注:本記事は(2021年6月28日)に公開された(Data Visualization)を翻訳して公開したものです。

データの可視化が促進される環境を育てる方法

データは猛烈な勢いで増大しています。インターネットトラフィックだけでも、2022年までに月あたり400エクサバイトに達します。1エッジコンピューティングやモノのインターネットといったトレンドは、データの生成と需要の両方が加速し続けていることを意味しています。

データドリブンを目指すと公言する企業が増えています。データドリブンとは、膨大な量のデータを意思決定の材料とすることです。そこに至るためには、組織にアーキテクトからアナリストまでといったデータスペシャリストが絶対的に必要となります。しかしこれらのプロフェッショナルは今引く手あまたで、たとえば世界経済フォーラムが発表した2020年の仕事に関するレポートでは、データアナリストが世界で最も需要が急成長している仕事の1つとして報告されています。2 すなわち、組織はスペシャリストに頼るだけではなく、組織内のあらゆる部門において、データを十分に扱えるスキルを持ったデータリテラシーのある人材を育てる必要があります。

しかし、データドリブンな文化には、時に見落とされるか、ほんの少人数の専門家に任せがちな主要要素があります。それはデータの可視化です。  

専門家が言うには、データ可視化は、もっと多くの従業員の間で強化できる、そして強化するべきスキルだそうです。データ可視化の推進に時間と資金を投じているビジネスリーダーは、組織全体でより迅速に収益化を実現し、より情報に基づく意思決定を下すことができます。

データ可視化がいかに組織を迅速かつ賢くするか

可視化は、線グラフのようなシンプルなものから、さらに複雑なものまでさまざまです。可視化は、変数間の関係性を明らかにしたり、経時的な変化を示したり、膨大な量のデータセット内でパターンを見つけたりする際に特に便利です。

従業員や意思決定者の中には、シンプルなものでいいという人もいます。非常に厳しいビジネス環境において、より優れた可視化のために人材の能力の幅を広げるよう投資することは価値あることでしょうか。

Snowflakeのヨーロッパ・中東・アフリカ地域シニアエバンジェリストのEva Murrayは、このような疑問を覆したいと考えています。

「なぜそうではないと思えるのでしょう。 そうしないわけにはいかないのではないでしょうか」とMurrayは言います。「データ可視化の代替となるのは、数字がたくさん並んだテーブル、壁紙、Excelスプレッドシートです」。法廷会計士や計理士や財務のエキスパートであればそのようなツールやフォーマットを得意としているでしょうが、その他の人であれば、よりフレンドリーな(ビジュアル的な)形式で示された方が、より多くのデータを利用し、考慮できます。

「データ可視化の主な目的は、情報から何か結論を出す上でかかる時間、労力、脳の負担を減らすことにあります」とMurrayは言います。

「そして、数字への苦手意識を大いに軽減できます。もし巨大なスプレッドシートや数字がいっぱいのクロス表を用いてプレゼンテーションしたら、相手は尻込みしてしまうでしょう。」一方、データをビジュアルで提示したら、相手のイマジネーションを引き出すことができるかもしれません。

データをビジュアルやストーリーと一体化させることの主なポイントの1つは、関心を引くことにあります。その理由は、こうした作業により、データに人間味が加わるからです。

データ可視化が促がされる企業環境をどう作るか

まずはトップダウンの働きかけが必要です。ビジュアルの使用を積極的に推奨することで、リーダーシップが必要な企業文化の変化を促し、皆のデータリテラシーの向上を後押しするだけでなく、Gartner社によると、チェーン全体におけるリーダーシップのビジネス上の意思決定の質が向上するそうです。3 

事実、Forester社による記事「Data Literacy Matters — Do We Have To Spell It Out(データリタラシーが重要 — 言わずもがなですよね?!)」の中で、SnowflakeのプリンシパルデータストラテジストであるJennifer Belissentは次のように指摘しています。「定性的な情報や分析に基づく意思決定は、平均で48.3%にすぎません。」4

このように、データが重要であることを認識すること、そしてそれが何のためのデータなのかを認識する能力を育てることが、データを得意とする従業員を擁する企業となるための最初のステップとなります。

