注:本記事は(2022年1月31日)に公開された(Deliver the Future of Marketing Analytics Today)を翻訳して公開したものです。

Snowflakeのマーケティングインテリジェンスチームは、マーケティングやセールス、財務チームといった多くの部署に対し、リアルタイムに近いアナリティクスを提供しており、Snowflakeが真にインサイトドリブンな組織となるのに貢献しています。

私たちは、実施するマーケティングキャンペーンにインサイトを適用し有効性を向上するアナリティクスダッシュボードを通じ、このような体制を実現しています。マーケティングステークホルダーは、それぞれのキャンペーンが今どのような状態かを一目で把握でき、データドリブンなインサイトに基づいた意思決定を通じてキャンペーンの強化を図ることができます。

私たちは、セールスパイプラインの見通しを立て、アカウントスコアリングやリードスコアリングに基づきセールスチームにとって最良のアカウントやリードを予測するデータサイエンスアプリケーションも構築しました。セルフラーニング機械学習(ML)モデルは、絶え間なく取り入れられるデータにより、このような予測を日々最適化しているため、成果の向上やセールスおよびマーケティングチームの密な連携を実現しています。

多くの企業は、この種のマーケティングアナリティクスは実現が不可能、または難しいと感じるかもしれません。データが多数の場所に分散されているため集約が難しかったり、マーケティングチームが使用する多数のアプリケーションやシステム内でデータがサイロ化されているかもしれません。

どのような理由であっても、マーケティングアナリティクスチームがマーケティングプログラムやイニシアチブに包括的な視点を取り入れたいとすれば、シングル・ソース・オブ・トゥルース(信頼できる唯一の情報源)を持つべきです。リアルタイムに近いアナリティクスのためには、これが必要です。

実用的なマーケティングアナリティクスの力

私たちが構築したアナリティクスダッシュボードとデータサイエンスアプリケーションの一部をご紹介します。これらすべては、私たちがSnowflakeのマーケティングで使用するさまざまなSaaSアプリケーションから収集されたデータに依存しています。データを1つのデータプラットフォームに集約し、容易な変換や迅速なアナリティクスが可能となったとき、マーケティングアナリティクスで何ができるのかを簡単にご紹介します。

キャンペーンレポート機能

私たちは、デマンドジェネレーションチームのために、キャンペーンのレスポンスや広告支出を追跡するダッシュボードを提供しています。これにより、キャンペーン支出金額に対する成果をニアリアルタイムで可視化してチームに提供することができています。キャンペーンレポートダッシュボードには、キャンペーンでの支出金額、生成されたレスポンス数、週次や日時のトレンドなどが広告プラットフォームやUTMパラメータ別に表示されています。さらに、キャンペーンのアトリビューションモデルも構築し、各アカウントのキャンペーンに対するエンゲージメントジャーニーや、ROI測定に向けたセールスファネルへの影響の把握に努めています。これらのインサイトにより、マーケターは、どのキャンペーンが最大の効果を上げているか、また将来的なキャンペーン計画について、迅速かつインサイトドリブンな意思決定を行うことができます。

アカウントベースマーケティング

デマンドジェネレーションでは、大規模なオーディエンスをセグメント化し、さまざまなチャネルを通じてマーケティング活動を行います。アカウントベースマーケティング(ABM)は、非常にパーソナライズされたコンテンツを使用した特定のアカウントを対象としたマーケティングを指します。Snowflakeでは、あらゆるABMキャンペーンについて包括的な視点を提供するアナリティクスダッシュボードを構築しました。これには追加のデータソースから得られたアカウント情報をエンリッチ化したものも含まれ、これにより、ABMマーケターは、キャンペーンをより深いレベルでパーソナライズすることが可能になっています。

ちなみに、ABMプロバイダーは手作業でデータに対するレポートを作成するため、マーケティングステークホルダーの中にはABMデータのサイロ化について気に掛けない人が出てきます。このような考え方は今後の障害となるため、排除すべきです。マーケティングアナリティクスチームが包括的なABM的視点を提供するには、ABMデータを他の関連するデータソースと組み合わせることが唯一の方法です。

フィールドマーケティングのパフォーマンス

私たちは、店頭(フィールド)でのパフォーマンスをサポートしセールスチームとマーケティングチームの連携を推進するために、フィールドマーケターがそれぞれのテリトリー、アカウントについて確認したり、過去のキャンペーンにおけるエンゲージメントを日、週、月、四半期、または年単位で確認できる、パーソナライズされたダッシュボードを提供しています。

