
検索拡張生成(RAG)完全ガイド
Snowflake Cortex AIでエンタープライズグレードのRAGアプリを迅速に作成します。
- 概要
- RAGとは
- RAGのメリット
- RAGの技術の用途
- RAGのメカニズム
- RAGとSnowflake
- お客様事例
- RAGの関連リソース
概要
RAGとは、大規模言語モデル(LLM)が特定のナレッジベースにアクセスし、それに基づいて応答を生成するためによく使用されるフレームワークです。基盤モデルを再トレーニングする必要がないため、開発者は特定のコンテキスト内でLLMを迅速かつ費用対効果の高い方法で使用できます。RAGアプリは、カスタマーサービス、セールス、マーケティング、ナレッジベースなどに使用できます。
Snowflake Cortex AIを使用すると、ビジネスとデータの独自のニュアンスを学習するLLMアプリを数分で構築し展開できます。また、Snowflakeは業界をリードするLLM、ベクトル検索、Streamlitアプリ構築機能をすべてフルマネージドサービスで提供するため、実稼働可能なRAGアプリを簡単に作成できます。
検索拡張生成(RAG)とは
検索拡張生成(RAG)は、基盤モデル(大規模言語モデル(LLM))の出力を強化する技術です。元のトレーニングデータだけではなく、外部ナレッジベースを参照します。
LLMは、何十億ものパラメータを持つ膨大なデータセットでトレーニングされ、質問への回答、翻訳、文章補完などのタスクに優れています。RAGは、モデルが再トレーニングを受けることなく特定のドメインや組織の内部知識にアクセスできるようにすることで、これらの機能を拡張します。この費用対効果の高いアプローチにより、さまざまなコンテキストでのLLMアプリ出力の精度、妥当性、有用性が向上します。
検索拡張生成を使用するメリット
1.RAGを利用して、LLMのみを使用する際の制限に対処する
LLMは静的なトレーニングデータに依存します。静的なトレーニングデータには、最新の情報や組織固有の情報が含まれていない可能性があります。LLMが信頼性の高い情報源についてのガイダンスを持っていない場合、特に用語が矛盾する場合には、不正確または一貫性のない応答を生成する可能性があります。不確実な場合、LLMは回答を「ハルシネーション」または捏造する可能性があります。RAGは、信頼できる最新のソースへの制御されたアクセスを提供することで、こうした問題を緩和し、結果としてより正確で信頼性の高い応答を出力します。
2.RAGは、特定のソースへの追跡が可能な、より高品質な出力を提供する
LLMを有効に活用するには、信頼性と権威性が高く、一貫した応答を提供できるようにする必要があります。RAGは、特定の引用文献に対する応答のトレーサビリティを可能にし、情報源の引用を含めることで、生成されたコンテンツの透明性と信頼性を高めます。
3.RAGは高い費用対効果で最新の回答を提供できる
変化の激しい業界では、情報はすぐに古くなります。RAGを使用すると、コストが高いファインチューニングを行うことなく、事前トレーニング済みのモデルが最新情報にアクセスできます。このアプローチでは、LLMはニュースフィード、ソーシャルメディア、財務報告書、IoTセンサーなどのさまざまなソースからリアルタイムデータを取り込めるため、関連性と正確性を確保できます。
4.RAGを利用して、アプリ開発者はより細かな制御ができる
RAGによって、開発者は目的に合った、さらに柔軟なカスタマイズソリューションを構築できるようになります。アプリ開発者は、RAGのセキュリティフレームワークを使用して、機密情報へのアクセスを制御し、許可されたユーザーに対する応答を作成する場合にのみ、制限付きデータが使用されるようにできます。
検索拡張生成技術の用途
生成AIの急速な進歩により、RAGは特にチャットボットやナレッジマネジメントアプリケーションなど、AIを活用した多くのシステムにとって不可欠なコンポーネントとなっています。
1.人事情報、製品情報、サービス情報などの社内ナレッジベースへの従業員のアクセス:
RAGアプリケーションにより、企業のイントラネットや社内ドキュメントシステムなど、ドメイン固有のナレッジベース内にある専有情報に、従業員がアクセスしやすくなります。これらのモデルにより、従業員は自然言語を使用して質問をすると(「会社の育児休暇ポリシーは」、「休暇のリクエスト方法は」など)、組織の社内ナレッジベースから生成された回答を受け取れます。RAGは回答がより正確でコンテキストに合った関連性の高いものとなるように、依頼者の社内での権限レベルと役割に基づいてパーソナライズされた情報を提供します。
2.市場またはビジネスのインテリジェンス:
RAGは常に更新される市場データと社内レポートを利用して、ビジネスインテリジェンスのアクティビティの品質と適時性を高めます。これにより、組織はデータドリブンな意思決定、新たなトレンドの特定、競争優位性の確立が可能になります。RAGは複数のソースからの情報を合成でき、従来の分析方法では見過ごす可能性のあった包括的なインサイトを提供できます。
