注:本記事は(2022年4月25日)に公開された(Support Multiple Data Modeling Approaches with Snowflake)を翻訳して公開したものです。

注:この投稿は2019年に公開されたものを現行の製品、特徴、機能を反映するよう更新しています。

Snowflakeに入社して以来、データウェアハウスモデリングアプローチのアプローチとしてSnowflakeに最も適しているのは何か、と聞かれることがよくあります。そこで誇らしく思うのは、Snowflakeは複数のデータモデリングアプローチを等しくサポートしているという点です。

お客様の中には、データVaultという特定のモデリングアプローチを使用して既存のデータウェアハウスを構築した上で、その後Snowflakeへの移行を決断したという方もいます。

よくあるのが次のようなパターンの会話です。

顧客「データVaultはSnowflakeで使えますか?」

私「使えますよ。お客様はどういった点に不安を感じたのですか?」

顧客「いや、Snowflakeという社名ですから、Snowflakeタイプのスキーマにしか対応していないかもしれないと思ったのです。」

私「ああ、なるほどそういうことだったのですね。でも社名はデータウェアハウスの設計とはまったく関係ないのです。実際、SnowflakeではデータVaultを含むすべてのタイプのリレーショナル設計に対応しています。」

データVaultモデリングとは?

ビジネスインテリジェンスのデータVaultシステムまたは単にデータVault(DV)モデリングという言葉を聞いたことのない方のために説明すると、データVaultとは、アジャイルで柔軟性と拡張性に優れたエンタープライズデータウェアハウス(EDW)をモデリングするためのメソッドおよびアプローチを提供するものです。

Dan Linstedtによる公式な定義は、

「DVは、詳細指向の履歴追跡であり、ビジネスの1つ以上の機能領域をサポートする正規化されたテーブルセットと一意にリンクされているもの」となっています。

これは、第3正規形(3NF)とスタースキーマの間にある最良の組み合わせを網羅するハイブリッドアプローチです。柔軟性と拡張性に優れ、一貫性があり、企業のニーズに適応できる設計となっています。DVは、今日のエンタープライズデータウェアハウスのニーズを満たすように特別に設計されたデータモデルです。

重要なのは、DVは、データウェアハウジングスペースに使用された他のメインストリームデータモデリングアプローチのアジリティ、柔軟性、拡張性の問題に対処するよう特別に開発されたという点です。詳細で不揮発性で、監査可能なエンタープライズデータの履歴レポジトリとして構築されました。

その核となるのは、3つの主要タイプのテーブルのみで構成される反復可能なモデリング手法です。

  • ハブ:ビジネスオブジェクトを表すビジネスキーの一意のリスト
  • リンク:ビジネスプロセスの作業ユニットを表す関連性/トランザクションの一意のリスト
  • サテライト:ハブとリンクの記述データ(履歴付きのタイプ2)

ハブはビジネスオブジェクト識別子(ビジネスキー)のレポジトリであり、ビジネスオブジェクト自体がビジネス能力の中心であるため、ハブはビジネス主導型となります。

ソースシステムは、ビジネスプロセスの自動化エンジンと考えることができます。これにより、ビジネスオブジェクトの関係とデータの状態(オン、オフ、アクティブ、非アクティブ、バランスなど)が追跡されます。複数のソースシステムを持つ企業の場合、これらのビジネスオブジェクトとその記述データは、ビジネスキーによるセマンティック統合によって簡単に追跡できます。このテクニックを「パッシブ統合」と呼びます。

リンクは多対多の構造になるように設計されており、リエンジニアリングせずに(つまり、データをリロードすることなく)、カーディナリティやビジネスルールの変更を柔軟に吸収できます。

サテライトでは、必要な間隔で履歴を記録するための適応性に加えて、ソースシステムに対する疑う余地のない監査可能性とトレーサビリティを得ることができます。

以下は、データVault 2.0モデルの簡単な例をご紹介します。

データVaultで使用するSnowflake機能

Snowflakeは、使用量ベースの価格設定によるANSI SQL RDBMSで、現在市場にあるすべてのリレーショナルソリューションのようなテーブルとビューに対応しています。データモデリングの観点から見ると、データVault(DV)はデータウェアハウスのテーブルを設計するための特定の方法とパターンであるため、Snowflakeで問題なく実装することができます。

実際、SnowflakeのMPPコンピュートクラスタ、最適化されたカラム型ストレージ形式、アダプティブデータウェアハウステクノロジーの組み合わせを使用すれば、従来のデータウェアハウスソリューションよりも少ない労力でより優れたDVのロードとクエリを実現できると思います。Snowflakeではパーティショニング、配布キーの事前計画、優れた性能を実現するためのインデックスの構築は不要です。これらはすべて、安全なクラウドベースのメタデータストアを使用し、データアクセスパターンとリソースの可用性に基づいて、高度なフィードバックループでクエリを監視、調整するSnowflakeのダイナミッククエリの最適化機能の一部として処理されます。

Snowflakeのお客様はクエリ性能の向上を実感しています(場合によっては100倍の改善が実現します)。このことから、BIツールに公開する情報マート(つまりレポーティング)層の仮想化にSnowflakeはうってつけだと言えるでしょう。

データVault 2.0

DV 2.0仕様の実装をご検討中の方もいらっしゃると思いますが、これもSnowflakeでご使用いただけます。MD5ハッシュ関数が組み込まれているため、MD5ベースのキーを実装し、DV2.0 HASH_DIFF概念を使用して変更データのキャプチャを行えます。

DV 2.0のハッシュ関数の使用をサポートしているだけでなく、データVault Logarithmic の特定時点(PIT)の読み込み時にSnowflakeのマルチテーブルインサート(MTI)も使用できます。この機能によって、複数のPITテーブルをデータVaultの1つの結合クエリから並行して読み込むことができます。

DVリソース

DVについての詳細は、次のような専門のウェブサイトや関連書籍を参考にしてください。

  1. 「Introduction to Agile Data Engineering」Kent Graziano(筆者)著
  2. 「The Data Vault Guru」Patrick Cuba著
  3. Intro to DV – 筆者の個人ブログにある無料のホワイトペーパー
  4. Free DV intro videos – 考案者、Dan Linstedt提供
  5. 「Building a Scalable Data Warehouse with DV 2.0」Dan Linstedt著
  6. Dan Linstedtのブログ

今回の投稿で、SnowflakeでのDVに関する皆さんの疑問にお答えできたと思います(DVはSnowflakeで使用可能です)。Snowflakeの利用を開始する際には、最大400ドル分の無料使用が可能なオンデマンドオファーを是非ご利用ください。

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