私たちは、ABMのターゲットアカウントやキャンペーンエンゲージメント、フィールドでのキャンペーンイベントや全社的な多岐にわたるキャンペーン、さらにパイプラインの健全性など、あらゆるものを含めたマーケティングデータベースを手掛けるところから始めました。次に、データをセグメント化し、営業におけるフィールド階層に落とし込みました。あらゆるデータを取り揃えカテゴリー分けしたことにより、今では、セールスチームとマーケティングチームで共有した見解に基づいて、ターゲットアカウントのエンゲージメントにつなげるための強力な連携を実現できています。

パートナーマーケティング

多くの組織にとってキャンペーンにおけるパートナーマーケティングの効果を分析することは難しいため、私たちは、さまざまなパートナーのタイプやプログラムについて完全な可視化を提供するダッシュボードを構築しました。

私たちは非常に多くのさまざまなメジャーメント(効果測定)を収集しているため、パートナー評価においてデータをどのように参照するかは多岐にわたっています。このようなニアリアルタイムのレポート機能が、見込みやインセンティブについてのパートナーとの建設的なやり取りを可能にしています。

ダッシュボードの中には、イベント別のキャンペーンやレスポンス数、さまざまなセールステリトリーにおけるキャンペーンの一覧を表示するものがあります。また、各パートナーが需要の創出やさまざまな業界への浸透にどのように貢献したかも評価することができます。Snowflakeのパートナーマーケティングチームはこのようなインサイトを活用して、関与やエンゲージメントといったインサイトドリブンな要因に基づいて、パートナーを異なる階層に分類することができます。

リードスコアリング

私たちは単一のデータソースを使用しているため、把握しているすべてのリードに対して予測リードスコアリングを提供するMLモデルを構築しました。当社の完全に自動化されたML搭載エンジンは、このようなスコアリングアプリケーションに取り入れられるあらゆるデータに基づき、日々のトレーニングアルゴリズムを介したニアリアルタイムの予測を生成しています。

また、当社のモデルは自己学習型のため、日々新たなモデルが生成されています。モデルは常に学習しているため、今日のアルゴリズムは昨日のアルゴリズムとは異なります。この点こそがMLの真の力です。その結果私たちは、セールスやマーケティングチームのために最も可能性の高いターゲットリードを特定するというビジネス目標を達成することができています。

さらに、営業開発担当者(SDR)の生産性向上のため、アウトリーチシークエンスの優先順位付けもサポートしています。SDRにとって最も貴重なリソースは時間であることから、リードスコアリングを活用することで、コンバージョンの可能性が最も高い特定のリードに集中できます。その結果、SDRチームによるリードから商談へのコンバージョン率は50%向上しています。データの追加によりモデルの精度がさらに上がることから、今後もコンバージョン率は増加の一途をたどるでしょう。長期的には、スコアリングデータを広告プラットフォームに戻すことで、ターゲティングやリターゲティングの改善につなげることも計画しています。

パイプラインのフォーキャスト

私たちは、パイプラインのフォーキャストから推測機能を取り出したMLモデルを構築しました。このモデルは、CRMレポートを実行してアドホック分析を行うのではなく、四半期ごとに、クローズされるパイプラインどれだけあり、翌四半期に移行するパイプラインがどれだけあるかの予測を行います。

このMLモデルは非常に複雑で、パイプラインのヒストリカルデータや他の何百ものデータポイントやシグナルに基づき、特定のオポチュニティがクローズとなるかどうか、またそれはいつなのか、を把握します。さらに各営業担当者が生成したパイプラインがどれだけあるかや、各四半期にクローズされたパイプラインがどれだけあるか、といった営業担当レベルのデータも使用しています。これによりセールスリーダーは、オポチュニティの有無に基づき、営業担当を補充する必要がある場所を把握することができます。

セールスおよびマーケティングのステークホルダーは、パイプラインが進行しクローズに至るまでどのようなことが予測されているかを確認できるだけでなく、目標に対する明確なパイプラインビューも提供されているため、目標の達成やビジネス成果の推進に向けあらゆる準備を整えることができます。

インサイトドリブンな意思決定が実現するチーム間の連携

これらの例で示されているように、マーケティングとは単独で機能するものではありません。マーケティングインテリジェンスチームは、このようなMLモデルやアナリティクスダッシュボードを維持したり構築したりすることで、リアルタイムに近いインサイトを集約したソースを提供しており、このインサイトを他のチームが使用することで、効果が最大化されます。セールスや財務といったチームは、マーケティングチームと共通の認識を持つことができ、ベースとなる前提や関連情報を共有することができます。その結果、共有する補完的な目標に向けた連携をより容易に推し進めることができます。

私たちがセールスやマーケティングにもたらした連携を完璧な形で示しているのがフィールドパフォーマンスです。マーケティングキャンペーンデータとセールスパフォーマンスデータを集約、分析することにより、両チームのステークホルダーは、インサイトドリブンなやり取りや目標の共有を通じ、より良い意思決定を行うことができます。

