注:本記事は(2021年11月8日)に公開された(Diversity, Data, and Women in Tech: An Interview with Kirsty Gilbert)を翻訳して公開したものです。

Kirsty GilbertはSnowflakeのリージョナルディレクターで、UKI全体のエンタープライズ市場におけるビジネスの成長に注力しています。価値の提供に熱心に取り組んでいる同氏は、ビジネスの戦略策定を統括し、自身のチームや協働する組織が目標を達成できるよう導いています。プライベートでは熟達したスキューバダイバーであり、フィットネス愛好家であり、テクノロジー業界におけるダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンの推進にも情熱を傾けています。

今回は、ご本人の紹介のほか、テクノロジー業界におけるダイバーシティといったトピックについて詳しくお話を伺います。

テクノロジー業界に興味を持ったのはいつですか?

私がテクノロジー業界で働き始めたのは18歳のときで、最初はテクノロジーリセラー企業のCEOの秘書をして、次に営業に移りました。たまたまチャンスが巡ってきて、やってみたらかなり面白かったという感じです。

キャリアの最初からエグゼクティブレベルの現場で働き、企業の経営がどう行われているかを把握していたので、営業に移ってからも良いスタートを切ることができました。特に会議室でどのような議論が行われているのかを知ることができたことは、本当に役立ちました。

私の経験上、女性は自ら意識して選択するというよりも、偶然にテクノロジー業界に入るパターンが多いと思うのですが、私はこの状況を変えたいと真剣に考えています。自ら望んでテクノロジー業界でキャリアを追求する女性が増えれば素晴らしいですよね。

サポートと困難

キャリア全体を通して、困難な場面もそれなりにありました。性別と年齢は両方とも、私が克服しなければならない壁でした。16年前のテクノロジー業界の文化は今とは大いに異なり、信頼を得るだけでも一苦労でした。

あるとき、私は後輩の男性社員とペアを組んでソリューションのプレゼンテーションをしたのですが、そのときの質問はすべて、その男性社員に向けられました。質問をされた彼が私にその質問を振り、代わりに私が答えるという有様でした。会議では常にこれがお決まりになっていきました。私はその状況に意気消沈し、「会議で攻撃的になりすぎずに自分を主張するにはどうしたらいいだろう」、「女性らしさと、人に信頼されるような力強さとのバランスをどう取ればいいだろう」と自問しました。 

長い間、私は会議の紅一点で、月曜の朝には会話に参加できるよう、サッカーの試合結果をリサーチしたものでした(正直に言うと、私自身がサッカーファンだという訳ではありません)。ゴルフの練習までしたこともありますが、ゴルフはまったく上達しませんでした。

幸運にも、年を重ねるにつれ私は素晴らしいリーダーたちと仕事をする機会に恵まれ、彼らは私に自分らしくしていればいいと言ってくれました。ありのままの自分でいると、人からも受け入れてもらえます。そのほうがはるかに楽しいですね。

Kirstyの1日

1日のほとんどを、自分が統括しているビジネスの戦略を練り、カスタマーや市場の課題を理解し、ビジネスプランを構築して私のチームや協働する組織が目標を達成できるよう支援することに費やしています。

プロの社交ダンサーだったこともありますが、最近ロンドンに越してから、またダンスの練習を再開しました。ダンスは精神集中にとても役立ち、仕事のことをしばらく忘れさせてくれます。

キャリアで特に誇りに思っていることは何ですか?

リーダーとしては、自分のチームの目標達成を個人的にも職業上でも後押しできていることに大いに満足しています。AIを活用して「全人的」な医療を支えることや、シドニー大学などの教育サービスをサポートすることなど、真のインパクトをもたらす企業の一員でいられることは素晴らしいものです。

また、私のチームの男女比率が50/50であることも誇りに思います。これによりダイバーシティが生まれるとともに、非常に協働的でインクルーシブな環境が促進されています。

一社員としては、前の会社で資本市場業界を開発したことが、最も誇らしい実績だと思います。業界セグメントを一から構築して、EMEAで主要な業界の1つにまで育てたことは素晴らしい経験です。

あなたのキャリアであなたに最も刺激を与えた人は誰ですか?

ありきたりに聞こえるかもしれませんが、一番刺激をくれたのは父です。彼はテクノロジー業界で30年以上働いています。金融サービスの開発者としてスタートし、次に自分の会社を立ち上げました。父がF1チームのためにレースデータをリアルタイムに分析するソフトウェアを開発する仕事をしていたとき、とても誇らしかったのを今でも覚えています。話を聞いてくれそうな人全員に自慢して回りました。

父はとてもクリエイティブで、業界の最先端にいることを誇りにしていました。私のテクノロジー愛は確実に父から受け継いだものであり、父は私の最大のサポーターです。

テクノロジー業界に女性が増えないのはなぜだと思いますか?

この問題には単純な答えはありません。テクノロジー業界における女性の不足にはいくつかの要因がありそうです。昔から、数学や科学は男性向きの学問だという考え方が女子たちの心に染み付いています。おもちゃのマーケティングでさえ、初期の頃は男の子を対象としていました。それが高等教育につながり、そして職場へとつながり、テクノロジー業界、特に営業の分野でちょっとした「bro culture(男性文化)」が形作られました。

これは非常に複雑なトピックですが、結局のところ、男の子はSTEM(科学、技術、エンジニアリング、数学)に適していて、女の子は芸術に向いているという、昔の社会観に端を発していると私は思っています。もちろん、このような捉え方は正しくありません。芸術的な男性はたくさんいますし、数学的頭脳を持つ女性もたくさんいます。しかしこのような先入観は確実に職場環境にもはびこり、業界で女性のロールモデルが少ないという結果になっています。

女性にデータを仕事にしようと思ってもらうには、どうしたらよいでしょうか?

小さいうちからSTEMに触れる機会を増やし、性別に関係なくこれらの学問の良さを伝え、よりインクルーシブな文化づくりをして、女性のロールモデルを育てていく必要があります。

データはより多様で平等な職場づくりに役立つと思いますか?

ええ、もちろんです。労働人口のうち49%は女性ですが、そのうちテクノロジー業界のディレクター職は22%、テクノロジーワーカーは19%です。これでは著しい不足です。フォーブス誌によると、取締役会に女性がいる企業には、より多くの投資が集まるそうです。これは大きなメリットであり、私たちはこのようなダイバーシティの推進を徹底する必要があります。

Morgan Stanley社の最近の調査によると、組織のあらゆるレベルに女性が配属されているなどの人材の多様性と高い平均収益には相関関係があったということです。また、2011年から2019年までの間、ジェンダーダイバーシティがある企業は、そうでない企業と比較して、株式の年間利益が2%高かったそうです。さらに、よりダイバーシティが進んでいる企業は、資本純利益率の変動性が低いというデータもあります。

進歩はありますが、男女平等の達成までの道のりはまだ遠いのが現状です。しかし投資家の要求、投資戦略を推進するデータと透明性の向上、より強烈なインパクトがあるレポート機能のおかげで、組織はあらゆる人にとってより公平な成果を出すという方向に向けて背中を押されています。 

私の目標は、私たちの業界の環境をより多様でインクルーシブにするための取り組みを続けることです。これには、採用する人材だけでなく、作り出す環境も重要です。私たち全員が、人々が自分らしくいられるようなオープンさと透明性のある文化を推進していく必要があります。

追加的な参考資料と情報源: