注:本記事は(2022年3月7日)に公開された(Breaking the Silicon Ceiling: Stories of Success from Women in Tech)を翻訳して公開したものです。

1970年、米国のSTEMワーカーにおける女性の割合は8%でした。米国勢調査局の統計によると、2019年までにSTEMワーカーの割合は27%まで増加しています。これは素晴らしい進捗ですが、STEM分野へ女性を呼び込むには、まだまだ努力が必要です。

この問題については以前、Revolution Robotics:データ変換の分野で力を発揮するNPOという記事で、Snowflakeで働くRosemary Huaを取り上げました。今回は、3月8日の火曜日に国際女性デーを迎えるにあたり、Snowflakeで働く3人の女性を招き、自身の経歴や、すべての人にとって有効な職場についての考えを語ってもらいました。

今回のパネリスト:

  • Amanda Hergott:シニアソリューションアーキテクト(2021年9月入社)
  • Shweta Gummidipudi:エンタープライズアプリケーション&データ担当バイスプレジデント(2020年8月入社)
  • Allison Lee:エンジニアリング&ファウンディングエンジニア担当シニアディレクター(13人目の社員として2013年に入社)
テクノロジー分野でキャリアを追及するという選択が正しかった、と実感した経験について話してもらえますか?

Allison Lee:この分野は、機会も豊富な非常に興味深い分野だと思います。この分野以外のキャリアを想像する方が難しいです。

Shweta Gummidipudi:同感です。毎回新たなインターンのグループが入って来るたび、それはSnowflakeであっても以前の職場であっても、女性のインターンの多くがLinkedInで私とつながり、女性が代表をしていることを評価し、ここはキャリアを積むのに素晴らしい職場だとコメントしてくれます。このことを非常に素晴らしいことだと感じています。

毎回この経験に感激し、いつまでも色褪せることはありません。

Amanda Hergott: 私は、この分野に進んだのは偶然でしたが、自分に合っていたので、そのまま進みました。私は、何かを作り上げたりデータを扱ったりすることに達成感を覚えます。恐らく、私の脳はアルゴリズムに基づいて機能していて、物事を問題と解決という風に考えるようにできているのだと思います。このような考え方の人間にとってテクノロジー分野は最適でした。

Lee: 私は、顧客によるさまざまなSnowflakeの使用法やデータの活用法を聞くのが大好きです。実際に、私の想像が及ばないさまざまな方法があります。

Gummidipudi: ここに集まる女性にとって共通するテーマみたいなものがあるとすれば、私たちが構築や創造を好む、ということではないでしょうか。

私はカスタマーゼロ(自社製品を使用する最初のユーザー)として、エンジニアリングの観点からSnowflakeが作るすべてのものを、できたばかりの段階で最初に使用しています。このような体験ができるのは素晴らしいことです。

今のキャリアに辿り着く上でサポートしてくれた人の存在や、助けになった出来事などはありますか?

Gummidipudi:私はキャリアの早期に、信頼して仕事を任せてもらえることができ、私自身の判断で時間を柔軟にやりくりさせてもらえました。このことが、非常に役に立ったと感じています。女性は多くのことをうまく調整することに長けています。さらに私には男性と女性両方のメンターがいて、2人とも私が制約があっても成果を出す能力がある、と強く信じてくれました。このことは、私のキャリアに非常に強い影響を及ぼしていると思います。

Hergott:この質問は難しいですね。というのも私はキャリアの大半を女性として過ごしていません。私はトランスジェンダーです。私が思いつくメンターとは、性転換後に「あなたを迎えることができて嬉しい。あなたが職場で女性として働くことで何か問題があれば、いつでもサポートします」と言ってくれた女性たちです。私がSnowflakeに入社したとき、何人かの女性が直接声を掛けて歓迎してくれました。そのことに非常に感謝しています。

Lee:もし1人を選ぶとすれば、共同創立者のThierry Cruanesでしょうか。彼とはOracleで6~7年一緒に働いていました。その経験がなければSnowflakeには入社していなかったと思います。彼は常に激励してくれ、サポートしてくれました。

皆さん全員がキャリアを推し進め、テクニカルチームを率いるようになっています。マネジメントスタイルについて、「私だったら絶対に異なる方法をとる」と感じたことはありますか?

