注:本記事は(2021年6月14日)に公開された(A Collaborative Culture of Experimentation)を翻訳して公開したものです。

先日、私はFUTR European Summit 2021Data Driven Engagement & Analytics In The Post Covid Era(コロナ後の時代におけるデータに基づくエンゲージメントとアナリティクス)と題されたパネルセッションに参加しました。パネリストたちは将来の展望について質問を受けました。私は決して予知能力があるわけではありませんが、どちらかというと楽観的なタイプです。そんな私は、将来はかなり有望だと思います。言い換えると、データを駆使してカスタマーとの関係を強化し、カスタマーにとって有意義でタイムリーな製品やサービスを提供できる企業であれば将来は明るいと思います。しかし「将来はかなり有望」というのは可能性であって、確定事項ではありません。それではどのような課題があるでしょうか。

まず第一に、カスタマーはもはや私たちが思うカスタマーではありません。彼らの習慣は変化しました。以前よりもオンラインで買い物をする頻度が増え、外食を控え、自炊をよくするようになり、家族とより多くの時間を過ごし、きちんとした服装は上半身だけで、友人や同僚との時間はもっぱらオンラインです。私たちの行動は、以前のものに戻るでしょうか。おそらく一部は戻るでしょうが、すべてではないでしょう。オフィスが再開したら、腰から下の身だしなみは元に戻るかもしれません。しかしMcKinsey & Company社の調査によると、コロナ禍でブランドを変えた人の73%は、そのまま新しい購買習慣を続ける意向だそうです。[1] これが意味することは、顧客にどうサービスを提供するかを決める際に、意思決定者は過去のデータに頼ることができないということです。

同時に、カスタマーを見出し、理解するチャンスはかつてないほど大きくなってきています。トランザクションやデジタルエンゲージメントから豊富な情報が得られます。しかしほとんどの企業が、まだ情報をフル活用できていません。多少はできていても最大限とまではいかないのが現状です。企業は手持ちのデータのどれくらいを利用しているでしょうか。外部からデータを調達しているでしょうか。Forrester Researchによると[2]、真にインサイトドリブンと言える企業は全体の10%以下だということです。なぜでしょうか。何が足かせとなっているのでしょうか。

情報のフル活用は簡単ではありません。これにはデータやテクノロジーだけでなく、人やプロセスへの投資も必要です。セッションでは、この課題に本腰を入れて対応しているパネル陣に対し、アナリティクスとクリエイティブとの間のバランスをどうとっているかという質問がなされました。これは言外に、アナリティクスはクリエイティブ(独創的)ではないと言っているようなものです。私はそれには激しく反対します。アナリティクスモデルの構築にはクリエイティブが必要です。データサイエンスにはアートの面もあります。実際に鍵になるのは、アナリティクスとクリエイティブとの融合であり、それは実験から生まれます。私たちはモデルを構築し、それらのテスト、評価、微調整を繰り返します。製品デザイン、マーケティングキャンペーン、ビジネスモデル、ある種のカスタマーエンゲージメントといったクリエイティブ要素のテストにアナリティクスを用いることもあります。購買プロセスのデジタル化が進むにつれ、私たちは実験をカスタマーライフサイクル全体に拡大し、カスタマーエクスペリエンスをパーソナライズしていくことになるでしょう。

そのために私たちは何をすべきでしょうか?

  1. カスタマーライフサイクル全体に関連するデータにアクセスする—会社の枠を越えたデータ
  2. カスタマー行動に関する新たなインサイトにアクセスする—外部データソース
  3. すばやくテスト、反復できるようにする—モデルやアプリケーションを構築するツール

ここまで書くとまさにSnowflakeデータクラウドが思い浮かびます。しかし必要なのはこれだけではありません。

4. コラボレーションと実験の文化

企業は、イノベーション、コラボレーション、そして実験を促す文化を育てる必要があります。最近のHidden Brainポッドキャストでは(注: Hidden Brainポッドキャストを聴いたことがない方、今すぐ聴き始めることをお勧めします!)、心理学者が自身に挑戦することの必要性を語っていました。私の心を打った事例を1つご紹介しましょう。ある教師が1年生に4枚の家を描くよう求めました。手順としては、まず1枚目を描いたあと、それを最終版とするのではなく、子どもたちに互いの絵を批評させます。このとき、批評をする生徒たちは個人的な悪口ではなく、建設的な提案をするよう、そして批評を受ける生徒たちは他者の意見を悪口と捉えないよう指導されます。子どもたちは、他者の提案をもとに絵をバージョンアップしていきました。私たちもこのように、仕事の誤りを指摘してくれる「チャレンジネットワーク」の人々を周囲に置きながら、考え、再考することを学ぶ必要があります。そして相手に不愉快な思いをさせずに反対を表明する術を学ぶ必要があります。

こうしたコラボレーションとイノベーションを可能にするために必要な手段はすでに存在します。私たちの世界において、その手段とはデータへのシームレスなアクセスであり、実験のための堅牢で高速なプラットフォームです。そこで、次に取り組むべきは文化ということになります。

[1] mck.co/3ipYK96

[2] https://bit.ly/2TREfIp