別の例として、パイプラインのフォーキャストも挙げられます。マーケティングインテリジェンスチームは、私たちがパイプラインを満たしたり空にしたりする割合に関する貴重な情報をマーケティングチームやセールスチームに提供しています。しかしこれらのインサイトは、フォーキャストや予算編成を担当する財務計画&分析(FP&A)チームにとっても価値があります。なぜなら収益は、セールスチームがどれだけリードをコンバージョンできたかに影響を受けるものであり、リードのコンバージョンは、マーケティングパイプラインの進行速度や、マーケティングキャンペーンの有効性、リードスコアリングの正確性に影響されるものだからです。

逆もまた然りです。キャンペーンレポートを分析した結果、特定のキャンペーンにおいてマーケティングが大きな成功を収めたことが証明された場合、マーケティングステークホルダーが同種のキャンペーンの促進、強化、反復に向けて追加予算を要求する際、このデータを根拠として財務チームとやり取りすることができます。

すべては適切なテクノロジーから

今日のマーケティングアナリティクスチームが直面している根本的な問題は、どのようにすべてのデータを集約するかということです。あらゆるデータが一元化されていなければ、ロバストな分析や、時宜にかなった予測的かつ規範的インサイトを提供するモデルの構築は至難の業です。

最新のクラウドデータプラットフォームは、すべてのデータが単一のロケーションに存在する中央リポジトリを構築することで、これらの課題を解決しています。マルチクラスター共有データアーキテクチャに基づいて構築されたプラットフォームでは、大量の多岐にわたるデータの迅速な集約、データセットの結合、リアルタイムに近い高度なアナリティクスの実行、機械学習モデルの構築を実現します。

マーケティングプログラムを真に最適化し、ROIを予測するためには、クラウドデータプラットフォームが以下の機能を備えている必要があります。

  • あらゆるアプリケーションからの膨大なデータの継続的な取り込みのスケーリング、および、パフォーマンスに影響を与えることなく、ほぼ無限の同時実行データワークロードを実行できるコンピュート能力の提供。
  • 異なるSaaSやクラウドデータストアで生成されサイロ化されている、構造化、半構造化、非構造化のさまざまなデータを一元化して変換し、外部アプリケーションにプッシュする機能。
  • マーケティング組織内のライブデータを他のステークホルダーグループや他のビジネスパートナーと安全に共有し、顧客理解度を深め営業戦略に取り入れるための外部データセットの取得を容易にする機能。
  • あらゆる量のデータの迅速な処理、ビジネスインテリジェンスや高度なアナリティクスの強化、機械学習モデルのトレーニングを最新のデータサイエンス機能により実現
  • データの保護、業界および地域的なデータ規制の遵守、データの保存場所や使用者の追跡、ほぼ無制限の同時使用ユーザーが信頼できるデータの単一コピーを実現する最新のセキュリティおよびガバナンス機能の提供

活気あふれる企業文化を伴う多様なチームの構築

私たちは、適切なテクノロジー以外にも多様なチームを構築し、現在や将来における継続的効果を推進するために世界中にメンバーを分散しています。マーケティングインテリジェンスは技術的分野を担当していますが、同時に創造的かつ一貫して革新的である必要があります。マーケティングインテリジェンスチームのメンバーは全員、クラス最高レベルのアナリティクスダッシュボードの構築、予測データサイエンスアプリケーションの開発、創造的なデータストーリーテリング、さらに顧客の心を掴み業界に影響を与えるためのソートリーダーシップ活動の推進など、複数の業務を担当しています。

現在および将来におけるインサイトの提供

Snowflakeでは、カスタマーファーストを重視し、あらゆる事業活動を推進しています。私の属するマーケティングインテリジェンスチームにとって、顧客とはさまざまな対象を指します。マーケティング、セールス、財務などのチームの場合が多いですが、外部の顧客の場合もあります。先日、リードスコアリングモデルを導入しておらず、データ運用のスケーリング方法についてアイディアを募っている顧客と話す機会がありました。このような相談を受ける機会は増え続けており、その度にSnowflakeがさまざまな方法でサポートできることを実感しています。

現在私たちは、Snowflakeのグローバルマーケティングチームを、業界で最もインサイトドリブンなチームにするために尽力しています。近い将来、スケーラブルなアナリティクスダッシュボードやMLモデルを顧客に提供することで、より幅広いオーディエンスに対し、その目標を実行することになるでしょう。データや機械学習の素晴らしさは、学習や改善が常時実行されているため、見出すことができるインサイトやオポチュニティには終わりがないという点にあります。