注:本記事は(2022年10月25日)に公開された(How to Win in Today’s Data Economy: Creating a Data Culture)を翻訳して公開したものです。

編集者注記:今回のブログはデータエコノミーに関するシリーズの一部です。データエコノミーをリードする企業が、人・プロセス・技術とビジネス戦略の整合性を確保しデータファーストな企業となるために、組織面およびカルチャー面での改革にどのように取り組んでいるかを見ていきます。

データカルチャーとは何でしょうか?データカルチャーとは、データドリブンな意思決定を取り巻く共通のコアバリューが確立されており、組織内のあらゆるレベル、あらゆる部門、あらゆる地理的境界内のメンバーがデータに安全にアクセスして共有することができ、それにより最適なアウトカムが達成されている環境を意味します。データカルチャーは組織全体に浸透し、トップダウンで推進されます。「How to Become a Data Economy Leader: The Rise of the CDO(データエコノミーリーダーになるには:CDOの台頭)」でも取り上げたように、ライブデータ、データアプリケーション、データサービスのグローバルな需要と供給を表すデータエコノミーにおいて成功するためには、経営幹部のサポートが不可欠です。

それでは、データカルチャーはどのように創出されるのでしょうか?データカルチャーは、データのアクセス性およびデータリテラシーの推進と、あらゆる側面におけるデータファーストな戦略の維持により生み出されます。これには、平均的なビジネスユーザーに対して「点を線につなぐ」ための経営リーダーの強力なコミットメントが必要です。これが達成されれば、組織のメンバー全員がデータドリブンなインサイトの価値を理解するようになるでしょう。

データエコノミーリーダー企業のおよそ3分の2(68%)が、データカルチャーの推進を担うCDO(最高データ責任者)を設置しています。CDOの主な責務は、組織がデータを利用して何ができるかを検討し推進することであり、セキュリティやコンプライアンスなどの他の重要タスクは基本的に他の経営幹部の責任となります。データエコノミーリーダーを特徴づけるその他の重要属性として、データとアナリティクスに関する強力なリーダーシップと、データリテラシーおよび教育プログラムへの全社的なコミットメントが挙げられます。データエコノミーリーダーの79%が、全従業員を対象とするデータリテラシープログラムを運用しています。

有効なデータカルチャーは、阻害なきデータへのアクセス(もちろん必要なアクセス制限によるガバナンスは確保したうえで)とビジネスエコシステム全体におけるデータ共有能力を促進します。経営幹部がこうしたデータファーストなアプローチを一貫して支持していることが、データエコノミーリーダー企業であるための最も重要な特性であるかもしれません。こうしたアプローチが実務チームにとっての強固な道しるべとなり、私たちが経済活動の中でそれぞれの市場や業種において対処を迫られる多くの変動を生き抜く原動力となるでしょう。

ここでポイントとなるのは、データサイエンティストやエンジニア、ITエキスパートの領域に留まらず、データを組織全体に広めることです。データエコノミーリーダーはその推進に長けており、データエコノミーリーダー企業の62%がデータポリシーの集約を担うデータもしくはアナリティクスCoE(センターオブエクセレンス)を設置しており、また54%はユーザーが単一のシステムまたはアプリケーションを介して利用可能なすべてのデータにアクセスできる体制を整備しています。データカルチャーを組織全体に浸透させるにはまず、全てのステークホルダーが同一のニアリアルタイム情報に基づいて作業することを可能にするライブデータソースへのアクセスなど、高度に管理されたデータシェアリングを支えるテクノロジープロセスの導入によりデータサイロを解消する必要があります。データカルチャーを意識的に推進している組織では、データに基づいて製品開発、マーケティング、財務判断が行われており、これが日常的な従業員エクスペリエンスの一部となります。

メンバーがデータファーストな意識を持つことはその企業のデジタル変革を推進させますが、その良い例がKraft Heinzです。Kraft Heinzは2019年にわずか9か月でオンプレミスデータセンターからクラウドへの移行を完了させましたが、少し前であればこうしたタスクの完了には数年の期間を要したでしょう。今回のレポートでも示すように、Kraft Heinzはこうしたスピーディーなデータ改革をコロナウィルス流行前に達成したことにより、2020年にはさらに改革を前進させて新たな意識改革、新しい人材の採用、および従業員向けのデータ関連技術学習支援を進めています。

データカルチャー構築のカギとなるもう一つの要素がアナリティクスに関するリーダーシップです。この領域で優れている企業は、見込み客向けのパーソナライズされたマーケティングキャンペーンエクスペリエンスの提供や新しいビジネスチャンスの開拓など、データを活用した戦略目標の推進に成功しています。さらにデータカルチャーは組織全体でのデータ戦略目標の整合化にもつながり、全ての機能分野のメンバーが共通の目標に向かって取り組むことを可能にします。こうしたプロセスは極めて重要で、有効なデータカルチャーを備えた企業では明確なデータガバナンスと明瞭なデータアナリティクス基準が整備されており(企業内のデータ利用の推進と指導を担う専任チームを設置している場合が多いです)、また組織内のデータ交換システムやマーケットプレイスの活用によりデータへのアクセス性を確保しています。

これらのことが重要な理由は何でしょうか?調査によれば、これらの要件の実現はより良いアウトカムにつながることが示されています。Snowflakeの最近の調査レポート「現代のデータエコノミーの勝者になる方法」によれば、誕生間もない今日のデータエコノミーにおけるリーダー企業はいずれも、イノベーションの推進とオペレーション効率の向上、さらには増益につながる影響力の大きいデータカルチャーの構築によるイノベーションに成功しているか、もしくはその構築に向けた取り組みを進めています。これらのデータエコノミーリーダー企業は同業他社に比べて明らかに優れたビジネス成果を達成しています。データエコノミーリーダーの77%が過去3年間で年間収益の増加を達成しており、一方同様の収益増加を達成できたのはデータエコノミーラガード(調査対象企業のうち最もパフォーマンスの低い「データエコノミー後進企業」)の36%に過ぎません。さらに、データエコノミーリーダーの60%が同じ3年間で市場シェアの拡大を達成していますが、同様のシェア拡大を達成できたのはデータエコノミーラガードの31%に留まっています。

データカルチャーの育成にはデータリテラシー強化へのコミットメントが不可欠です。Snowflakeのレポートによれば、ヘルスケア金融サービスおよびテクノロジー分野の大企業(年間収益10億ドル超)が組織内のデータリテラシー強化については最も進んでいますが、小売業者および消費財業者も遅れを挽回するべく取り組みを進めています。

データリテラシーを広く浸透させるにはデータの民主化がカギであり、それ自体が包括的な性質を備えています。よりよい意思決定はデータに基づいて行う必要がありますが、データカルチャーが各企業内に確立されればより多くの人がそのような優れた意思決定を行うようになるでしょう。