データサイエンスは、広告、メディア、およびエンターテイメント組織にとって重要な差別化要因として急速に注目されるようになっています。Subscriber 360という究極の目標、つまり顧客を完全に理解するということは、常に目標として定められていますが、現在の市場圧力は企業に集中しており、加入者のニーズ、欲求、および好みをより敏感に感じ取ることが求められています。これを適切に実行できれば、企業は加入者の維持率を高め、広告収入を最大化することができます。  

データサイエンスは業界にとって新しいものではありませんが、顧客データのインサイトを効果的に引き出し、AIと機械学習(ML)を使用してより深いインテリジェンスを得るために、チームが活用できる(そして活用しなければならない)重要なツールとして注目されるようになっています。最近のIDCレポートでは、AIを効果的に使用している組織では、カスタマーエクスペリエンスが39%向上しているということが明らかになっています。しかし、同じレポートには、組織の55%で、熟練したデータサイエンスの人材不足がAIイニシアチブの足かせになっているという指摘もあります。

熾烈な競争は、ブランドがデータサイエンスへの取り組みを強化して、より多くの迅速な実用的なインサイトを強化しようとするもう1つの要因となっています。最大手の企業でさえこのような過熱ぶりを感じており、メディアの巨大企業であるNetflixも先頃、競争が加入者の追加に影響していることを認めています。同社は、Disney+、Warner Bros.、DiscoveryのHBO Max、Paramount+、NBCUniversalのPeacockなど、他のサービスとの競争の影響を感じています。消費者が見たり、再生したり、聴いたりできる世界は急速な拡大を続けており、各ブランドは、視聴者の心を引き付けて離さないようにする新しい方法を見つけようとしています。これまでにないほどに、「消費者が自分の時間とお金の使い方をしっかりとコントロールできるようになっている」と、先頃発表されたPwCレポートで指摘されています。

Subscriber 360を達成するための課題

ほとんどの広告、メディア、およびエンターテイメント組織は何らかの形式のSubscriber 360を実践していますが、そこには共通の課題があり、それによって、データサイエンスを使用し、包括的でニアリアルタイムの360度ビューを実現することがほぼ不可能となっています。その大きな課題の1つがレガシーテクノロジーです。従来のテクノロジーは、多くの場合、最新のクラウドベースのプラットフォームほどのアジャイル性がなく、加入者データを十分なスピードで集約して分析することが困難です。そのため、効果的なターゲティングの取り組みの妨げとなり、組織が収益機会を逃す原因となっています。また、効率的なデータコラボレーション機能も含まれていないため、広告効果を迅速に改善し、ビジネス上の意思決定を最適化する組織の能力が損なわれることになります。広告の効果を高めるには、代理店、出版社、測定会社など、多くのパートナーとの協力が必要です。データコラボレーションを採用すれば、各組織が独自のインジェスチョンパイプラインやデータのコピーを維持する必要がなく、データについて共同で作業することができます。

もう1つの共通の障害は、データサイロです。Subscriber 360を達成するには、Webサイト、CRMシステム、オンラインストリーミング、広告、ソーシャルメディアなどからデータソースを集める必要があります。しかし、多くの場合、そのデータはさまざまなシステムや部門で解析されることになります。結果として、組織は最新ではないデータを使用することになり、消費者の需要、競争、市場の圧力により効果的に対応するための貴重なインサイトを失うことになっています。

最後に重要なことは、消費者のプライバシーに関する懸念とそれに関連する規制です。お客様は、データが不正使用されるリスクと隣り合わせの状況であるため、これまで以上に信頼できる企業を高く評価するようになっています。お客様がプライバシー機能の強化、権限の強化、自分のデータに対するコントロール、および企業が厳格なデータガバナンスのベストプラクティスを順守しているという保証を求めるのは当然のことと言えます。

規制環境も変化しています。行政は、消費者データを扱う企業に対してより厳しい規制を課しており、今年後半にはさらに多くの規制が予定されています。EUのGDPRや米国の消費者プライバシー法(カリフォルニア州の消費者プライバシー法など)などの規制を、広告、メディア、エンターテイメント組織のデータ戦略のほか、イノベーションを妨げることなるプライバシー規制へのコンプライアンスを実現できるクラウドデータプラットフォームの要件に組み込む必要があります。

Subscriber 360のためのデータサイエンスのベストプラクティス

広告、メディア、エンターテイメント企業において、データサイエンスで何ができるかについての理解が深まれば、データサイエンティストが仕事を効果的に行う上で何が必要なのかを理解できるようになります。当社のデータサイエンスに関するSubscriber 360のベストプラクティス(eBook)より、ベストプラクティスをいくつか(11件のベストプラクティスのうち3件)ご紹介します。これらは、効果的なデータサイエンス組織を構築するために企業が実践すべき内容となっています。

  • さまざまな種類のデータをサポートする統合クラウドデータプラットフォームを使用して、データサイロを解消する。マクロレベルでは、一元化され使用可能なデータにより、データサイエンティストがSubscriber 360を作成できるだけでなく、傾向を洗い出し、課題を特定し、非効率性を解消できるようになります。そのため、構造化データ、半構造化データ、および非構造化データ(画像や動画ファイルなど)に対応するプラットフォームを通じてデータを統合することが非常に重要となります。
  • カギとなる質問によって適切な人材を見つける。データサイエンスの人材の需要は高く、データサイエンスの優秀な人材を見つけて定着させるのは簡単なことではありません。多くの場合、組織は、「データサイエンティストに本当にしてもらいたいことは何か?」、「当社のデータの現在の状態は?」、「その仕事に必要な具体的なスキルは何か?」、「データサイエンティストが知っておくべき技術スタックは何か?」などの重要な質問について考える時間がないと考えています。しかし、これらは検討すべき基本的な質問です。このような事前の評価を行うことで、より適切な人員配置をすることができるようになり、それぞれの組織に固有のニーズと課題に基づいて、どの候補者が他の候補者よりも適任であるかを判断できるようになります。
  • サードパーティデータを使用してインサイトを改善する。メディアおよびエンターテイメント企業は、ファーストパーティデータをサードパーティデータ(人口統計、行動、視聴者データなど)で強化し、堅牢な加入者プロファイルを作成することによって大きなメリットを得ることができます。データマーケットプレイスからサードパーティデータを購入する場合は、幅広い種類の安全ですぐにクエリできるライブデータセットが提供されており、それが事前構築済みのSaaSコネクターを介して直接接続されている評判の良い企業からニアリアルタイムで自動的に更新されるものであることを確認してください。これを実行することで、組織は古いデータをコピーしたり移動したりするリスクやわずらわしさを回避し、常に最新のデータで作業できるようになります。 

効果的なデータサイエンスは、広告、メディア、エンターテイメント企業にとって重要な競争優位性となります。幸いなことに、あらゆる種類のコンテンツに対する消費者の欲求は衰えを見せておらず、データサイエンスを効果的に活用する機会は、価値のある投資だと言えます。

詳細については、データサイエンスに関するSubscriber 360のベストプラクティス(eBook)
をご覧ください。