注:本記事は(2022年6月21日)に公開された(Improving Operational Efficiency: How Medtronic is Tapping the Power of Snowflake for Digital Transformation)を翻訳して公開したものです。

Medtronic社のIT、イノベーション、インサイト担当バイスプレジデント、Raj Harapanahalli氏との質疑応答

編集注記:RajはSnowflakeのウェビナーに最近登場しています。以下の記事は、彼との質疑応答におけるハイライトになります(ブログ形式に編集済み)。

医療テクノロジー業界におけるグローバルリーディングカンパニーであるMedtronic社は、心疾患、外科、神経疾患、糖尿病という4つの主要分野での治療やソリューションを提供しています。Raj Harapanahalli氏はこのグローバルなIT企業でイノベーションとインサイトに注力するチームを率いており、デジタルヘルス(主にコネクテッドケア)、エンタープライズデータ&アナリティクス、コンサルティングサービス(イノベーションラボ、人間中心設計、プロセスエクセレンス、ロボティックプロセスオートメーションなど)の主要3分野を担当しています。

司会者:あなたのビジネスコミュニティにおいて、データやアナリティクスにおけるニーズの変化について気付いたことはありますか?

Raj:私たち自身でデジタルトランスフォーメーションを実施したことで、素晴らしい機会を提供してもらえました。すべての取り組みは、AIや自動化を通じて、いかにしてデータを実行可能なインサイトに変換できるかという点に焦点を当てています。このイニシアチブはMedtronic社内のユースケースにも、ヘルスケア業界のプロフェッショナルや組織のユースケースにも有効です。私たちは4つの柱に沿って取り組みました。

  • カスタマーエクスペリエンスおよびカスタマーエンゲージメントの向上
  • 患者アウトカムの改善
  • オペレーショナルエクセレンスの推進
  • 高いデータIQの文化の構築

私たちは、患者アウトカムの改善に向けてデータをいかに活用できるかに焦点を当てています。さらに、オペレーショナルエクセレンスの分野では、もちろん、サプライチェーンから金融、レポーティング、データアナリティクスに至るまであらゆることに焦点を当てています。すべては、より良い経営判断を、迅速かつ大規模にサポートするためにはどうするかという点につながっています。

さらに、私たちはデータの連携(今は民主化と呼ぶこともあります)も行っています。ビジネスにビジネスアナリティクスチームを盛り込み、オペレーティングモデルをCore(中心)対Periphery(周辺)の1つに調整しました。チームは自身が担当するビジネスを詳細に把握しているため、必要なインサイトを適切に判断することができます。私たちは最良のアーキテクチャおよびスケーラブルなプラットフォームで彼らをサポートし、スチュワードシッププロセス(誰が、何を、どのように設定するのか)を定義しました。ステークホルダーとの信頼関係を構築し、ステークホルダーが自らのインサイトを強化するために必要なものを提供できるようになりました。

Q:Snowflakeへの移行における実用的な価値は何ですか?

Raj:端的に言うと、Snowflakeは、SalesforceやWorkdayといった、データからのビジネス価値の創出をサポートしてくれています。ビジネス価値を短期間で達成できるだけでなく、他のソフトウェア企業とのSnowflakeのパートナーシップからも価値を得ており、事業の推進に向けより迅速に動けるようになりました。また、オンデマンドコンピューティングストレージの拡張や提供といったSnowflakeの機能は、データセットから得られるビジネス価値の橋渡しや解放に関する需要への対応にも役立っています。

「Snowflakeはデータからのビジネス価値の創出に役立っています。また、より迅速なビジネス価値の達成につながっています。」

Q:「Great Lakes(グレートレイク)」イニシアチブについて教えてください。オンプレイスソリューションからクラウドのSnowflakeへの移行を決定されましたね。  

Raj:「Great Lakes」は、当社におけるデンタープライズデータ、コアデータインフラストラクチャ、データウェアハウスの収益化に対する呼称です。当社プラットフォームやテクノロジーにおいて、既存市場を深く理解するよう努めました。デジタルインフォメーションコアをどのようにサポートすべきかに焦点を当て、「どこを目指すべきなのか」を問いかけました。この質問が、Great Lakesイニシアチブ発足の決定における戦略的促進因子、当社の主要プラットフォームとしてSnowflakeを選ぶに至りました。

