注:本記事は(2021年6月4日)に公開された(How Marketers Will Measure Campaign ROI After Third-Party Cookie Deprecation)を翻訳して公開したものです。

かのJohn Wanamaker氏の「広告に費やした資金の半分は無駄になりました。問題はどちらの半分が無駄だったかわからない点です」という言葉を知らないマーケティング担当者はいないでしょう。マルチタッチアトリビューション(MTA)の導入と進化を経て、メディア産業はニュースレター登録から購入までの顧客の行動に各タッチポイントが及ぼすインパクトをこれまで以上に十分に把握できるようになりました。このような貢献度を扱うモデルはまだ粗削りですが、一貫しているのは、マーケティング担当者に顧客のあらゆる側面をとらえる視点1 を与えて、より賢くマーケティングやメディアに関する意思を決定できるようにし、それによって無駄を削減し、ROIの向上を促そうとする意図です。

残念なことに大半のMTAモデルはサードパーティのCookieを土台にして構築されています。ユーザーのプライバシー向上のため、ウェブトラフィックの60%のゲートキーパーであるGoogle Chrome2 は、2023年にサードパーティのCookie利用を打ち切ると発表しました3。ウェブ閲覧活動の23%で使われているSafariとMozilla Firefox4では、すでにサードパーティのCookieが廃止されています。Appleはユーザーが意図的にオプトインしなければユーザーデータがアプリや広告主に共有されないiOS 14.5をリリースしており、さらに一歩先を進んでいると言えます。以上をまとめると、現在のアトリビューションモデルでは、個人を特定できない閲覧行動が90%を超える見積もりとなります5

この動きは、デジタルマーケティングのエコシステムに含まれる者すべてにとって、パラダイムシフトが起きることを意味します。特にブランド各社にとってこの影響は多大です。多くの広告主がターゲティング、アトリビューション、最適化に使うモデルの変更に取り組んでいるため、各社とも、ファーストパーティデータを適切に管理して安全に保管する目的で、ファーストパーティデータやデータクリーンルームのような新しいテクノロジー、ならびにデータ漏洩やPII漏洩のリスクを冒さず当事者間でファーストパーティデータを共有できる安全な環境について深く学ぶことになるでしょう。

ファーストパーティデータが注目の的

マーケティング担当者が今後もさまざまなキャンペーン、イニシアティブのROIを測定するには、この変化に対応し、消費者のさまざまなタッチポイントでコンバージョンを追跡し、コンバージョンへの貢献度を分析する方法を編み出し、それを実装する必要が出てきます。取り組みのカギはファーストパーティデータです。世界中のブランドが顧客との関係を直接「制御」できるように、顧客からのファーストパーティデータ収集を強化する形で、このような変化を見越した準備を進めています。一部のブランドは、すでにこの対応の最先端にあります。たとえばユーザーがサービスを利用したり商品を直接購入するときにサインインを義務づけている企業は、サードパーティのCookieが廃された後も長く活用できるユーザーデータを豊富に蓄えています。一方で小売業者を通した商品販売が主体のCPG企業は不利となるため、業界のこのような変化に先んじてデータセットを構築しておこうと迅速な取り組みを進めています。

未来は安全なデータ共有にある

将来的なアトリビューションモデルでは、ファーストパーティデータを活用して顧客の個人を特定した上で、そのデータをパートナーから取得したファーストパーティデータと突き合わせることで、マーケティング投資の効果を見極めることになります。パートナー間のデータのやりとりは、次第にデータクリーンルーム内で行われるようになります。

クリーンルームでのデータ交換は、Google、Facebook、YouTubeが自社のネットワーク内に限ってすでに稼働させており、サードパーティCookieの廃止後も引き続き使われる見込みです。たとえばYouTube環境では、顧客が自ら共有した情報をブランドが活用して、情報を提供した顧客本人や類似の顧客をターゲティングしたりコンバージョンを追跡したりしています6。限られたネットワークの外、オープンネットワークでは、NBCUniversalのような大規模プラットフォームパブリッシャーが、Snowflakeを利用してデータクリーンルームを作成7し、同様のプロセスを実現しています。

Cookieベースの明確なアトリビューションを模倣するため、アトリビューションマーケティングを実践しているマーケティング担当者は、クリーンルームも活用し、代理店やIDデータを検証・照合する企業と提携して社内のファーストパーティデータを拡充する必要がありそうです。Snowflakeデータクラウドにはすでに多くのファーストパーティデータが有機的に蓄えられており、他のデータソースと簡単かつ安全にデータを混ぜ合わせることができるため、データクリーンルームを構築または利用しようとするマーケティング担当者にとって、Snowflakeは非常に魅力的なオプションだと言えます。これらのデータクリーンルームのデータガバナンスや二重盲検と同様のプライバシーを通じ、マーケティング担当者はより快適に手持ちのファーストパーティデータをメディアパートナーと共有できます。これによりメディアパートナーはデータの質をさらに高め、より的確なターゲティングを行って、広告費のROを向上させることができます。ファーストパーティデータアトリビューションモデリングに対応するデータ戦略の構築は、短期的な課題ですが、最終的には事業実績の向上につながる可能性があります。

Snowflake Data Cloudでマーケティング担当者がキャンペーンのROIを測定する方法についての詳細は、SnowflakeのMarketing Analytics Forum(英語でのオンデマンド配信を開始)をご覧ください。


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