注:本記事は(2021年9月14日)に公開された(How To Get True ROI From Your Account-Based Marketing (ABM))を翻訳して公開したものです。

アカウントベースドマーケティング(ABM)は、ターゲットを絞った需要創出方法として、1対1のマーケティングよりも頻繁に用いられます。しかし2020年にForrester社が世界の300以上の組織を対象に行った調査では、「回答企業のうち大多数がABMアプローチを採用していると回答した一方で、これらの企業は営業部門との協働など、Forrester社がABMの基本として認識している活動を実施していない」ことが判明しています。1

ABMとは、ポテンシャルの高い見込み客を発見し、狙いを絞る責任をある1つのチームに負わせることではありません。ABMには、マーケティング部門や営業部門でカスタマー獲得に関わるすべてのチームやリソースの連携が重要です。これらのチームは、アカウントの特定から、戦術の展開やメッセージングまで、積極的に協力し合う必要があります。

しかし、ABMにおいて投資から確かなリターンを得るには、3つのP、すなわちpurpose(目的)、programs(プログラム)、people(人材)の足並みを揃える必要があります。たとえば、これらのプログラムを現場での営業活動と整合させることなどが不可欠となります。

Snowflakeの場合、創立当初は組織が小さくターゲットアカウントが少なかったため、容易にこれを実行できました。当社では、営業チームがターゲットアカウント戦略を標榜すると同時にABMプログラムを発足させました。現在では、何百もの人材と約5,000社のカスタマー(2021年7月31日時点)を擁するマーケティング組織の統括者として、私の時間のほとんどは、大規模な連携を図ることに費やされています。 

こうした連携を成し遂げる1つの方法は、アカウントのポテンシャルに応じてパーソナライズされたアプローチを処方する、階層型のABM戦略です。

ABMの3階層

ここからは、3つの階層(高度に戦略的、戦略的、購買者主導)のそれぞれで結果を出すため、営業とマーケティングがいかに目的、プログラム、人材を連携させるべきかについて説明します。

階層1:高度に戦略的な1対1のABM

目的: 地域の営業担当バイスプレジデントは、大きな取引規模になるポテンシャルを秘めた3~5アカウントを指名します。その目的は、メディアをまたいだ集中的なメッセージにより認知度を向上させること、特定の事業部門とつながること、カスタマーの購買中心点において、価値提案の勢力範囲を構築することにあります。

プログラム: ABMの最高レベルとして、これらのアカウントは1対1のイベント、カスタマイズされたダイレクトメール、1対1の広告活動、マイクロサイト、その他、営業担当者に明かしたアカウントの痛点と関心トピック、およびアカウントの業種共通の課題に応じたカスタムコンテンツの対象となります。さらに、インテントデータを活用して、その企業が積極的にリサーチしているトピックを特定する必要もあります。これにより、どの購買中心点をターゲットとすべきか、また必要に応じてどのタイミングでターゲットを切り換えるべきかを把握できます。

人材: ABM、フィールドマーケティング、パートナーマーケティング、営業開発、およびフィールド営業担当者で構成された部門横断的なチームを結成し、メッセージングやタイミングに基づいて、アカウントの購買中心点内の狙ったペルソナに向けて、連携のとれた戦術を展開します。

階層2:戦略的な1対複数のABM

目的: アカウントエグゼクティブ(AE)は、現在または将来のパイプラインにとって重要と見なされる5~7アカウントを指名します。この階層の目標は、アカウントタイプに応じて異なります。多くの場合、目標は会社がターゲットアカウントに提供できる特定のメリットに関する認知度を高めることによって、営業開発担当者(SDR)、AE、およびフィールドマーケターのパイプライン創出活動の効果を高めることです。

プログラム 階層2の場合、ターゲットアカウントに対してカスタマイズされた広告、厳選されたコンテンツやイベントを盛り込んだマイクロサイト、担当者からのパーソナルな手紙、およびSDRによるカスタマイズされたアウトリーチ活動を含むブティック的なアプローチを提供します。地域で開催するターゲットを絞ったフィールドマーケティングイベントに招待したり、見込み客のビジネスにどのような価値をもたらすことができるかを示すカスタムコンテンツを提供したりすることもできます。

人材: フィールドマーケティング、営業開発、フィールド営業、および需要創出担当者で構成される部門横断的なチームを結成し、アカウントに最も関連深いマーケティングを提供する有意義なアカウントエクスペリエンスを構築します。

階層3:購買者主導の1対複数のABM

目的: ABMマネージャー、営業地区マネージャー、およびSDRは、協力し合いながらリージョン内で優先するテーマを決め、関連するテーマで積極的にリサーチしているアカウントのリストを作成し、3~5アカウントにターゲットを絞ります。目的は、提供するプロダクトやサービスに関連するトピックに関心を示しているアカウントとつながるきっかけを作り、最初のミーティングにつなげ、新たな商機を生み出すことです。

