注:本記事は(2021年7月14日)に公開された(OAG: Using the Cloud for Sunnier Days in the Travel Industry)を翻訳して公開したものです。

新型コロナウイルスは、旅客の流れの低下や頻繁に変わる移動制限により世界的な混乱をもたらすなど、旅行セクター全体を激変させました。Snowflakeは、航空データとアナリティクスの世界的リーダーであるOAG社のCTO、Nick Dearden氏をお招きして、同社がいかに顧客データに基づくインサイトを集め、旅行業界を支えているかについて伺いました。

American Airlines、American Express、Expedia、Ctripなど、世界最大の規模と評価を誇る多くの航空会社、金融機関、旅行会社、政府、空港、テクノロジー企業が、OAGの旅行データやソリューションを利用しています。業界の激震に対応し、スムーズな回復をサポートするために、OAGは自社のデータインフラストラクチャーを刷新し、旅客の流れに関するアナリティクスに向けてほぼリアルタイムのデータを供給する情報サービスを提供できるようにしました。これによりクライアントは、たとえば予約活動、トレンド、エクスペリエンス、リテーラーの選択を改善し、産業収益を予測できるようになります。

パンデミックからの回復を導く

OAGの中核サービスは、90年以上にわたって旅行業界のバックボーンであり続けてきました。Dearden氏は、同社が顧客に提供しているデータおよびアナリティクスプラットフォームの責任者です。その役割は、イノベーションを推進し、適切なテクノロジーを選択して、同社が業界をモダナイズできるようにすることです。

Dearden氏は、旅行セクターで今後予想される回復のためにはデータが不可欠であり、コロナ後には今後の満たされていないニーズを満たす必要があると説明しています。OAGの目標は、データの新鮮さ、アクセスしやすさ、拡張性、価値、伸縮性を向上させることで、顧客がより迅速に行動し、より的確な意思決定を下せるようにすることです。そのような中、OAGは、自在な構成が可能で、顧客が必要とするデータを、希望するタイミングと配信メカニズムで柔軟に提供できるクラウドプラットフォームを必要としていました。

「当社は厳格な選抜プロセスを行いました。Snowflakeは、他のどのプロバイダーとも異なる、サービスとしてのプラットフォームというアプローチを提案してくれました。これにより、データシェアリングを通じて顧客にほぼリアルアイムにインサイトを提供できるようになるなど、当社にとって重要な推進力となりました。」

—Nick Dearden氏、CTO、OAG社

Snowflakeデータクラウドをデプロイすることにより、OAGはクラウドとの連携を強化できました。これにより顧客はファイルを手動で受領、ダウンロード、取り込み、操作する代わりに、OAGデータベースに直接プラグインしてデータにアクセスし、クエリや分析を実行できるようになったほか、OAGデータフィードを既存のシステムやAPIに自動的に統合できるようになりました。

1日あたり15万件ものスケジュール変更にも即時にアクセス

現在、フライトスケジュールの変更は1日あたり15万件にも上っています。さらに、市場は変動しやすく、多くの航空会社が依然として不確かな状況の中、チケットの提供に関してさまざまな戦略の下で業務を行っています。新型コロナウイルスにより旅客の間には新たな「信頼性」という課題が生じることになりました。その信頼を再構築するため、オンライン旅行会社、メタ検索エンジン、出張管理プロバイダー各社はOAGを利用してスケジュールの可視性と正確性を高めています。

このような包括的なアプローチの結果、OAGの顧客企業はグローバルなスケジュールデータセットをクエリして、最新の変更をほぼリアルタイムに確認できるようになりました。パンデミック以前同社のデータベースには11万件の毎日のフライトのデータが含まれていました。このデータ量は市場最大規模を誇ります。

「当社は、以前では不可能なスピードと規模で、インサイトやアナリティクスへのアクセスを顧客に提供できるようになっています。これによりデータの移転や統合作業の必要なしにデータに直接アクセスできるなど、より高い価値を顧客に提供できるようになりました。」

—Nick Dearden氏、CTO、OAG社

OAGはまた、他のセクターからも新しい顧客を引き付けています。たとえば金融サービス企業の場合、OAGのデータインサイトに基づいてヘッジファンドや株価傾向に関する意思決定を下すことができます。空港や各国の乗客の流れを理解することは優れた価値をもたらすとともに、商機を定量化し、より効率的なオペレーションを構築する上で役立ちます。

さらに、このインサイトはSnowflakeデータマーケットプレイスを通じて広く提供されており、約50の組織がOAGプラットフォームを試しているところです。「Snowflakeデータマーケットプレイスでは、数多くの組織にトライアル版をご利用いただいており、強力な相乗効果が生まれています。中には、大規模なデータシェアリングのメリットを知り、正規版を購入してくださった組織もあります」と、Dearden氏は語りました。

サイロの排除がイノベーションを生む

Snowflakeを利用することで、OAGは、スケーラブルで、クラウド経由でアクセスでき、構成可能で、伸縮性があるシングル・ソース・オブ・トゥルース(信頼できる唯一の情報源)を構築できました。これによりOAGの立場は、複数のセグメント化されたデータフィードを販売する会社から、単一かつクラウドベースの航空旅客インテリジェンスおよびアナリティクスソリューションを販売する会社へと移行しました。このシフトにより、OAGは下記の3つの主要目標を達成することができました。

  • OAGのエンジニア、データサイエンティスト、サードパーティ開発者のための製品イノベーションを加速する
  • 予測と分析の観点から何が可能かを大きく変革しながら、顧客向けのコンテキストとインテリジェンスを改善する 
  • 以前はデータを利用できなかった非技術系ユーザーにもデータへの直接アクセスを提供するなど、OAGデータへのアクセスを民主化する

将来の計画

OAGは将来の計画として、プラットフォームを強化し、より広範なOAG派生データ、排出データを用いた専有モデル、遅延予測、乗り継ぎミス、OTP、今後の予定へのアクセスを顧客に提供する専用データモデルを構築します。データ統合作業は顧客の手を煩わせずにOAGが行い、全てはOAGのAPIやダイレクトソリューションを通じて利用可能となります。

加えてOAGは、Snowflakeに支えられたデータサイエンス能力がもたらす、他社にはない独自のコンテンツを提供していく予定です。旅行セクターが顧客との信頼再構築を続ける中、ほぼリアルタイムに充実したデータを提供するOAGの能力は、回復を実現する上で欠かせない手段となるでしょう。