注:本記事は(2022年6月16日)に公開された(The Secret to Competitive Retail Pricing is All in the Data. Discover How Daltix Makes It Happen with Snowflake’s Data Cloud)を翻訳して公開したものです。

かつては小売製品のマスターデータを実店舗で手作業で収集していましたが、Daltixの製品データ集約プラットフォームでは、複数のデータセットを組み合わせ、単一のダッシュボードを通じて地域および競合他社の最新のインサイトを顧客に提供しています。Daltixの共同経営者兼CTOであるSimon Esprit氏は、Snowflakeのデータクラウドを使った仕組みについて説明してくれました。  

競争の激しい小売業界では、ブランドは常に顧客ロイヤルティを求めて争っています。そこで成功するには、価格、プロモーション、ユニットサイズ、栄養情報など、あらゆる面で商品を正しく設定することが成功を左右する場合があります。また、業界データを常に注視する必要があるのは、小売業者だけではありません。急速な変化を遂げているFMCGメーカーや市場調査機関も、顧客がまさに求めているものを確実に提供するために、最新の製品マスターデータを即時に利用できる環境を求めるようになっています。 

そこで、Daltixの出番です。Daltixのテクノロジーは、各ブランドのウェブサイトから様々な商品データを積極的に収集します。この情報を、信頼できるサードパーティデータ、さらに現場のデータと組み合わせることで、顧客が複数地域にまたがるより幅広い市場に対し、戦略的な価格設定や競合他社に対するポジショニングをより正確に行えるようサポートします。

Daltixの共同経営者兼CTOのSimon Espri氏は、次のように述べています。「価格データからプロモーションまで、お客様は小売市場を追跡するために質の高いデータを必要としています。従来、このようなデータは、チームが店舗を訪問し、価格データを記録することによって手動で収集されていました。これにはコストと時間がかかり、ヒューマンエラーのリスクもあるため、データが不正確なものとなっていました。私たちは、ヒューマンエラーのリスクの影響を受けることなく、毎日更新される高品質の小売データをオンラインで提供したいと考えました。」

ベネルクスにおけるeコマース価格市場を大きく変革し、リードしていこうと考えたDaltixは、まずシンプルなPostgreSQLデータベースに着手しました。しかし、同社のプラットフォームがスクレイピングするデータ量は日々増え続けており、Esprit氏とチームメンバーは、さまざまな小売業者のデータにアクセスするのが難しいということに気付きました。さらに、コスト効率の良い方法でワークロードを拡張し、新しいユースケースのデータにアクセスし、データの保存方法を変更し、十分なデータアナリティクス性能を維持することも困難であるということが分かりました。

Esprit氏は次のように説明してくれました。「さまざまなコンサルタントに相談した結果、AWS上にデータレイクを構築しましたが、それは、コストがかかる上に、データエンジニアではない私たちのチームには複雑すぎるものでした。Amazon Redshiftも試しましたが、やはりもっと使いやすいものが必要だと思いました。幸運なことに、データエンジニアの1人がSnowflakeのデータクラウドを提案してくれました。導入当初から、非常に簡単な方法で利用でき、スケールアップも可能だったほか、安全かつより効果的なデータシェアリング機能もありました。また、Redshiftとは異なり、SnowflakeのプラットフォームはJSONデータにも対応しているため、はるかに簡単にクエリを実行することもできました。」

伸縮性のあるデータのシングル・ソース・オブ・トゥルース(信頼できる唯一の情報源)

Snowflakeのプラットフォームには60TB近いデータが保存されており、処理量は毎日10GB以上にのぼることから、Daltixのデータエンジニアおよびデータサイエンティストは、性能と効率が大いに改善されるということに気付きました。特に、同社の分析チームは、取り込んだデータを手動でクリーニングする必要がなくなり、その代わりにSnowflakeの自動データクレンジング機能を使用して、これまでよりも迅速に高品質のデータを維持できるようになりました。 

