注:本記事は(2022年4月18日)に公開された(Get Your Retail Plan in Shape: A 7-Step Regimen for Year-Round Selling)を翻訳して公開したものです。

その昔、小売り関連のカレンダーはクリスマスシーズンが中心となっていました。現在では、年間を通して販売の急増があります。バレンタインデーから独立記念日までといった従来の季節ごとの祝日のみならず、サイバーマンデーやAmazonのような巨大企業が自社のために設定したプライムデーなど、より新しいセールスホリデーも存在します。

従来であれば一定のペースで騒々しい12月に向かっていたものが、今では、小売業者は常に全速力で駆け抜ける必要があります。このような「常にショッピングシーズン」である新たなセールスカレンダーにより、小売の本質やその準備が変化してきました。

Snowflakeの小売GTM担当インダストリープリンシパルであるLeslie Lorenzは次のように語っています。「従来、組織によるアーキテクチャやインフラストラクチャーの構築は、小売業者の視点から見て、非常に周期的なものでした。現在では、常に良好なアーキテクチャを構築する必要があります。競争モードにあるときは常にエサを与えておくということです。」

ワークアウトプランなしでは、ジムに行ってもあまり効果が期待できないのと同様、この通年に及ぶ競争において小売インフラストラクチャーを最高の状態に保つには素晴らしい研修計画が必要です。Hewlett Packard EnterpriseのアカウントチーフテクノロジストであるKaren Rhodes氏の提案を以下に紹介します(色付きのコメントは他の『小売業者フィットネス』におけるエキスパートによるもの)。

1. 自身を測定する

店頭在庫、サプライチェーンストラクチャー、倉庫内ユニット、納品速度、コスト、オンラインコンバージョン率:Rhodes氏はこれらの値を、体重などの身体測定値として考えることを推奨しています。開始地点を把握しておけば、進捗を明確に確認できます。

速度と正確さは長きにわたって小売業者の目指す重要な指標でした。しかし、今日の顧客が期待する速度は非常に厳しいものであり、あらゆる場所で即時性が求められています。

Lorenzは次のように語っています。「カスタマー需要に対し、より迅速な対応が必要となっています。製品在庫、配置、さらにはマーケティングキャンペーンやマーケティングチャネルにおける機敏性まで、お客様の期待やチャネルのタッチポイント要件を満たす必要があります。」

2. 目標を設定する 

まずどこを改善したいですか?同時にすべてに働きかけるのは不可能です。そのため、焦点を絞り、測定可能かつ達成可能な目標を設定しましょう。

Rhodes氏によると、顧客に関するインサイトは、データも多く良好な分析ツールも存在するため、非常に成熟した分野となっています。

Lorenzは次のように語っています。「オムニチャネルの最適化といった状況では、人口統計的な、誰が購入しているのかといったことを理解することが重要です。主なホリデーシーズンかどうかといった季節性、オンラインまたは従来型店舗での購入かどうか、といった情報も、どの製品をどの店舗または倉庫に配置すべきか、といった判断に役立ちます。お客様が期待している場所に製品を提供されているよう、徹底する必要があります。」

これらすべてが測定可能で、測定できるものは改善可能です。

3. ご褒美の設定 

小売における目標達成とは、1人でウエイトトレーニングを行うというより、スポーツチームの一員として筋力トレーニングを行うことに似ています。

Rhodes氏は次のように語っています。「厳しいトレーニングであり、全員が同じ目標に向かって努力する必要があります。もし明確なご褒美が設定されていれば、よりやりやすくなるでしょう。ご褒美は全員に与えるようにします。」

4. 装備の選択

目標達成のためにどのような機器が利用可能か特定しましょう。

例えば、品質保証やサービス保証においては動画分析が人気の高いテクノロジーとなっています。物品の遅延を特定する助けとなるかもしれませんし、店舗を訪れた顧客の行動を追跡して理解することにも利用可能です。その一方で、Rhodes氏は、このツールはサプライチェーンの柔軟性を提供してくれない、と言っています。

