクトやユーザーのプロビジョニング、環境やジョブのモニタリングなどのタスクをどのように実施するかという点において、一貫性を持たせることができます」と語りました。一元化されたインフラストラクチャーにより、異なる部署間でのデータセットの共有が、はるかにシームレスに実行できるようになります。

さらにDamalas氏は次のように語っています。「Snowflakeプラットフォームを使用することで、一度データを保存すると、膨大な論理ビューを作成することができます。従来のデータウェアハウスプラットフォームで生じたような管理オーバーヘッドを生じさせることなく、ユーザーが必要とする機能を提供することができます。」

Snowflakeのもう1つの主なメリットとしては、ExperianやDiscoverOrgなどのパートナー企業からサードパーティのデータセットを一元的に取得、管理できることが挙げられます。Pacific Lifeは、データマーケットプレイスの活用を開始し、サードパーティのデータセットを公開して同社のビジネスユーザーが利用できるようにしました。

Damalas氏は、Snowpark機能の一部により環境内でPythonの実行が可能になる(現在はプライベートプレビュー版)ことを非常に歓迎しています。Pacific Lifeは、管理されたデータ試験中のモデリングにデータサイエンティストが使用するプログラミング言語について、ある程度の柔軟性を持たせたいと考えています。

この先数年にわたり、データドリブンな意思決定をさらに推進するためにはアナリティクスの効果や結果を企業ユーザーのワークフローに直接埋め込むことが不可欠になる、とDamalas氏は考えています。データカタログやアクセスは、利用可能なデータや職務に有意義なデータ、またそのようなデータセットにアクセスが可能であるべきかどうかをアナリストやビジネスユーザーが見極めるのに役立ちます。

Damalas氏は、将来を見据えたとき、特定のユースケースに対するデータの適切かつ倫理的な使用の管理において、技術的なソリューションがより大きな役割を果たすようになると予測しています。彼は次のように述べています。「データセットやアナリティクスのユースケースをどのようにタグ付けするか、ということが、これらの使用法にさらなる一貫性をもたらすことにつながるでしょう。」

さらにダマラス氏は、定量化できる資産としての個人情報の価値を、個人がより深く意識するようになると予測しており、次のように述べています。「個人がデータを引き渡す際には、費用対効果が明確な意思決定を行い、データの対価となる価値あるものと引き換えることを徹底するようになるでしょう。」
「Rise of the Data Cloud」は、数々の受賞歴を誇る作家兼ジャーナリストのSteve Hamm氏がホストを務めるポッドキャストです。各エピソードでは、Hamm氏がデータリーダーと対談し、ビジネスの成長やイノベーションの促進、業界の変革に向けたデータの管理、共有、分析のために、どのようにクラウドを活用しているかについて聞き出しています。他のエピソードもお聞きになりたい方は、こちらからどうぞ。