3.インテリジェントなカスタマーサポート:
LLMを活用したカスタマーサービスチャットボットをRAGで強化することによって、製品サポート、問題解決、請求処理など、さまざまなタスクを処理できるようになります。RAGを使うと、最新の製品情報、注文ステータス、個々の顧客のデータなど、検証済みの正確なコンテンツにリアルタイムでアクセスできます。これにより、チャットボットは高度にコンテキスト化されパーソナライズされた回答を提供できるようになり、顧客満足度が向上し、人間のサポートエージェントのワークロードを削減できます。
4.顧客による情報へのセルフサービスアクセス:
RAGを活用した顧客向けのチャットボットは、マーケティング、販売、製品、サービスに関する情報を24時間365日提供します。このようなシステムは、膨大なナレッジベースにすばやくアクセスし、関連する最新の情報をいつでもユーザーに提供できます。これにより、顧客体験が改善されるだけでなく、人間のスタッフが対応しなければならない基本的な問い合わせの量も減り、より複雑な問題に集中できるようになります。
RAGのメカニズムと、チームがRAGフレームワークを展開するために必要な要素
クライアント/アプリUI
エンドユーザーは通常、チャットインターフェイスまたは質問応答システムを通じてナレッジベースとやり取りします。
コンテキストリポジトリ
関連するデータソースが集約、管理され、継続的に更新されて、最新情報を網羅したナレッジリポジトリとなります。これにはテキストのチャンクや埋め込みなどの前処理ステップが含まれます。
検索
ベクトルストアがナレッジベースの数値表現(埋め込み)を保持します。セマンティック検索は、ユーザーのクエリに基づいて最も関連性の高い情報のチャンクを取得するために使用されます。
LLM推論
システムがユーザーの質問を埋め込み、ベクトルストアから関連するコンテキストを検索します。そのうえで、このコンテキストを使用してLLMにプロンプトを送ります。LLMは質問と取得した情報の両方を参照して、コンテキスト化された応答を生成します。
真にエンタープライズグレードのRAGを構築するために、組織が検討する必要がある追加コンポーネント:
埋め込みモデル:ナレッジベースとユーザークエリの両方で、テキストをベクトル表現に変換するために使用されます。
データパイプライン:ナレッジベースが継続的に更新されメンテナンスが実施されるようにします。
評価とモニタリング:応答の品質とシステムパフォーマンスを評価するツールです。
RAGアプリとSnowflake
Snowflake Cortex AIを使用して、RAGベースの高機能なLLMアプリをすぐに開発
- 豊富なAIとデータ機能:RAGを使用したエンドツーエンドのAIアプリの開発と展開では、統合、インフラストラクチャ管理、データ移動を必要としません。こうした開発と展開には、Snowflake Cortex AI、Streamlit in Snowflake、Snowparkという3つの主要な機能を使用します。
- ハイブリッド検索のCortex Search: Cortex SearchはSnowflake Cortex AIの主要な機能で、セマンティック検索とキーワード検索を組み合わせた高度な検索ができます。Snowflake Cortex AIプラットフォームの一部で、埋め込みの作成を自動化し、高品質で効率的なデータ検索を可能にします。複雑なインフラストラクチャ管理は不要です。
- StreamlitでRAG UIをすばやく作成: Streamlit in Snowflakeでは、すぐに使えるチャット要素を使用して、Pythonでユーザーインターフェイスをすばやく構築して共有できます。
- Snowparkを使ったコンテキストリポジトリ: ナレッジリポジトリはSnowflakeステージを使用して、簡単に更新とガバナンスが可能です。ドキュメントをロードすると、チャンク(コンテキスト強化された小さなテキストのブロック)の生成など、すべてのデータ準備がSnowparkでできるようになります。特にチャンク化については、Snowparkのユーザー定義関数の一部としてLangChainをシームレスに使用できます。
- ハイブリッド検索のCortex Search: Cortex Searchでは、埋め込み、インフラストラクチャのメンテナンス、検索品質パラメータのチューニング、継続的なインデックス更新について心配することなく、すぐにハイブリッド検索(ベクトル検索とキーワード検索)ができます。
- セキュアなLLM推論: Snowflake Cortexは埋め込みとテキスト補完推論のサーバーレス関数を使用してワークフローを完了します(Mistral AI、Llama、Gemma、Arctic、Snowflake内で利用可能なその他のLLMを使用)。