プログラム: この階層では、大規模な連携活動が効果的です。インテントデータを活用して、ターゲットアカウントに最も適切なタイミングとトピックを理解し、高度に連携した部門横断的なマーケティング活動でフォローします。ABMは、1対多のアプローチを用いて、リージョンまたはテーマごとに、マイクロサイトに向けてターゲットを絞った広告をローンチしています。このパーソナライズされたマイクロサイトは、訪問者に関するインサイトにより、ページのロード時にページがカスタマイズされるよう構築されています。これにより、1対1のABMエクスペリエンスを大規模に提供できます(残念ながら、ほとんどの企業は1対複数のアプローチを用いて、1つのセグメントまたはテーマ内のすべてのアカウントに同じエクスペリエンスを提供しています)。

人材: 部門横断的なチームには、ABM、営業開発、およびフィールド営業部門からの人材が含まれます。これらの人材が協力しながら、アカウントの購買中心点内のターゲットとなるペルソナに向けてメッセージを送ります。

どの階層であっても、カスタマーを獲得したらABMは終了、とはなりません4。ABMは、既存のアカウントを新しい部門や地域に拡大するときにも用いられます。インテントデータを活用してカスタマーのデジタル行動を見極め、彼らがマーケティングにどう関心を示しているかについてSDRとAEに相談し、傾向を確認して商機を模索します。次に、ABM、SDR、およびSEは、この情報に基づいてターゲットを絞ったコンテンツやプログラムを展開します。

ツールも重要

The right tools are crucial to achieving alignment of purpose, programs, and people in your ABM campaigns. Here are a few critical tools to consider for ABM:

  • 最新のクラウドデータプラットフォーム:これにより、組織のデータを一元化して、社内やサードパーティのデータや分析にアクセスし、アカウントをより的確にターゲティングできます。データや分析には、デジタル行動に基づく購買傾向や、業界や地理に基づくアカウントの痛点などが含まれます。
  • Bombora:これにより、B2Bマーケターは企業が何を検索しているか、次に何を購買する可能性があるかを明らかにできます。この情報を会社レベルで集めることで、B2Bマーケターはそれらの見込み客にターゲットを絞ったメッセージとキャンペーンを提供し、誰が意思決定者なのかを探りつつ、見込み客の次の購買予定に合わせてオファーを調整できます。
  • RollworksおよびLinkedIn:これらを活用することで、1:1のディスプレイ広告を展開し、高度にカスタマイズされたCTA(行動喚起)を用いて個々の企業に簡単にリーチできます。Rollworksは企業内の特定のグループ(ITオペレーションチームやデータアナリストなど)にターゲットを絞る際にも役立ちます。
  • Uberflip:チームがこれまで作成したカスタマー向けマーケティングコンテンツのすべてを取り込み、マーケティングチームや営業チームの皆がアクセスできるようにすることができます。このツールは既存の営業プラットフォームに常駐させることができため、営業サイクルのあらゆる活動をパーソナライズできます。
  • 6sense:これは、売り込みたいビジネスに最も適しているのはどの企業かを知る上で役立つ予測モデリング/インテリジェンスアプリケーションです。このソリューションのオーケストレーション機能により、企業特性データや行動データに基づいてアカウントをセグメント化できます。そこから、部門横断的なチームによって各セグメントへの対応をしたり、それらのセグメントからABMページをパーソナライズしたりできます。

カスタマーに始まり、カスタマーに終わる

ABMは確実に結果を出せる手法です。2020年のITSMAレポートによると、ABMを実践した企業の76%は、他のタイプのマーケティングを採用している企業よりもROIが向上しています。2 しかし、ターゲットオーディエンス間で認知度と関心を高める上で、デマンドジェネレーション(営業案件の創出)は引き続き重要な役割を果たします。ブランドの成功には両チームが不可欠です。これらが連携して機能することで、どの業界や大規模アカウントを狙うかを絞り込むことができます。

ABMチームとデマンドジェネレーションチームは機能が異なりますが、カスタマーにフォーカスするという共通点があります。業種のニーズを完全に理解するにしろ、見込み客固有の要件をリサーチするにしろ、行動のすべては、マーケティング戦術や営業戦術をパーソナライズし、カスタマーに適したメッセージングをすることを中心に展開させる必要があります。ABMの最終的な目標は、カスタマーの問題を解決し、より良いビジネス成果に導くことです。目的、プログラム、人材の連携に意識を集中することでゴールが現実のものとなります。


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