注:本記事は(2021年6月15日)に公開された(How Novartis is Using the Data Cloud to Accelerate Delivery of New Medicines)を翻訳して公開したものです。

スイスのバーゼルを拠点とするNovartis社は、世界企業番付「フォーチュン500」に名を連ねるライフサイエンス業界のリーダー的存在です。Novartis社は、人々がより長く健康に生きるための革新的な医薬品やジェネリック薬品を製造しています。

Snowflakeがお届けしているRise of the Data Cloudポッドキャストの最新エピソードとして、今回はNovartis社のビジネス・アナリティクス・センター・オブ・エクセレンス部門長であるLoic Giraud氏をお招きして、同社がいかにサイエンスとデータを活用しながら、この変化の激しい業界で医薬品の開発を促進しているかについてお話していただきます。

Novartis社は、医療の未来を描く中、多大な資金を研究開発に投下している世界屈指の企業として位置づけられています。同社の製品ポートフォリオには、医薬、遺伝子療法、革新的なガン療法などが含まれ、全分野で合計すると世界で8億人もの患者にリーチしています。

Loic氏の説明によると、ヘルスケア企業の日々の業務にとってデジタル技術の重要性は増すばかりであり、Novartis社は、クラウド技術やデータ技術をもっと活用することで、社会が必要としている薬は何かについての理解をさらに深め、その開発を加速できるよう、デジタル変革を進めているところだそうです。

数年前まで、Novartis社はデータ分析やデータサイエンスに関してオンプレミスのインフラに大きく依存していました。しかしそれではビジネス上のニーズと、チームが試験を実施し新製品を市場に出す速度との間に大きなギャップが生じてしまうということで、2017年、同社は業務のあらゆる側面をデジタル化する大規模な取り組みの一環として、Snowflakeを採用しました。

大きなインパクトが期待される重要分野の1つは、新薬開発にかかる時間の短縮です。Loic氏によると、通常、初期研究から製造、治験、および流通まで、新薬を市場に出すまでに約12年はかかるということです。Novartis社は、これらのプロセスにデータと人工知能を適用することで、この年月を9年に短縮でき、さらに最低限のコストで消費者に新薬を提供できると確信しています。

データの使い道は単に薬の開発に留まりません。Loic氏はポッドキャストの中で、Novartis社が現在開発している治療を患者ごとにパーソナライズする医療機関向けの新製品やサービス、さらには毎日決まった時間に服薬するための患者向けの新製品やサービスについて語っています。

「当社は、デジタルテクノロジーの時代に向けて医療の在り方を再考し、データとデータサイエンスを変革の中心に据えていきたいと考えています」とLoic氏は語ります。

Loic氏が20年前にこの業界で働き始めてから、医療は大きく変化しました。Loic氏によると、最初の10年間は生成されたデータを処理する演算能力が不十分で、データを何かに役立てることが難しかったそうです。Novartis社が一部をSnowflakeに移行した理由は、すべてのデータを処理、分析する上で必要となる柔軟な拡張性をSnowflakeが提供していること、そして組織内外でデータを簡単に共有できることにあります。

「以前のテクノロジーのままでは、これらのデータにタイムリーにアクセスすることは絶対に不可能だったでしょう」とLoic氏は語っています。

Loic氏によると、組織は今、自らが集めたデータの価値をやっと理解し始めたところだということです。将来、データは各業界内でさらに広く共有されるようになり、医療業界の場合、製薬会社と患者の両方にとってはるかに良い結果につながると、同氏は確信しています。

Rise of the Data Cloudは、受賞歴のある著述家でありジャーナリストであるSteve Hamm氏がホスト役を務めるポッドキャストです。毎回、Steve氏は、クラウドをどのように利用してデータを管理、共有、分析しているか、どのようにビジネスの成長を加速させ、イノベーションを促進し、業界に革新をもたらしているかについて、データ業界のリーダーを招いてインタビューしています。このポッドキャストの他の回を聴きたい場合はこちらからアクセスしてください。