加えて、データガバナンスとデータの品質は、リーダーシップが指導力を発揮できる分野です。Blast Analytics社のインサイトおよびデータストーリーテリング部門シニアディレクターのBrent Dykes氏がQA2Lとのインタビューでの質問への答えとして次のように述べました。「データの品質は皆で担う責任ですが、組織によっては、分析チームやデータチームの責任とされる場合もあります。しかし多くの場合、データの異常の検知において重要な役割を果たすのはビジネスチームです。データは貴重な資産ですから、その品質に対する責任は共有すべきです。」5

草の根活動もまた、重要な価値を生む可能性があります。たとえばChemonics社の場合、Days of Dataというキャンペーンを実施しており、その手順書では6、データ可視化についてのスキルや関心を持つ従業員が互いに助け合うことを推奨しています。

次に、従業員を訓練する、または訓練させる必要があります。データの可視化は特有のスキルが要求される特有のプロセスです。デザイナーやデータアナリストだからといって必ずしも最高の可視化を実現する才能やノウハウを持っているわけではありません。プロジェクトの手伝いとしてコンサルタントを雇用することもできますが、賢い組織はコンサルタントに従業員のトレーニングの支援も依頼しています。

Murrayは、「企業は、データ対策の必要性を認識し、データが企業のプロセスの一部になると判断したなら、絶対に社内でその能力を構築すべきと私は思います」と述べています。

Dykes氏は次のように付け加えました。「従業員がデータの利用、解釈、処理に慣れてきたら、次はインサイトをどのように効果的に伝えるかを学ぶ必要があります。トレーニングは、組織全体のスキルギャップを埋めるメリットがあります。データでのストーリーテリングの重要性を説き、それをどのように行うか示し、データでストーリーを語りたい人をサポートできるような人材を見つけてください。」

これは、すべての従業員がTableauのライセンスを取得する、またはその必要があるという意味ではありません。高度なツールを使う人もいれば、よりシンプルなプレゼンテーションでよしとする人もいるでしょう。いずれにせよ、ストーリーテリングはたいていの場合、ある種の可視化を意味します。

最後に、ビジネスピッチでどのようなデータ可視化が必要かを検討します。組織としての議論やプレゼンテーションには、シンプルな電子メールの交換から裏付け文書を添えた本格的なPowerPointでのプレゼンテーションまで、さまざまな形があります。視覚化を促す1つの方法は、よりフォーマルな状況でそれを求めることです。

たとえば、新製品のピッチ、または何らかの大規模投資の場合、データ可視化なしに承認を得ることが難しいことは皆理解できるでしょう。このような商機においては通常、市場の規模、市場のトレンド、地理的条件、競合他社との比較など、意思決定を助けるデータが多数あります。

注意すべき重要なことは、指導したり例を示したりしなければ、要求をしても生産的な結果につながらないということです。

DataBlick社のマネージングディレクター、Anya A’Hearn氏は次のように述べています。「時おり、可視化について、または可視化で何ができるのかについて知らない人がいます。このような人には、例を示すことで、類似した何かをどう利用すればニーズに対応できるかという点で一気に理解が進みます。」

データ可視化を従業員に求めることは、会社がデータドリブンな文化を擁している、または将来そうなっていくことを強調するのに役立ちます。

データの成長は止まらない

分析会社であるIHS Markitによると、現在、310億ものデバイスがインターネットに接続されています。これらのデバイスのほとんどはデータを収集しており、今後、こうしたデバイスの数や集められるデータの量が減ることはまずないでしょう。

このような世界では、データリテラシーが不可欠です。Dykes氏は、「組織内でこのスキルセットを育てたいなら、まず従業員のデータリテラシーを可能な限り確保することです」と述べています。データリテラシーを向上させるための取り組みを行い、可視化を意思決定のためのツールとして使用し、データを資産として認識する文化を育て、データによって支配されるのではなくデータを支配する方法を知っている従業員を育成、雇用、評価している企業こそが、それをしない企業に打ち勝っていくことでしょう。

データドリブンな文化をつくることは、自由なデータ流通を実現するより大変なことではありません。

データ可視化に関するその他のリソース


1bit.ly/3gZ9MkC 

2bit.ly/3gOqCRX

3gtnr.it/3gQEzPl

4bit.ly/3vIGsTx

5bit.ly/2TMHjFE

6bit.ly/3jcx8oH