Lee:私は非常に技術志向のマネージャーに多数お会いしましたが、彼らは必ずしもマネージャーになることを望んでいませんでした。彼らからは非常に多くのことを学びましたが、彼らはそのように言い聞かされてたか、それが昇進に向けた最良の方法だと思い込んでいるだけだということがわかりました。

彼らは仕事に対して不満を抱えているだけでなく、私の経験から言うと、チーム内で最も技術的に優れているという立場を守ろうとしており、それがいつでも衝突の原因になっていました。

そのため、私は徹底してこのような状況を回避しました。私は、チームが担当している技術分野に関して多くの専門知識を有していましたが、私が目指したのは、技術面で私よりも優れている人を雇用することでした。

Hergott:私も同様の状況をよく経験しました。これは、1番強い開発者がグループを率いる「戦士の首領」的考え方だと思います。

誰がいちばん技術的に優れているのか、という点は、常に争いの種となります。それは決して良い作用を及ぼしません。人材の育成の対極にあるのがこのような競争的な環境です。

マネージャーは、技術者に比べさまざまなスキルセットを有しています。そして、私はその点を認識している組織で働けることに感謝しています。技術的に最も優れている人たちに技術的な問題を任せる、そして最も強い「人」に人を任せる。これは、私がチームを任されたときに、常に念頭に置いていることです。

Gummidipudi:Amandaが言った「競争対協力」は、まさに核心をついていると思います。

私が一緒に働きやすかった上司とは、より広範囲な知識や考えを活用する術を持っている人たちでした。彼らには階層的な考えがまったくなく、問題解決やサイロの解消に向けより包括的なアプローチを生み出していて、これらが最良の結果につながっていました。

米調査機関のPew Research Centerによると、コロナ関連の要因により240万人の女性が離職しています。この問題について、どのようなことが有効だと思いますか?

Hergott:問題の多くに子育てが関係しています。学校が休校となったとき、誰が子供の面倒を見るのか。結局女性の責任となります。在宅での仕事を強いられるのもほとんどが女性で、雇用主の多くはサポートしてくれません。幸いなことにテクノロジー業界はリモートワークがかなり普及していますが、リモートワークができない業界も多くあります。

Gummidipudi:まったく同感です。私たちは非常に幸運だと思います。働きながら介護や育児をするしか選択肢がない人や、配偶者に介護や育児の代わりを頼めない人は本当に大変な状況に置かれています。母親として私にも同じ経験がありますが、簡単ではありませんでした。

Lee:人々は、ワークライフバランスの優先について、これまで以上に考える必要があると思います。特に在宅で働いていると、つい働き過ぎになりがちです。

子供の面倒を見るために日中時間を割く必要がある場合、夜遅くまで働いて埋め合わせをしなければならない気がします。けれども、上司が期待しているのはそんなことではないと思います。そのような環境が非常に困難であるということはみんなが理解していると思います。人ができる限界を合理的に考える必要があります。

10年ほど前、男性は60%しか資格を満たしていなくても職に応募するのに対し、女性は資格を100%満たしていないと応募しない、という研究が発表されました。このことについてどう思いますか?