機械学習やAIは小売業者にとって、あらゆるツールカテゴリーにおける最優先事項となっています。Hewlett Packard EnterpriseのハイブリッドチーフテクノロジストであるKurt Lacyによると、現在、多くの小売業者が「開発対購入」の意思決定で悩んでいます。ベンダーからAIソリューションを購入するべきか、自社の独自ニーズに対応したソリューションを開発すべきか。

間違ったツールを選んでお金や時間を無駄にするくらいなら、この意思決定について大いに悩むべきです。Lacy氏は次のように語っています。「多くの人は、解決しようとする問題を理解する前にソリューションに飛びつきがちですが、成果が出ない理由はそこにあります。」

彼は、AIベンダーから購入する前に問うべき簡単な質問リストを提供してくれました。

  • ソリューションの選択肢は?
  • ソリューションによって解決される潜在的なユースケースは?
  • 組織において、そのようなユースケースは頻繁に発生しているか?
  • ソリューション導入によるメリットを想定できるか?

5. 失敗を理解する

Rhodes氏は、誰にでも失敗はありますが。失敗したときには、なぜ失敗したのかを問いかけてください。それから新たなアプローチを試してみましょう。

彼女は次のように言っています。「粘ることも素晴らしいですが、開始直後の早い段階で失敗しておく方が傷が浅くて済みます。」

データサイエンスは失敗の分析において非常に有効であり、カスタマーサービス(カスタマーによるクレーム)は必要なデータを収集するのに素晴らしい場所です。

例えば、センチメント分析を行ってみましょう。アンケート、レビュー、ソーシャルメディアに適用された自然言語処理は、人々が何を考えているのか、どのように感じたのか、最も効果的な対応は、といったインサイトを生成してくれます。

Rhodesは言います。「そこで、小売業者はすぐにこのような返信をすることができます。『浴室が汚れているご意見をいただき、ありがとうございます。清掃を徹底いたしました。また新たな清掃サービスの採用を予定しています。本件についてご連絡いただきありがとうございました。皆様のご支援によりさらなる精進を重ねてまいります。』」

同様に、データサイエンスは価格設定や在庫問題にも有効です。

Rhodes氏は次のように語っています。「セールスにおける第2段階、つまり、ホリデー後の在庫処分といったものはなくなりつつあることに気付くでしょう。これは良いことです。データサイエンスを使用してこれらの製品の売り方を判断していると言えるからです。『これは、この比率、これらのサイズや色の展開、この店舗で販売されている衣料です』といった情報に基づいて仕入れを行っているということです。」

6. 半期ごとに新たな目標を設定する

Rhodes氏は、SMART方法論の使用を提唱しています。これを文章に起こして公開しましょう。6か月ごとに別のグループに成果を評価してもらいましょう。トレーニングの成果を把握する責任があります。

7. 良い成果を上げたときは全員に感謝すること

Rhodes氏は、「アナリティクスプロジェクトを実施する場合、郵便仕分け室にいる作業者が貴重なインサイトをもたらしてくれる人かもしれない」と言います。ご褒美を与えるだけでなく、信頼や感謝も伝えましょう。

彼女はまた、「次の半期目標の達成に向けても彼らの助けが必要となるでしょう」とも語っています。

シャワーを浴びて明日に備える

お金が有り余っている小売業者、たとえ話をするなら、レッグプレスで巨大なプレートを上げているような筋骨隆々の人にとっては、これらすべては簡単なことでしょう。では、小規模な小売業者はどうすべきでしょうか?

答えはシンプル:ジムに通い続ける(シンプルだからといって簡単だとは限りません)。

Lorenzは言います。「小さなことから始めて、早期に価値につなげ、それを繰り返しましょう。最良かつ最高のビジネス価値に焦点を当てましょう。最高のビジネス成果をもたらすのは何か、に基づいて業務の優先順位をつけましょう。的を絞って戦いを挑むということです。」