アナリティクスに対する需要は高まっており、留まるところを知りません。デジタルトランスフォーメーションにおいては、組織全体が意思決定の迅速化について検討しています。より効果的な意思決定の必要性は、インフラストラクチャによるサポートの限界を超えるほど急速に高まっており、クラウドを検討する明白な根拠となっています。さらに、現在提供しているレポートやダッシュボード機能は将来的なニーズに対応しそうにないため、機械学習による高度なアナリティクスを提供する必要もありました。データからより効果的で、実行性の高いインサイトを得るにはどうしたら良いのでしょうか。私たちの現在のソリューションでは、このような需要に対応して拡張することができませんでした。新しいプロジェクトが登場するたび、インフラストラクチャが拡大していきました。私たちが必要としていたのは、単なるキャパシティの増加ではなく、伸縮性のあるキャパシティでした。また、人材の問題もあります。これからの世代はクラウドで研修を受け、クラウドで業務を行うだろうという認識がありました。私たちは、選ばれる雇用主を目指しています。当社テクノロジーコアの近代化を進めるための選択において、このような点が重要な要素となりました。

Q:柔軟な周辺提供やビジネスの促進に向け、どのように強固なコアおよびアナリティクス機能を構築しているかについてもう少し詳しく教えてください。

Raj:それにはビレッジ(集落)が必要だったと言えるでしょう。適切なインサイトを適切なタイミングかつ適切な品質で提供するビレッジです。私たちはみな、ITにおいてもビジネス部門においても、異なる役割を果たしています。中核を成すIT業界では、ビジネス領域やテクノロジーコンピテンシーについて、対象分野の専門知識の拡大に取り組んでいます。点と点が正しく結ばれており、インサイトを非常に迅速に活用できているかどうか、どのように確認していますか?私たちのチームでは、スケーラブルなデータセットとインフラストラクチャの提供に注力しています。提供するデータが、最高品質のデータセットに基づいて構築されており、ドメインごとに適切であるかを確認する必要があります。これにはデータカタログや私たちが焦点を当てる必要のあるエンタープライズデータウェアハウスを取り巻くさまざまなツールが含まれます。

Q:ビジネスがそのメリットを活用できていると思いますか?また、以前とは違うデータの使用法に気が付いたことはありますか? 

Raj:私たちはまだ道半ばといったところです。現時点で、約30%のデータをクラウドに移行し終えました。これな「ビッグバン」アプローチとは異なります。しかし、2つ目の質問については、「はい」と答えることができます。例を挙げると、HP Salesforceからの社内のトランザクションデータを自社デバイスからオペレーションデータと連携しました。当社機器は、現在の状況に関するオペレーションデータを生成し、私たちはそのデータを社内システムと連携させ、製品、R&D、エンジニアリング機能の向上に使用可能な高度なアナリティクスを得ることができるようになっています。

2つ目の例としては、当社のオファー・トゥ・キャッシュプログラムです。私たちは、フローモニタリングの推進やお客様向けエンドツーエンドビューの作成のために、異なるリージョンのSalesforceインスタンスからのデータをスピードデータやオペレーションデータと連結しました。また別の例では、高度なアナリティクスに向け、SnowflakeとデータIQの接続に関するHRデータの実証実験を行いました。データサイエンスツールとしてのデータIQがどのようにSnowflakeとつながっているかというシームレスな連携であることがわかり、また予測的な高度なアナリティクスを通じて、HRチームへの価値提供にもつながりました。さらに、定期的なユースケースの追加も行っており、Snowflakeによるイノベーションはさらに拍車がかかっています。

「Snowflakeによりオペレーショナルエクセレンスを推進しています。」

Q:どれだけのBIツールを使用しているかという点に多くの人の関心があると思います。また、ツールの使用が一元化されているのか、それともユーザーが好きなものを選んでいるのかについても教えてください。

Raj:素晴らしい質問です。私たちは、データを正しく扱う方法について話し合いを重ねてきました。そこで、中央と周辺という考え方、ひいてはデータを正しく取得するための標準化の必要性に辿り着きました。80%の作業はここで行われています。私たちは、この企業はこのツールを使用したい、また別の企業は別のツールを、というように、ビジネスパートナーに柔軟性を提供したいと考えています。100のツールをサポートするのではなく、活用可能なビジネスロジックレイヤを持ち、環境に連携した2、3のエンタープライズツールをサポートすることが合理的だと考えています。

Q:データの正確性を保証し、自信を持って利用できるようにするために有効なヒントやコツを共有させてください。

Raj:データガバナンスや処理の連携を非常に重要視している、と言えるでしょう。適切なガーディアンシップが設定されていれば、オペレーション効率を格段に向上させてビジネスをサポートすることができます。適切なガーディアンシップなしには、他の人の作業について聞いて回ることで時間を無駄にする人ばかりになります。すべての人が同じではないため、適切だったはずのデータの価値が損なわれることになります。例を挙げると、1つのユーザーグループがテリトリーを定義し、別のグループがリージョン別に作業をしています。このグループのダッシュボードではテリトリーを使用すらしていない、といった状況です。適切なガバナンスにより人々のコミュニケーションが促進され、考えを共有でき、データに対する信頼につながります。

ウェビナーの全体は、こちらで視聴できます。