注:本記事は(2021年6月17日)に公開された(4 Ways to Unlock Marketing ROI with Data Science and Machine Learning)を翻訳して公開したものです。

過去10年間にわたるデータドリブンなマーケティングへの注力に関わらず、2020年に行われたGartner社の調査によると、マーケティング担当部門の幹部のうち54%は、所属組織におけるマーケティングアナリティクスへの投資が期待された影響力を及ぼすことができなかったと回答しています。[1]彼らは、データの品質や非実用的な結果、そしてデータとアナリティクスへの取り組みをROIに結びつけることの難しさを挙げていました。

アナリティクスで測定可能な成果を生むためには、組織のデータサイエンティストやアナリストがすばやくデータをクエリして結果を得られるよう、適切な条件を整える必要があります。最初のステップは、Snowflakeのデータクラウドのように拡張性の高いプラットフォームでカスタマーデータを統合することです。これによりカスタマーに関する最新かつ360度の視点が得られ、チームは一晩かけてデータをロードする必要なしに、ほぼリアルタイムなデータに同時にアクセスし、クエリできます。そうなってこそ、データサイエンスへの投資は、その全ポテンシャルを発揮できます。

このようにカスタマーデータに関するシングル・ソース・オブ・トゥルース(信頼できる唯一の情報源)を確立したあと、データサイエンスでマーケティングROIを促進する方法としては、以下の4つが挙げられます。

1. カスタマーをより精密にセグメント化することにより、オファーをパーソナライズし、解約率を減らす

データサイエンティストは、既知の属性や行動の類似性に基づいてカスタマーや見込み客をオーディエンスセグメントへとグループ分けします。これにより、マーケティングチームはパーソナライズされたコンテンツ、エクスペリエンス、オファーを提供して売上やコンバージョン率を高めることができます。ターゲットセグメントの例としては、製品またはサービスを定期的に購入しているハイバリューカスタマーや、解約の危険がありそうな高リスクカスタマーなどが挙げられます。カスタマーをより多くの特性で細かくセグメント化すればするほど、ターゲットを絞ったキャンペーンを展開できます。しかし変数が数十から数百もの属性に増えると、その分だけセグメント化も難しくなります。

ここで役立つのが、データサイエンティストによるクラスタリングです。これは共通の特性ごとにオブジェクトをグループ分けする手法で、機械学習を用いて異なるデータポイント(このケースの場合、消費者)がいかに相互に関連しているかを特定し、それらの関係または類似性に基づいてグループに分けます。データサイエンティストが説明変数を用いてモデルを構築し、ターゲット変数を予測する多重回帰型モデルとは異なり、クラスタリングではいくつかの変数を用い、各変数の組み合わせの試行錯誤によって統計的に重要なグループを発見します。たとえば、クラスタリングアルゴリズムは、新しい靴を買いそうなカスタマー群を靴の購入履歴からだけではなく、新しい人気テレビ番組の最新エピソードのストリーミング履歴から割り出すなど、一見無関係な相関性を特定できます。

これによりマーケターは、エンゲージメントや売上が高まるようメッセージをカスタマイズして、適切なオーディエンスに、適切なタイミングで、最も効果的な配信チャネルを利用してデリバリできます。

2. ほぼリアルタイムなキャンペーン最適化によって、コンバージョン率を高める

Snowflakeのデータクラウドのような低遅延プラットフォームでデータを分析することで、マーケターはキャンペーンの進捗状況をほぼリアルタイムで把握し、そのビューをオーディエンスのセグメント別にフィルタリングできます。そこから、メッセージとコンテンツをすばやく調整し、パフォーマンスを最適化できます。たとえば、靴小売店のハイバリュー顧客に関するA/Bテストで、白や青のスニーカーよりも赤いスニーカーを見たときにコンバージョン率が上がるという結果が出た場合、マーケティングチームはそのセグメントをターゲットにする際、広告コンテンツで赤い靴を使用するよう最適化できます。1つのデジタルキャンペーンにとっては小さな変化のように見えますが、徐々に何千ドル(さらには何万ドル)もの収益増につながっていきます。特定のオーディエンスの反応に基づいてコンテンツやメッセージを動的に変更することに加えて、広告の配置やビディングをほぼリアルタイムに最適化できるため、メディア支出をさらに効率化できます。

3. 属性モデリングを使用した支出の最適化

各メディアチャネルに対して、売上またはコンバージョンにどれくらいのクレジットを割り当てるかを決定することで、マーケターは広告支出を最適化し、パーソナライゼーションを強化することなどが可能になります。多くのマーケターは、アトリビューション(貢献度)の割り当てにおいて、比較的シンプルなファーストタッチまたはラストタッチモデル(カスタマージャーニーの最初または最後のタッチポイントに売上やコンバージョンのクレジットを100%割り当てる)を採用しています。また、既知のタッチポイントに均等に重みを割り当てる均等分布モデルや、購買意思決定に最大のインパクトを持つと見なされるタッチポイントに多くのクレジットを割り当てるW形モデルもありますが、これらは依然としてオーディエンスをすべて同様に扱います。

カスタマージャーニーで同じものは2つとないため、タッチポイントに一定の重みをつけるアトリビューションモデルは、個人がいかに製品やサービスについて知り、ブランドに引き付けられるかといったニュアンスをくみ取ることができません。最終的にマーケターは、特定のオーディエンスセグメントがいかにマーケティングファネルを移行していくか判明するにつれて動的かつ経時的に進化するカスタムメイドのマルチタッチアトリビューション(MTA)モデルを、自社のデータサイエンスチームに構築させるべきです。

4. 予測的アナリティクスでカスタマーのライフタイムバリューを向上させる

マーケティング組織は、ヒストリカルデータをモデリングすることで、将来の結果の可能性を特定し、それらの所見に基づいて対応することができます。応用例としては、他のセグメントと同様の行動をする見込み客(たとえば、ハイバリューカスタマーと似た傾向を持つ見込み客など)を特定し、カスタマー基盤と全体的な収益を増大させるルックアライクモデリングが挙げられます。その他にも、人々の閲覧履歴に基づいて興味を測り、製品推奨の的確さを高め、売上高やカスタマーのライフタイムバリューを向上させるアフィニティスコアリングモデルもあります。これらの予測では、機械学習の繰り返しによって、経時的に精度を高めることができます。

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最大のインパクトをもたらす有意義なデータサイエンス実務のため、マーケターは最優秀の人材を引き付け、維持する必要があります。技術的な腕が確かなデータサイエンティストを探すことに加え、マーケターは優れたビジネスコミュニケーターであるデータサイエンティストの採用を目指すべきです。なぜならデータサイエンティストは非技術系のチームと部門横断的に仕事を進める必要があるからです。

マーケターはまた、組織全体でデータリタラシーを上げるための投資を行うべきです。これにより、技術系および非技術系のどちらの従業員も等しくデータの価値を認識し、顧客を360度の視点から捉えるという共通の目標に向けて取り組むことができます。これは既存のデータリタラシーのレベルに関する詳細な評価と、今後のデータ目標についての積極的な意思疎通が求められる、変革管理の課題です。

マーケターによるデータサイエンスの推進とROIの向上にSnowflakeデータクラウドがいかに役立つかについての詳細は、SnowflakeのMarketing Analytics Forum(オンデマンド配信)をご覧ください。

[1] gtnr.it/3eGr30N