Gummidipudi:もし女性が、その職務に就く資格が充分にあると確信した場合にのみ応募するなら、すぐにその女性を雇うべきだと思います。

とはいえ、このようなギャップを埋めることは非常に重要だと思います。

固定観念や先入観を強めないような職務記述書の書き方、阻害されていたさまざまなグループの、より大きなカンバセーションへの取り込み方、壁を作るのではなく架け橋となって視点や経験を共有するリーダーシップスタイルの在り方などについて考えることはイノベーションの推進にも有効です。さまざまな背景を持った、より多くの人たちが集まることで、より素晴らしいアイディアを集めることができます。

状況は改善されてきていると感じています。10年前と比べ、テクノロジー分野で働く女性が増えました。これは充分でしょうか?あるべき姿を目指すには、常に意欲的な目標を持ち続ける必要がありますね。

Hergott:私は、必須条件と、できれば満たしておいてほしいという望ましい条件が併記されている求人情報を見たことがあります。職務記述書として、大量の必須条件が並んだチェックリストよりも、このような求人の方がはるかに効果的です。

Lee:そうですね。また私たちは、いくつかのエンジニアリングチームに対し、さまざまなレベルのより多くの職務記述書を用意する、ということも行いました。ある時点で、5年以上の経験を有する人のための職務記述書や未経験や経験が2年以下の就活生のための職務記述書はあっても、経験が2~5年の人の明確な役割を記したものがないことに気付きました。

人は、2~5年の経験しかなくても5年以上の経験者向けの職務に応募します。けれども、先程の統計を考慮すると、2~5年の経験しかなく条件を満たしていない女性は、応募する可能性が低いことになります。

そこで、2~5年の経験者向けに特化した職務記述書を作成しました。その結果、女性の応募者の数がかなり増えたと聞いています。

Amandaにうかがいます。トランスジェンダーの女性として独特の視点を持っていると思いますが、テクノロジー分野での経験において、男性と女性との違いについてどのように考えますか。

Hergott:この点に関する経験を話すと非常に長くて複雑になるため、まとめるのは難しいのですが。要約すると、性転換を進めていけばいくほど、人々の私への対応の違いに気が付くようになりました。例えば、私に異論を唱えたいときに、「ハニー」と呼びかけられるというような、明確に性差別的な体験をしたこともあります。多くの場合は、例えばデベロッパーとの話の中で、データベースの設計方法や機能について質問しているのに、データベースとはどのようなものかという説明される、というようなことが多いです。

そんな時は、相手を遮って次のように言わなくてはなりませんでした。「私はあなたの話をしているんです。Slowly Changing Dimensionsのタイプ2については理解しています。私が聞いているのはあなたがどのようにしたのか、ということです」と。

このようなことが日常茶飯事になりました。そのため私は、「これは新しいチームだから、まず私が賢く、経験もあり、自分の仕事を理解しているということを分かってもらう必要がある」と考える癖がつきました。

以前であれば、誰かに「Xについて知っている?」と聞かれ「聞いたことはある」と答えると、まるで私が知識豊富であるかのようにXについて語り、私を対等に扱ってくれました。そんなときは会議後に、「Xって何?」とGoogleで検索していました。このように少し見栄を張りながらスキルセットを磨いてきたのです。

けれどもこれは男性だからできたことです。女性では同じことができません。知識を有しているとみなされること、これは職場における男性の特権となっています。

Lee:非常に興味深い見解です。

テクノロジー分野でキャリアを積みたいと考える女性にどんなメッセージを送りますか?

Hergott:今はまだ、必要以上の努力が求められ、立ち向かわなければいけないような心境だと思います。大変残念なことです。もっと良いアドバイスがあれば、と思いますが、まずは知識を増やすことです。そしてあなたには知識があり、能力もあることを行動で示してください。

Gummidipudi:素晴らしいアドバイスだと思います。付け加えるとすれば、これは働き始めた頃に戻って私自身に伝えたいことでもあるのですが、自分自身であることに勇気と自信を持ってください。この分野を選んだことには理由があるはずです。勇気と信念をもって、道を進んでください。女性は文化的に自信が欠如しがちではないかと感じています。

Lee:まったく同感です。私からは、多くを学べる人を見つけてください、ということを付け加えます。働き始めの時期は、学べば学ぶほどその後のキャリアに大きく影響します。多くを学べる人というのは、ときには、最も多くの資格や経験を有している人ではない場合があります。自らの周囲に、師と仰げる人を多く持つようにしましょう。