Esprit氏と彼のチームは、Snowflakeのプラットフォームに搭載された繊細なデータ処理機能を活用することで、エラーのリスクを減らし、データセットによるより多くの実験を実現し、最終的にクライアントに利益をもたらしています。「Time Travelを使用して、検出不可能なミスを回避することで、より柔軟に多くの実験を行い、より速く行動できるようになりました。また、ゼロコピークローニングを利用すると、実際のデータベースを操作することなく、迅速にテストを行うこともできます。それによりデータベース全体のテーブルに簡単にアクセスでき、コンセプトの実証のために顧客とデータを共有することができます」とEsprit氏は説明してくれました。

インテリジェントなデータ処理により大規模かつ迅速なインサイトを実現 

Daltixの仕事の大部分は、膨大なスケールでの機械学習の利用が関わっています。Snowflakeデータクラウドと他のサードパーティベンダーとの統合を利用することで、Daltixは高度な機械学習アルゴリズムによりデータセットを強化できるようになりました。これにより、Daltixのチームは、モデルを教育するための社内データレイクを手動で選別する必要がなくなりました。 

Esprit氏は次のように述べています。「Snowflakeのデータクラウドを取り入れたことで、機械学習を目的とした環境間のデータの送信が非常に簡単に実行できるようになりました。つまり、当社のデータの質が向上し、小売業者間でより簡単に比較できるようなったということです。また、カテゴリーやEANを標準化するために必要な手作業によるデータ操作も、大幅に削減されました。加えて、データの品質をチェックし、完全に管理下に置くことも可能となりました。」 

さらに、Daltixはデータクラウド環境とLookerを統合し、ダッシュボードとWebアプリケーションをマッチングさせています。

コスト効率と性能の両立 

Snowflakeのデータクラウドを採用してから、Daltixのアナリストの生産性は倍増し、チームの士気も上がりました。また、管理しなければならないインフラがないため、データエンジニアを追加で雇用する必要もありません。 

Daltixが顧客のデータを保存し処理する方法は、Snowflakeのプラットフォームの規模を同業他社に対する優位性として活用するという、市場においてやや独自性のある方法となっています。Esprit氏は次のように説明しています。「それぞれのお客様が、Snowflakeに独立したデータウェアハウスを持ち、それを利用しています。そのため、SQLコマンド1つで、個々のお客様の環境を柔軟に拡張したり、新しい環境を構築したりすることができます。結果として、お客様ごとにコストを管理できるようになり、監視の目が行き届くようになりました。また、自動一時停止機能のおかげで、アイドリング状態のウェアハウスにはコストがかからないため、常時稼働のソリューションと比べてお客様ごとのコストを半減させることができました。メンテナンスも不要なので、リソースの大幅な節約も実現しています。」

Daltixの顧客はすでに、レスポンスタイムの短縮や分析チームの生産性の向上といった、インサイトの品質向上につながる性能面でのメリットを実感しています。 

たとえば、FMCGの大手であるUnileverとの協力により、同社は市場参入戦略のための分析をより迅速に行うことができるようになりました。Daltixのプラットフォームを使用することで、Unileverは商品名やEANなど複数のデータフィールドを追跡できるようになり、新商品が店頭に並んでから同社が重要なパフォーマンスインサイトを受け取るまでのギャップを埋めることができるようになりました。

ほぼ無限のスケーラビリティが支える意欲的な成長計画 

Daltixは、同社のプラットフォームのデータを利用して顧客が成功していることを受けて、ドイツ全土にリーチを拡大しており、将来的には他のヨーロッパ市場への参入も視野に入れています。また、Snowflakeのデータクラウドにあるデータにすべての顧客がアクセスできるようにし、APIを使用してより速く最新のデータを提供することも検討しています。 

Esprit氏は次のように述べています。「Snowflakeは将来的拡張にも対応できるエコシステムを備えているため、安心して新しい市場へ事業を拡大することができます。また、Snowflakeは当社のデータエンジニアにとって馴染みのないものではありましたが、今では皆がSnowflakeを気に入っています。結果として、それぞれの役割において手作業で行っていたデータ検索が不要になり、全員が満足しています。他のデータクラウドオプションを検討しなくても、Snowflakeがすべてを網羅してくれます。」